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記憶
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ラウルとリコとは違う世界の物語になってます。
「あっ…」
「え?」
拓也はその時空から声を聞いた。
その声はしまった!と言った感じで漏れ出ていた、それにつられて上を見るとビルの屋上で作業していたゴンドラの紐が切れて今にも落ちそうになっていた。
「嘘だろ…」
まだそれに誰も気がついていない。
上は作業がお休みなのか人がいる気配もない、下を見るとちょうど登下校中の小学生が楽しそうに登校していた。
「おい!危ないぞ!そこを退け!」
拓也は小学生に怒鳴り声をあげた。
「うわっ…怖っ」
「無視しよ」
そんな拓也に小学生は冷ややかな目を向けてくる。
「危ないって言ってるだろ!上見ろ上!」
拓也が上を指すともうゴンドラは落ちる寸前だった。
「キャー!」
それに気がついた小学生達は慌てて走り出す。
「よかった」
大事になる前に避難できてよかった。
そう思った矢先、一人の小学生が逃げ遅れてその場に座り込んでしまった。
「あっ…あっ」
腰を抜かしたのか動けないで震えていた。
近くには誰もいない…助けられのは自分だけだった。
そう思って走り出した瞬間ゴンドラの紐が切れた。
拓也は無我夢中で小学生にタックルをする。
「きゃぁ!」
小学生の悲鳴と共に拓也の下半身に感じた事のない痛みが走る。
そしてその瞬間拓也は気を失っていた。
『んっ…』
拓也は目を覚ますと目の前に助けた小学生がいた。
『よかった、助けられたのか。おい泣くな助かったんだろ?』
そう言って小学生の頭を撫でようとすると…スルッと小学生の頭をすり抜けてしまった。
『えっ?』
驚いで自分の手を見ると透けている…
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
小学生は泣きながら拓也に謝っていた。
しかしその視線は拓也の後ろにある、恐る恐る後ろを振り返るとそこには潰れたゴンドラに赤い血が流れていた。
幸か不幸か拓也の体は完全に潰れて見えない状態だった。
しかし誰の目にも拓也の死は確実だった。
『俺は死んだのか…』
突然の死。
なんか呆気なく未だに信じられない、しかし今の自分の状態を見るとそうなのだろうと受け入れるしかなさそうだった。
『まじかよ…俺まだ24だぜ』
これからって時なのに…誰だよゴンドラの管理者!
『そうじゃよな…いや、本当にすまなかった』
『すまないって、謝ってすむかよ』
『わかっておる、この償いはする』
『償いって…』
拓也は会話の相手が居ることに驚き顔をあげた。
するとそこには白ひげを腰まで伸ばした老人が立っていた。
『佐藤 拓也、本当にすまなかった。あのゴンドラを落としたのはわしなんじゃ』
申し訳なさそうに謝る老人に拓也は軽くパニックになる。
『あ、あんた俺が見えるのか?それに落としたって…作業責任者って事?』
『いや、まずは自己紹介からじゃな。わしはこの国で神をしている者だ。名前は無いので神様と呼んでくれ』
『神様!?』
確かに想像していた神様の形に似ているが…本当にこんな姿をしているとは…
拓也は不躾にジロジロと神様を見てしまう。
『その…神様がゴンドラを落としたってのは、俺を殺す為だったのか?』
『いや違う!本当に些細な事なんだが…怒らないか?』
神様は申し訳なさそうに俺を見る。
まるで老人をいじめているようで居心地が悪い。
『とりあえず聞かせて下さい』
頭を押さえながら冷静に聞こうと気持ちを落ち着かせた。
『実は、弟子の神があのゴンドラに乗って見たいと言ってな…』
『弟子!? 神様に弟子とかいるの?』
『当たり前だ、何にでも後継者はいるもんじゃろ?それに神様もたくさんいるしの』
『たくさんいるんだ…』
誰かに言いたくなる情報だがもう誰にも話せないと気が付きため息が出た。
すると神様はまた話を続けた。
『それでな、その子が乗った途端にそれが揺れてしまい慌てて戻そとしたら紐に当たって…切れてしまった』
『えっそれって…』
『すまない、事故じゃったんじゃ!』
『じゃあ俺は神様の起こした事故で死んだと?』
『そうだ、決して拓也だからではないぞ』
『本当に?俺が天涯孤独で、独身で悲しむ人がいないからとかじゃないの?』
『そんなわけあるか!誰にでも悲しむ人はいる!ほら見ろ、現にあの子も…』
神様は悲しそうな顔で泣いている小学生を指さした。
小学生はずっと俺の亡骸に向かって謝っていた。
『拓也には本当にすまないことをした。だからこれからのことをできるだけ高待遇で迎える事を約束する』
『高待遇?』
『わしに出来ることなら望みを叶えよう。しかし出来ないこともあるからな』
『それなら…』
『すまないが生き返らせて欲しいは無理じゃ』
