50 / 120
葉書、まで
葉書
しおりを挟む
動物病院から、葉書が届いた。
雪さんのワクチン注射を今月中にしてください、というリマインドだ。
初めて健康診断に行ったとき、会からもらったワクチン接種の証明書を見せたので、注射から一年後をお知らせしてくれたのだ。
あれから、もう半年以上も経つのか。
そうか、マイクロチップも埋めてもらわないと。
でも、注射に、更に太い注射針でマイクロチップって、嫌われそうだ。
いやいや、今の僕らの絆であれば、大丈夫、なはず?
「はいー、大丈夫ですよおー」
中年坊主頭の獣医が、助手が押えている雪さんをすっごい低姿勢で診察している。
「体重は、変わりないですね。粗相も治ったようですし、お尻もよさそうですし、」
覗き込む、と雪さんが、ものすごく不快を表す声を出したので、平謝りする先生。
「すみません、すみません。それでは、ワクチン注射と、マイクロチップを施術します」
マイクロチップは在庫がない可能性があるから事前予約、と言われていたのを、すっかり忘れていたが、幸い在庫は、あった。
空いていたからだろう、なんてもう言えない。
以前に比べる、と各段に混んでいた。
(もちろん病気の動物がいないに越したことはないけど)混んでよかったね。
金属のトレーに、注射器と注射器が、置かれていた。
うわ、針太い、ちょっと引く。
助手さんが押さえて、
「まず、ワクチン注射を脚にします」
フトモモに、注射。
雪さんは、小さく、「にゃ」と鳴いた。
助手さんが、更にぎゅっと押さえて、
「次に、背中に、マイクロチップです」
雪さんが、「しゃー」と唸った。
白い毛に、血が滲んでいるのを、脱脂綿で拭う。
触るなオラーと、しゃーしゃー言う雪さん。
マイクロチップ・リーダーの輪っか部分を背中に近づけると、ピっと音がして、十五桁の数字が読み取れた。
やんのかオラー、と雪さんは、臨戦態勢だ。
「すみません、すみません。血液検査をやるにしても、今度にした方がいいですね」
うん、僕もそう思う。
お金を払うと、ワクチン接種証明書とマイクロチップの登録番号を渡された。
チップの番号登録書は、病院が申込み先に送ってくれるとのこと。
でも、引っ越ししたら、登録変更は、自分でやらないといけない。
今のところ予定はないけど、店失敗したら、住所変わるかも・・・
一番大事なのは、番号登録に数日かかるので、その間に、もし脱走してリーダーで番号がわかっても、飼い主情報は空欄ということだ。
マイクロチップ入れた帰りに脱走、チップ無意味なんて、笑えない。
時期ということで、カレンダーをもらえたので、笑顔。
犬版と猫版があり、もちろん猫だ。
譲渡会で買ったカレンダーもあるから、猫カレンダーが、いっぱいだ。
部屋に帰る、と疲れたのか、雪さんは、僕のベッドで寝てしまった。
嫌われたかな、と恐る々々そばに寄るが、チラと見ただけで、逃げなかった。
ワクチン接種証明書のコピーと、ワクチンの負担金の領収書に、戻り金は寄付します、と書いて、譲渡会に送った。
ワクチンもして、マイクロチップもして、譲渡会に報告もしてなんだか、より家族になった気がする。
一眠りして、元気になった雪さんに、缶詰を出した。
(ツナ缶と安い猫缶は見ないふり)
その器と、ハレの日仙人を注いだグラスで、乾杯した。
来年も、同じ時期に注射なので、忘れないように動物病院からの葉書(来年も時期になれば届くけど)と、マイクロチップの番号をコルクボードに留めた。
雪さんのワクチン注射を今月中にしてください、というリマインドだ。
初めて健康診断に行ったとき、会からもらったワクチン接種の証明書を見せたので、注射から一年後をお知らせしてくれたのだ。
あれから、もう半年以上も経つのか。
そうか、マイクロチップも埋めてもらわないと。
でも、注射に、更に太い注射針でマイクロチップって、嫌われそうだ。
いやいや、今の僕らの絆であれば、大丈夫、なはず?
「はいー、大丈夫ですよおー」
中年坊主頭の獣医が、助手が押えている雪さんをすっごい低姿勢で診察している。
「体重は、変わりないですね。粗相も治ったようですし、お尻もよさそうですし、」
覗き込む、と雪さんが、ものすごく不快を表す声を出したので、平謝りする先生。
「すみません、すみません。それでは、ワクチン注射と、マイクロチップを施術します」
マイクロチップは在庫がない可能性があるから事前予約、と言われていたのを、すっかり忘れていたが、幸い在庫は、あった。
空いていたからだろう、なんてもう言えない。
以前に比べる、と各段に混んでいた。
(もちろん病気の動物がいないに越したことはないけど)混んでよかったね。
金属のトレーに、注射器と注射器が、置かれていた。
うわ、針太い、ちょっと引く。
助手さんが押さえて、
「まず、ワクチン注射を脚にします」
フトモモに、注射。
雪さんは、小さく、「にゃ」と鳴いた。
助手さんが、更にぎゅっと押さえて、
「次に、背中に、マイクロチップです」
雪さんが、「しゃー」と唸った。
白い毛に、血が滲んでいるのを、脱脂綿で拭う。
触るなオラーと、しゃーしゃー言う雪さん。
マイクロチップ・リーダーの輪っか部分を背中に近づけると、ピっと音がして、十五桁の数字が読み取れた。
やんのかオラー、と雪さんは、臨戦態勢だ。
「すみません、すみません。血液検査をやるにしても、今度にした方がいいですね」
うん、僕もそう思う。
お金を払うと、ワクチン接種証明書とマイクロチップの登録番号を渡された。
チップの番号登録書は、病院が申込み先に送ってくれるとのこと。
でも、引っ越ししたら、登録変更は、自分でやらないといけない。
今のところ予定はないけど、店失敗したら、住所変わるかも・・・
一番大事なのは、番号登録に数日かかるので、その間に、もし脱走してリーダーで番号がわかっても、飼い主情報は空欄ということだ。
マイクロチップ入れた帰りに脱走、チップ無意味なんて、笑えない。
時期ということで、カレンダーをもらえたので、笑顔。
犬版と猫版があり、もちろん猫だ。
譲渡会で買ったカレンダーもあるから、猫カレンダーが、いっぱいだ。
部屋に帰る、と疲れたのか、雪さんは、僕のベッドで寝てしまった。
嫌われたかな、と恐る々々そばに寄るが、チラと見ただけで、逃げなかった。
ワクチン接種証明書のコピーと、ワクチンの負担金の領収書に、戻り金は寄付します、と書いて、譲渡会に送った。
ワクチンもして、マイクロチップもして、譲渡会に報告もしてなんだか、より家族になった気がする。
一眠りして、元気になった雪さんに、缶詰を出した。
(ツナ缶と安い猫缶は見ないふり)
その器と、ハレの日仙人を注いだグラスで、乾杯した。
来年も、同じ時期に注射なので、忘れないように動物病院からの葉書(来年も時期になれば届くけど)と、マイクロチップの番号をコルクボードに留めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
46
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる