堕ちる犬

四ノ瀬 了

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これからお前は一生俺らの肉便器だ、良かったな。

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「どうしてそんなに冷たいことが言えるの?」

霧野は向かい側の席に座った由紀をわざと気だるげな見ていた。午前中いっぱい、彼女の部屋で過ごして喫茶店に来ていた。別れを告げることは決まっていたことだった。いつ言うかだけ。身分を変えて数年間危険な仕事に就くということは、そういうことだ。彼女を危険には晒せない。

「今までのは何?遊びのつもり?」

もっと怒れと霧野は目の前の女を見て強く思った。二度と自分の前に現れなければいい。周囲の視線が集まり始めているのが気になった。視線を由紀から外して店の中を眺めて、冷めた口調で言った。

「だったらなんだ。」

自分の口から、犯罪者に接する時と同じ冷酷で威圧的な声が出ていた。威勢のいい平手が飛んできた。
彼女を見ると、泣いていた。動揺するなと思っても動揺してしまい、顔を伏せた。視線の先で手が震えていた。爪を立ててぎゅっと拳を握ると、痛かった。痛さに顔をしかめた。

「何なの?その顔は!」

喫茶店の中が静まり返り、代わりの彼女のまくしたてるような声はどんどん大きくなった。反対に霧野の心は、彼女の気性の激しさに冷静になっていった。強い女性だ、すぐに代わりは見つかるだろう。

奇しくも、二人が向かい合って座った席は数年後、神崎から平手を受けた席と同じであった。危険な単独行動について叱られたしなめられた。二人の間に沈黙が下りた。

「もう行け!これ以上言うことは無い。お前がいかないならこっちから出て行く。」

霧野は勢いよくコーヒー代を机の上にばらまいて、しかし丁寧な仕草で立ち上がって彼女を見降ろした。由紀は顔を上げず、黙ってテーブルの上を見ていた。息が切れていた。そのまま彼女に背を向けた。由紀が縋りついてくるような女ではないことは知っていた。振り返ろうと思ったが振り切るようにして店を出た。

その日は、寒い日曜日だった。霧野は朝から彼女の家に向かったのだった。一か月以上連絡をとっていなかった由紀は「仕事、忙しかった?」と特に怒る様子も無く、笑顔で霧野を迎えた。

霧野は玄関先で別れを切り出そうとしていたのに、いざ彼女を目にすると言葉が出ず「そう、人使い荒くて困る。もう辞めたいくらいだ。」と無理やり笑って、いつの間にか部屋の中に上がり込み、午前中いっぱい抱き合った。コンドーム越しに彼女の中に何度も出した。

「今日のハルは激しいね、そんなにがっつかなくても、いいのに。」

彼女は大きな犬が戯れてきたかのように霧野の首を抱いて撫でた。彼女の手が、労わるように優しく霧野の全身を撫で上げた。一方の霧野は乱暴に彼女を貪り食うように抱いた。

もう今日で全部終わりだと思うと、止まらなかった。最後だと思うと今まで気が付かなかった彼女の尊さをいくつも発見し、身体が燃えるうに滾った。反対に自分が醜い動物のように思えた。ことが済んで、これだけ激しくやってから冷たく突き放せば、彼女も幻滅するだろうと思った。

口を開こうとすると彼女の身体が惜しくなって、また抱いた。抱くたびに罪悪感で身が焦がれ、仕事を全部投げ出してこのまま逃げたらいいんじゃないか?とさえ思った。
しかし、逃げ出した後のことを想像できなかった。自分を許せないだろうし、後悔する。一番最悪なのは、それを由紀のせいにして、関係が壊れることだ。

それに、霧野が拒絶したとして、誰かが代わりに行かされることには変わりはないのだ。であれば、自分が役目を人並み以上にこなして、これ以上犠牲を出さないようにするべきだ。
少しずつ、次の仕事の準備を始めていた。嫌なことには変わりないが、興味が出てきたこと、うまくすれば成果があげやすく、戻った後には相応な地位に就けそうなことも霧野の心を動かし始めていたのだった。自分なら他の人間よりうまくやれるだろうといつもの自信も出てきていた。彼の自分自身に対する信頼、自信過剰は、彼の原動力でもあった。

だったら、彼女を切るしかないのだ。恋人や家族がいる状態で危険な仕事はできない。
もし、仕事を終えた時、彼女がまだこの街にいたならば、全てを話そう。その頃には彼女はもう別の男と結婚さえしているかもしれないが。

