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葉書、まで

化猫

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 仕事から帰りの電車で、古本屋で買った一冊を読み終えた。
 素晴らしかった。
 でも、もう続きを読むことができないのが、本当に残念だ。
 座れていたので、目を閉じて、余韻に浸る。
「つかれたあ・・・」
 聞いたことのある声に、目を開けると、隣の席にカスミちゃんがいた。
 前屈みになり、しゅうーっと音を立てて、猫になってしまう。
「電車のなかで猫になっちゃダメだよカスミちゃん」
 慌てて、キャリング・ケースに入れる。
 疲れた、と言って猫になったのに、体が小さくなったら、残っていた体力で足りるようになったのか、元気になっている。
 出せー、出せー、と爪でガリガリするカスミ猫。
 電車でうるさく騒いでいる、と怒られちゃうなあ、と車内を見渡すと、車窓から、巨大な目球が覗いていた。
 雪さんに見つかった、と焦っていると天井を巨大な爪が突き破ってきた。
 天井が壊れる音、急ブレーキの音が響く。
 急ブレーキは、現実で、目が覚めた。
 幸い、悲鳴は飲み込めた。
 でも、降りるはずの駅は、遥かに乗り越していた。
 そして、部屋に帰り着いたら、なぜだか雪さんが怒っていそうで、なんだか怖かった。
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