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第12章:家出のお手伝い・後編

1話:帰宅

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「うおーーーー! 帰ってきたぞー!」
 遼が夕暮れの街で、両腕を振り上げて叫ぶ。
「久しぶりの街ですね……あの、何か食べましょう! 何か! 今まで酷い食材の食事ばかり食べてましたし! 美味しいものを食べたい!」
 同じ職場で働いていた真由美も、心の叫びを街中に響かせた。
「わかる。金ならあるし焼肉行こう、食べ放題の!」
 山奥の現場での作業、十日間の日程終えた二人はハイテンションで街を歩く。若いので肉体労働もそれほど苦ではなかった二人であるが、辛いのはその食事内容だ。米は大量に出されるので量は足りていたものの、やっぱり肉が欲しくなるし、野菜ももっと新鮮なものが食べたかった。一応、二人ともポテトチップスやチョコレートなどを持ち込んではいたが、肉や魚は当然持ち込んでいなかったので、何かそれに類するものを摂取したいという欲求が心の底から湧き上がってくる。こんなことなら缶詰でも持ち込んでおけばよかった。
 と、言うわけで彼らが昼食を食べに向かった先は焼き肉の食べ放題。カルビやタン塩などの王道はもちろん、レバーやホルモンなども美味しく食べ、もちろんお米は現場で食べたものより数段美味しく、付け合わせのキムチやナムルも傷んだ野菜を使っていないため、とても美味しい。デザートのアイスまで含めて、二人は久しぶりのまともな食事に大いに舌鼓を打った。ほんと、あの作業所に送られている人間はよくあんな食事で生きていられるものである。・
「……それでは、私はこっちなので。親を説得するの、頑張ってくださいね。一緒に励まし合えて、貴重な体験が出来ました」
「うん、付き合ってくれてありがとう。一人だったらくじけていたかもね……神社へのお参りは絶対に行くからね! 百合根さんにもよろしく」
 積もる話は街へ戻るための車の中で散々してきたため、帰りの電車は二人ともほぼ無言で交代で眠っていた。そして、乗る乗換駅で電車が別れたところで二人は、自力で起きて家に向かうこととなった。真由美は家まで電車の席に座らず、立って過ごすことで寝落ちを回避し、家に帰った後は軽くシャワーを浴びると、妹への世間話もそこそこにさっさと眠ってしまった。
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