喫茶店を飛び出て、いつまにか知らない道を走っていた。身体を動かしていると「面倒なこと」を忘れられる。いつもよりずっと息が苦しくて、呼吸がざらざらしていた。全部、忘れたい。感情の無い一個の肉、機械になりたい。

路地を迷うように走り、疲れ果て、野良犬のように歩きまわり、ようやく家に帰っても喉に張り付いたざらざらがとれず、何か声を上げていることに気が付いた。身体に力が入らなくなって、玄関に蹲って膝に顔をこすりつけた。

彼女の連絡先を消し、彼女の痕跡全てを焼いた。
もう戻れない。

職場で移動のための荷物の整理をしながら、同じように「不要な物」はどんどん捨てた。家の中の物もほとんど捨てていた。引っ越しは楽なほうがいい。デスクの奥の方から裏返した写真のような紙が出てきて、表も見ずに手の中でぐしゃぐしゃに丸めた。勢いよくゴミ屑をゴミ箱にいれようとして、身体がサイドテーブルにぶつかって大きな音を立てた。

「なんだ、今日は一段と騒がしいな。」
神崎が訳知り顔で話しかけてくる。
「発散したければ、また新しい人間関係で、新しく作ればいい。お前ならすぐにできるだろ。中身はアレとしても、肩書と見た目はマトモだからな。」
霧野は神崎の物言いにイライラして彼を睨んだ。神崎は睨まれることはわかっていたかというように反対に微笑んでいた。

「憶測で、勝手なこと言わないでください。何も知らない癖に。」
「憶測?由紀ちゃんのことだろ。」
「……。」
しかし、神崎がわざと軽薄な口調で話しかけてくれるのが心地よくもあった。
「今日、飲みにつきあってやろうか。どうだ?」

神崎がすぐ先まで近づいてきた。不思議と不快じゃなく、焦げた煙草の匂いがした。
「嫌ですよ、ひとりになりたい。」
懐かしい香りだと思った。胸が締め付けられるような感じがした。

懐かしい?何故?目の前にいるのに。

気が付くと、神崎のすぐ後ろに室内だというのに、真冬の格好、喫茶店にいた時と同じ格好をした由紀が、頭が吹き飛ばされ顔半分が赤く濡れた木崎が、こちらを嘲笑するような目で見ていた。

神崎が「お前はいつも自分のことばっかりだな。」と笑っていた。身体の中がじくじくと痛みだす。これは夢だ、と気が付いた。夢の中の三人に向かって何か言おうとする。しかし声が出ない。それに、一体何を言えばいいというのか?

「おい」

太く低い、しかし人煽るような声と同時に、霧野の身体の中が裂ける様な衝撃が走り、現実に引き戻される。息がひいひいと喉に詰まって過呼吸の様な音を立てていた。自分の身体なのに、自分の物じゃないようだ。
火のついたように身体が熱く、地獄で焼かれている亡者が思い起こされた。由紀と寝ていた時の滾りとは比べ物にならない。全神経が震え、絶望の中凌辱を受ければ受けるほどに、罠に絡めとられるように身体がおかしくなった。こんなはずでは、

「勝手に寝てたのか?」
「またか?よくこの状況で寝れるな。」

全身の毛穴から汗が噴き出た。手がぬるぬると湿っていた。汗と誰かの精液だ。別の誰かに頭を掴まれて、顔を覗き込まれていた。視界が二重三重になって、目を細めたり開いたりするが焦点が合わず、ぼんやりとした光とおぞましい影がいくつも見えていた。声も顔も認識できない鬼達に取り囲まれていた。おぞましい影は鬼の金棒だ。

途中人が何人も入れ替わったような気がする。途中から美里や二条、川名の姿がわかならなくなった。見られているのか、いないのかさえわからない。最初こそ、いなくなってせいせいすると思っていたのに、切ない。そして、それは組員らを止められる人間がいなくなったことも意味した。

美里が、他の人間に責められても、俺にされていると思えと言ったことが何故か救いに思えた。しばらくそれに縋るようにして気丈に耐えてみせたが、それも長くはもたなかった。何度となく意識が飛びかけては戻され、その度別の組員の一物を咥え込んでいるのだった。悪夢だ。こっちが夢であってくれ。

また、身体に一段と強い衝撃が走り、引き抜かれていった。誰かの手が、鼠径部から尻、揉みこむように性器や孔周辺の筋肉を触って、二本の指が乱雑にピースのようにして後孔を押し開いていた。

「締まりきってねぇじゃないか。」
「まだまだ足りないと言ってるな。」

身体の奥底に溜まった熱い白液がこぼれ出、腿につたい落ちていく。指が押し開くのと反対に、孔の周辺の筋肉、中の肉は、引き攣りのように震え顫動しながら、締まろうとする。

まるで餌を求めるイソギンチャクの口のような動きは、見る者を愉しませた。肉は収縮を繰り返し淫らに誘っている。完全に口が締まることはもう無く、代わりに音を立てて前の者が出した汚らしい精液を吐き出した。

また新しい物が抵抗もなく身体の奥深くまで入ってくる。白い双璧の間で迎合するように桃色に濡れた肉筒はしっかりとそれを受け止めて、全てを咥え込んで離さなかった。それ以外の身体の部分は拒絶して強張る。

霧野の思うように四肢は動かせなかった。手首、足首が締っている感覚がある。目の前に垂れ、手錠で繋がれている両手首に焦点が合った。手首が擦れて、痣になっている上にさらに赤みがさしていた。突かれる度に手と手を繋いでいる短い鎖が揺れ音を立てていた。祈るようにして指を強く組んで息を吐き、手を離した。包帯を巻いた指先に血が滲んで震えている。

足首の締まりは誰かの手によるものであった、かわるがわる誰かが足首、太ももを抱え込むようにして抑えていた。何人もの手が、肉棒が、意識が戻って抵抗する霧野の身体を容赦なく外から内から嬲った。霧野の眠っていた身体は覚醒してさらに暴れたが、応じるように誰かの暴力が容赦なく飛んだ。

「いいぞ、まだ元気があるか。抵抗したほうが中が締まっていい。」
「なるほど、道理でさっきまで締まりが悪かったわけだ。」

尻の肉を叩かれ、部屋中に肉の弾ける良い音が鳴り響いた。霧野の叩かれた箇所は、熱を持ってヒリヒリと痛み全身の傷が共鳴するように疼いて身体が疼く。誰かの肉棒の収まった穴の中に、無理やり指が一本、二本と押し入れられ、上へ横へと中を開かせられ、無遠慮に穿たれた。入口がパンパンに引き攣って裂けそうだ。

「いけるな、そのままもう一本いれちまおう。」

「嫌だ!」と声を出そうとして、大きくむせた。むせた拍子に喉の、腹の奥からせりあがるものがあり耐え切れず、白い塊が口の中から出て、びちゃびちゃと音を立てて身体と床にはねていった。必死に口を閉じようとするが一度出た物の勢いは止まらず、体液と一緒にだらだらと零れていく。穴という穴から体液が零れ落ちていた。

「汚ぇな。無駄に口を空けさすなよ、部屋が汚れて仕方がねぇ。」

すぐさま誰のかもわからないグロテスクな肉の棒が口をこじ開けるようにして押し込まれて、霧野の喉に張り付いてぴったり塞いでいった。

「う゛うう‥‥‥」

苦しい、苦しいと思っていると、肉棒がすでに収まっているはずの後孔のあたりに別の脈打ちがこすりつけられていることを感じた。霧野の脚から尻、腰に掛けての筋肉、背中の筋肉が隆起して拒絶を表していたが、散々打擲、酷使された身体は、二、三人の男で簡単に押さえつけることができた。

「おら、もっと力を抜け。」

第二の肉棒の先端がこじ開けるようにして、第一の肉棒と霧野の隙間に擦りあてられる。恐怖で引けた霧野の腰を誰かが押さえつけながら、霧野の陰茎を雑にしごき上げた。別の者が乳首を触り、弄ぶようにして引っ張り始めた。

「ん゛っ!ふっ、んん……っ!!!」

ゾクゾクとした甘い快感に霧野の身体の力はさらに抜けていった。強く男の手でいじられるたびに身体の中心の滾る部分に、さざ波が起こった。

「ん……」

軽く中が締まって、射精はしていないが軽くイッたような感覚が断続的に続いていた。獲物に追われ、おびえたウサギのような体の震えが止まらず、器官を塞がれてままならない呼吸のせいで、酸素が足りず、ろくな思考も出できず、くらくらした頭が霧野の身体を弛緩させていった。きもちがいい、それだけが頭の中を満たしていく。

弄ばれ、腹に着くほど反り返った霧野の立派な一物は嬉しそうに先端をヒクつかせて、血管を浮きだたせていた。擦られると先端からとめどなく透明な液が溢れて、擦る者の手を汚した。