先手を打たれてしまった。
『なら…』
俺は泣き止むことのない小学生を見つめた。
「あっ…」
「え?」
拓也はその時空から声を聞いた。
その声はしまった!と言った感じで漏れ出ていた、それにつられて上を見るとビルの屋上で作業していたゴンドラの紐が切れて今にも落ちそうになっていた。
「嘘だろ…」
まだそれに誰も気がついていない。
上は作業がお休みなのか人がいる気配もない、下を見るとちょうど登下校中の小学生が楽しそうに登校していた。
「おい!危ないぞ!そこを退け!」
拓也は小学生に怒鳴り声をあげた。
「うわっ…怖っ」
「無視しよ」
そんな拓也に小学生は冷ややかな目を向けてくる。
「危ないって言ってるだろ!上見ろ上!」
拓也が上を指すともうゴンドラは落ちる寸前だった。
「キャー!」
それに気がついた小学生達は慌てて走り出す。
「よかった」
大事になる前に避難できてよかった。
そう思った矢先、一人の小学生が逃げ遅れてその場に座り込んでしまった。
「あっ…あっ」
腰を抜かしたのか動けないで震えていた。
近くには誰もいない…助けられのは自分だけだった。
そう思って走り出した瞬間ゴンドラの紐が切れた。
拓也は無我夢中で小学生にタックルをする。
「きゃぁ!」
小学生の悲鳴と共に拓也の下半身に感じた事のない痛みが走る。
そしてその瞬間拓也は気を失っていた。
『んっ…』
拓也は目を覚ますと目の前に助けた小学生がいた。
『よかった、助けられたのか。おい泣くな助かったんだろ?』
そう言って小学生の頭を撫でようとすると…スルッと小学生の頭をすり抜けてしまった。
『えっ?』
驚いで自分の手を見ると透けている…
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!」
小学生は泣きながら拓也に謝っていた。
しかしその視線は拓也の後ろにある、恐る恐る後ろを振り返るとそこには潰れたゴンドラに赤い血が流れていた。
幸か不幸か拓也の体は完全に潰れて見えない状態だった。
しかし誰の目にも拓也の死は確実だった。
『俺は死んだのか…』
突然の死。
なんか呆気なく未だに信じられない、しかし今の自分の状態を見るとそうなのだろうと受け入れるしかなさそうだった。
『まじかよ…俺まだ24だぜ』
これからって時なのに…誰だよゴンドラの管理者!
『そうじゃよな…いや、本当にすまなかった』
『すまないって、謝ってすむかよ』
『わかっておる、この償いはする』
『償いって…』
拓也は会話の相手が居ることに驚き顔をあげた。
するとそこには白ひげを腰まで伸ばした老人が立っていた。
『佐藤 拓也、本当にすまなかった。あのゴンドラを落としたのはわしなんじゃ』
申し訳なさそうに謝る老人に拓也は軽くパニックになる。
『あ、あんた俺が見えるのか?それに落としたって…作業責任者って事?』
『いや、まずは自己紹介からじゃな。わしはこの国で神をしている者だ。名前は無いので神様と呼んでくれ』
『神様!?』
確かに想像していた神様の形に似ているが…本当にこんな姿をしているとは…
拓也は不躾にジロジロと神様を見てしまう。
『その…神様がゴンドラを落としたってのは、俺を殺す為だったのか?』
『いや違う!本当に些細な事なんだが…怒らないか?』
神様は申し訳なさそうに俺を見る。
まるで老人をいじめているようで居心地が悪い。
『とりあえず聞かせて下さい』
頭を押さえながら冷静に聞こうと気持ちを落ち着かせた。
『実は、弟子の神があのゴンドラに乗って見たいと言ってな…』
『弟子!? 神様に弟子とかいるの?』
『当たり前だ、何にでも後継者はいるもんじゃろ?それに神様もたくさんいるしの』
『たくさんいるんだ…』
誰かに言いたくなる情報だがもう誰にも話せないと気が付きため息が出た。
すると神様はまた話を続けた。
『それでな、その子が乗った途端にそれが揺れてしまい慌てて戻そとしたら紐に当たって…切れてしまった』
『えっそれって…』
『すまない、事故じゃったんじゃ!』
『じゃあ俺は神様の起こした事故で死んだと?』
『そうだ、決して拓也だからではないぞ』
『本当に?俺が天涯孤独で、独身で悲しむ人がいないからとかじゃないの?』
『そんなわけあるか!誰にでも悲しむ人はいる!ほら見ろ、現にあの子も…』
神様は悲しそうな顔で泣いている小学生を指さした。
小学生はずっと俺の亡骸に向かって謝っていた。
『拓也には本当にすまないことをした。だからこれからのことをできるだけ高待遇で迎える事を約束する』
『高待遇?』
『わしに出来ることなら望みを叶えよう。しかし出来ないこともあるからな』
『それなら…』
『すまないが生き返らせて欲しいは無理じゃ』
先手を打たれてしまった。
『なら…』
俺は泣き止むことのない小学生を見つめた。
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