騎士団長が大変です

曙なつき

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第二十二章 愛を確かめる

第八話 愛を確かめる

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『貴方に会いたかった。ずっと会いたかったんだ』

 そうジェラルドに、潤んだ瞳で見つめられて言われた時、ディーターは、これは夢なのだろうかと思った。
 人の姿をとっているディーターが、ジェラルドと会ったのはわずか二回である。
 そのいずれも、言葉を少し交わした程度の短い出会い。
 
 濁流の中から救い上げた時と、茂みの中、バートを前にした姿を見られた時の、その二回だけ。
 それなのに、この番は自分に会いたかったと言っている。
 信じられない思いだった。

 胸の鼓動が大きく聞こえている。
 目の前の美しい番が愛しくて愛しくて、どうにかなりそうだった。

 ジェラルドはその手をディーターの背中に回して、彼を求めてくれた。
 だから、その唇に口づけを落とした。

 後はもう、あっという間だった。
 互いに熱に浮かされたように、強く抱き合う。
 口づけだけで足りるはずもない。
 ディーターはジェラルドの身体の至る所をその手で優しく触れ、口付け、舐めて甘く噛んだ。
 目の前の番を存分に愛したかった。
 そしてジェラルドは一切抵抗をしなかった。むしろ、ねだるように甘く声を上げて、自ら足を開いて招き入れようとした。

 指で彼のその蕾に触れて、解そうとして気が付いた。
 どうやら、彼はあの宿に連れ込まれたが、ギリギリ一線は越えていないようだった。
 実際、その身を綺麗に布で清めている時も、その部分が傷ついた様子もなかったため、そうではないかと感じていた。
 そのことに、ディーターは心底安堵した。

 自分の番に触れた、あの綺麗な黒髪の男は殺したいほど憎い……。いや、今度会った時は絶対にあの喉首を噛み切らねばならない。
 自分の番に手を出そうとしたのだ。その代償は命であってしかるべきだった。

 一本、二本とその部分を解すように指を入れていく。
 キツイだろうに、初めての彼はそれでも自分を求めてくれた。

「もう、いいから、早く」

 そうねだられれば、応えねばならなかったけれど、ジェラルドを傷つけたくないし、苦痛を与えたくなかった。
 存分にほぐした後に、ようやくそこに押し当て、ゆっくりと身を進めさせると、ジェラルドはのけぞり、声をあげる。

「あっあああ」

 その美しい顔も耐えるようなものを浮かべながらも、その瞳には喜びが浮かんでいた。

 ディーターはようやく抱くことのできた番の耳に、呟くように言ったのだ。

「愛しているよ、俺の番」

 それに、ぎゅっとジェラルドもディーターの背中に回した腕に力を込めて言った。

「僕も、君を愛している」
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