「抵抗するくせして気持ちいいんじゃねぇか、汚ぇ汁ダラダラ零しやがって、後で全部舐めさせるからな。」

大きく開かれた割れ目へ出入りを繰り返した赤黒い肉棒の動きが鈍くなった。
「ほら、お前早くしろよ。こっちだって早く動かしてぇんだから。」
「はいはい、うるせぇな。すぐやるよ。」

桃色の口をめくるようにして太い人差し指と中指が折り曲げられて、肉筒の中に沈められていた。指が動くとくぷくぷと泡立つような音をたてて、わずかに生肉の隙間ができる。

割り込むように、固く勃起した雄の先端がねじこめられていく。亀頭までの部分が入った時、ちょうど声を上げた霧野の喉の奥に精液が放出されむせた。肉棒がひきぬかれていき、空いた口に一気に空気が流れ込んで、犬のようにはあはあと強い呼吸をした。その度蒸すような雄の臭いが器官を満たして、頭を犯し、おかしくさせる。

「や゛め、いや、だっ……」
「先端はいっちまったぞ。どうだ、抜いてほしいか。」
身体の入口、いや、本来は出口の部分が限界まで引っ張ったゴムのように張って、痛みと共に脈打っていた。
「抜けよ゛…っ…」
「お前が、丁寧な言葉で床に頭でもこすり付けて懇願すれば、やめてやってもいいぞ。」
「……、……」
「そんなに挿れてほしいか、じゃあ挿れてやるから、覚悟しろよ。」

言ったところで聞いてくれるはずもなく、余計にいたぶられるだけだ。必死にもがくが、叩かれ、踏みつけられ、力の入らない身体を何人もの腕でガッチリ抱えられて、動けない。何度も抵抗したが、抵抗するたび自分の身体に力が入らなくなってくるのを自覚させられた。今は普段の四分の一の力も残っていない。

「離せ、…!、入る゛わけ、っ!、ん゛っ!?」
再び口の中に容赦なく誰かの肉棒が押し入れられ始めていた。
「お前はチンポをしゃぶらせないと黙れないのか?暴れるのは勝手だが、偉そうな口聞かれても萎えんだよ!黙って口奉仕してろ。そうやって口で捌いた方が早く済むし、WinWinだろ。」

ふんふんと鼻で呼吸しながら、自身の下半身を見ていた。本当に二本目のペニスの先端が入りかけており、屈辱感と絶望に溢れた体の中に、妙な興奮がゾクゾクと走った。あり得ない……。

霧野の下半身の肉は固く硬直し痙攣していた。指が肉を割くかの如く、さらに無理やり肉の中を開かせて、ぬらぬらと湿った空洞に、雄が突き進んでいった。身体が暴れ、霧野の腹の底から響くような酷く汚い呻き声が断続的に上がったが、肉棒で塞がれているため、代わりに振動による快楽を相手に与えるものにすぎなかった。「暴れるな」と尻を幾度かはたかれ、筋肉が締まるのと中の物が振動するので、高まって軽く射精した。

ぐったりした身体の中に勢いよく肉の槍が刺し込まれ、目の前がチカチカする。

「尻を叩かれておとなしくなるとは、しばらく見ない間に畜生になり果てたな、澤野。それとも元からこうなのか?馬みたいな良い尻をして。畜生らしく牡馬と交尾させてやろうか?したいだろ?」
「ん゛ん゛ん…っ」

冗談、脅しで言ってるのか本気なのか、考える余裕もない。一物を咥えさせられながら、恐怖で必死で首を横に振ると、返事の代わりに勢いよく奥を抉られて、獣じみた声が出た。

「勇ましい声出して、相当にしたいらしいな。そうだ、お前んとこの担当にいただろ、牧場経営してる奴。お前に最早人権など無いが、好みの馬を選ぶ権利くらいなら与えてもらえるんじゃねぇのか?お前がどの馬を選ぶのか俺達で賭けて、競馬をしてもいいな。いや、お前が馬の一物にぶち抜かれても耐えられるか、それとも内臓破壊されて死ぬかで賭けたほうが面白いかな?」

恐怖に声が遠くなって身体の力が更に抜けていった。その間に肉棒の進行する感覚が終わり、全てが中に収まってしまう。少し動くだけで身体の中の巨大な異物に責め立てられた。

「ほら、全部入っちまったぞ。素人じゃこんなの無理だぜ。お前はもうプロだな。」

嘲るような複数の笑い声と共に、全部入った証拠だとでもいうように、陰毛と陰嚢が擦りつけられる感じが不快だ。裂ける、熱い、感覚が無い。今まで以上に身体が裂ける感じ、自分の物ではなくなってしまう。まだ動いてもいないというのに、大きな二つの塊が押し上げるようにして、肉筒をいっぱいに溢れさせた。怖い。

快楽の座、それ自体が大きく広がってしまったかのように、下腹部に大きな円を描くようにして快楽がせりあがっていく。呼吸と同じ速さで中の肉が伸縮を繰り返し、パンパンになった身体の中を締めつけた。悲鳴が止まらず、喉の奥から高い、自分の物とは思えない、切羽詰まったような切ない声が出始めていた。

「なんだ?今度は雌犬みたいな声出し始めたな。さんざん醜態晒した上、お前の口からそんな声が聞けるとは。」
「もっといい声でわんわん鳴いてみな、犬のおまわりさんよ。手伝ってやるからよ。」

その雌犬の様な声を上げる喉を収まっていた肉棒で抉られように突かれ、さっきまでの野太い声は別の子猫が踏みつぶされたような情けない声が出ていった。口内に肉棒を押し込む組員は霧野の頭を抱えこみ、「犬のおまわりさん」を鼻歌で歌いながら、喉の奥をついて笑っていた。粘着質な音をたて、リズムに合わせて口内、喉の奥を突かれながら、狂った音楽がリフレインする。犬は困り果て、猫は家に帰れない。笑える歌だ。

わんわんわわんわんわんわわんのあたりで口内にねばついた苦みが溢れ、引き抜かれ、待ってましたという風に次の一物が一呼吸する間もなく挿しこまれた。酸素が足りず視界がさらに歪んで、また意識が落ちかける。
「そろそろいいだろ。」
身体の中の異物が動く気配がして、痛みと圧迫感に意識に気合が入れられ、身体が大きく跳ねた。
「お゛お……っ!」
「なんだ?また落ちかけたか。今から太いの二本動かして括約筋はちきれるまで犯してやるんだから、寝てる場合じゃねぇな。しっかりしな。」

霧野はままらならない身体を必死によじらせたが、口と尻を太い楔で穿たれ、自身で身をよじっただけでゾクゾクとしてしまい、おとなしくしていることも身動きをとることもどちらも地獄であった。命乞いをするようにきゅうきゅうと勝手に締まる穴が惨めだった。

「きっつ、チンポがもってかれそうじゃねぇか……」
「わるいな、俺のがデカすぎるだろ。」
「は?馬鹿言うな、おい、俺のがでかくてきもちいな?……まあいい。後からどっちが良かったか聞いてやろう。てめぇのは中で無駄に当たって気持ち悪いんだよ。さっさと動いて出しちまおう。」

ゆっくりと二本の肉棒がそれぞれの意志をもって中を突き上げ始めた。激しくバラバラに動くそれはまるで体内で花火が打ちあがったかの如く、一個の熱い塊として意識された。突かれる度に身体が奥底からばらばらになり、蹂躙、破壊されていく。

誰かが霧野の性器を乳首を身体を擦り上げ続け、身体すべてがひとつの性器になり果てたようになって、熱く、どこを触られても、熱い塊が身体の奥底からせりあがって生まれ、肉が収縮、くぐもった咆哮が出、涙が流れた。快楽と苦しさで紅く染まった霧野の首筋には、血管が浮き出、ぴくぴくと蠢いていた。

「これが、あのプライドの高かった澤野か?情けない顔して、男の物を三本もらくらく咥えて感じてやがる。どう見てもそうは見えない。」

「コイツの中、すげぇ動き方しやがる。初めての感じだ。」

「俺も女で二輪挿しやったことあるが、もっとガバついてたからな。さんざん調教され、コイツのは元々持ってる発達した全身で締め上げてくるからよ。何より、これで娼夫でもない、クソポリだというのが最高だな。」

「おい、澤野さん、いや、霧野、目がイってちまってるけど、こっちの声聞こえてるのか~?ま、どっちでもかまわねえけど。」

「お、こっち向いたな。ちゃんと意識もあるじゃねぇか。あーあー、またイッて。だらしがねぇ警官だな。それでちゃんと取り締まりができんのか?」

「できねぇからこうなってんだろ。端から向いてないんだよ、これからお前は一生俺らの肉便器だ、良かったな。」

押さえつけられた霧野の身体は幾度と絶頂のような感覚にしなり、雄膣をどよめかせながら、幾度となく果て続けた。宙を舞うような感覚が続き、半目を上ずらせたまま身体がまた跳ねた。
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