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#23 エマとデート ♡

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「んっ……」


 窓から入ってくる朝日によって、真人は目を覚ました。

 すると、自分の体に何やら温かいものが絡まっているのを感じた。


「んぅ……」


 それはすぐ横でスヤスヤと幸せそうに寝ている美香だった。

 そんな美香はガッチリと真人に抱きつき、足まで絡めている体勢で今もぐっすり寝ていた。


(寝顔、なんだか普段と違って幼く見えるな…… やっぱり可愛い……)


 いつまでも眺めていたい気持ちはあるが、真人は今日も出かけなければいけないので、仕方なく美香を起こすことにした。 真那や那波のように抜け出すのも無理なくらい抱き締められていたので。


「美香さん……」

「んに……?」

「おはようございます……」

「んぅ……? おは、よう……」


 寝起きが悪いのか、少し目を開けたと思ったら美香はまた真人の首元に顔を埋めて二度寝しようとした。


「美香さん、起きてください……」

「起き、てるぅ……」

「そう言って寝ようとしないでください……」


 真人は、いやいやする美香をなんとか引き剥がして、さらに布団を剥ぎ取った。


「寒い……」

「……起きてください、朝ご飯もありますから」

「起こしてぇ……」


 仕方ないので、真人は美香の背中に手を回してぐいっと引っ張り上げた。


「んへへぇ…… ありがとぉ……」


(可愛いから怒る気も起きないな……)


 グデグデの美香をなんとか起こし、リビングへと引っ張っていった。

 その後、頭が冴えてきた美香はそんな一幕を思い出し、再び顔を真っ赤にしていて照れていたのはご愛嬌だろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ご主人様…… 本日はよろしくお願いします……!」

「こちらこそです……」


 今日のデートはエマとなのだが、彼女はいつもと変わらずスーツ姿をしていた。


「勝手ながら、今日のこのデートで何をしようか色々と考えてきたのですが、まずは私の服を真人様に意見を聞きながら買いに行こうかと……」

「分かりました……」
 
「すみません、まさか私が男性とデート出来るなど思ってもおらず…… 買いに行く暇もあまり無かったので……」

「あっ、そうですよね…… ごめんなさい、いつも付いてきてもらっちゃって……」

「あっ! いえっ、そういう意味で言ったのではなく! その、私はご主人様を守れるこの仕事は大好きですから……!」

「そうですか…… それならいいんですけど……」

「えっと、行きましょうか……」


 エマは真人より半歩程前を歩き、真人を案内してゆく。


「…………っ」


 そんな中、真人はエマの視線が時折自分の手に向かっていることに気づいた。


「あの、手、繋ぎます……?」

「えっ!? い、いいんですかっ……?」

「もちろんです……」


 ギュッと繋いだエマの手は、体格もあって大きく、少し硬めでもあった。


「すみません、女らしい手じゃなくて……」

「そんな…… エマさんと手を繋げてるのが嬉しいので、気にしないですよ……」

「………っ♡ ありがとうございます……!」


 そうしてたどり着いたお店は、女性用の服が沢山置いてあるお店だった。


「その、私は全然ファッションの知識とかセンスが無いので…… これから店員さんにある程度見繕ってもらって、私が試着していくので、ご主人様にどれがいいか決めてもらっても良いですか?」

「僕がですか……? エマさんが着るものですし、自分で決めた方がいいんじゃ……?」

「いえ、あの…… 私が私服を着る時はこういう、ご主人様とお出かけする時くらいですから。 せっかくならご主人様に決めてもらいたいんです」

「わ、分かりました……」


 エマは店員さんに声をかけ、上下合わせて5着ずつくらいをサクッと見繕ってもらい、試着室に入っていった。

 ちなみに、これだけは譲れないという条件で、動きにくいものはNGとだけ店員さんに告げていた。

 結果、スカート類は無しで、丈の長さが違ったり形状が違うパンツ類を選んでもらっていた。

 そして、始まったのはエマの見事なファッションショーだった。

 エマは自信がないようだが、真人から言わせてみればそのスタイルは見事の一言で、足はスラっと長く鍛えているのが分かるが、筋肉の付き方のバランスが取れており、とても綺麗に見えた。

 更に、上半身も服を押し上げるサイズの大きな胸、キュッと引き締まったウエストと、真人からしてみたら美しいとしか言えない完璧なプロポーションをエマは有していた。

 そんなエマがお洒落な格好をして似合わないわけがなく、お世辞抜きでどんな格好も似合っていた。

 そんなこんなで、エマのファッションショーを見ていったのだが、最後の一着を着るのにものすごく時間がかかっていた。


「エマさん……? なにかありましたか……?」

「ひゃいっ! い、いやその…… だいぶ前に着替えは終わったのですが…… これはちょっと……」


 なにやらすごく迷っているらしく、中々エマは出てこなかった。


「あの、気分を害されたらすみません……」


 ようやく出てきたエマの格好は、足が惜しげもなく晒されたショートパンツに、へそ出しのシャツという露出度がかなり高いものだった。

 エマがトレーニングをしている時にも似たような服装をしてはいるのだが、なぜかその格好よりも、かなり目を引かれるものがあった。


「似合ってます…… すごく……」

「え、本当ですか……?」

「はい…… エマさん、スタイルがすごくいいからなおさら……」

「そんな……♡ 嬉しいです……♡」


 結局、エマは試着した物のうち、上下3着ずつと、それに合いそうな小物やシャツを数点買うことにしたようだ。

 ちなみに、しっかり最後に着たショートパンツとヘソ出しのシャツも買っていた。

 エマはその中の一着にその場で着替えさせてもらい、デートを続けるようだ。


「あまり、着飾る機会とか無いですから新鮮でした。 ……これからも着るか分からないですが」

「今日限りじゃないですから……」

「えっ?」

「僕は、これからもエマさんが良かったら、何回でもこういうデートとかしたいって思ってますよ……?」

「ああっ、そんな事言ってくださるなんて……♡ 私も同じ気持ちです……♡」


 気付けば結構な時間が経っていたので、2人はフードコートで食事を取ることにした。

 真人はシンプルな醤油ラーメンにエマは海鮮丼を頼んでいた。


「お魚、好きなんですか……?」

「そうですね。 誰の専属でも無くて休みだった時には、海に釣りに行ったりしたこともありました」

「釣りですか…… やった事ないです……」

「案外いいものですよ。 気軽に楽しむなら釣り堀とかでも十分楽しめると思います」

「機会があったら、エマさんに頼みたいですね……」

「お任せください♡」


 他愛もない会話をしながら食事を進めていった。

 やがて2人は食事を食べ終わると、特に目的もなくその辺をブラブラとし始めた。


「ご主人様はどこか行きたい場所などございますか?」

「そうですね…… あっ、あそこは……?」


 色んなお店が立ち並ぶ中で、1番端っこにあるお店が真人の目についた。


「気になるようでしたら、行ってみますか?」

「はい……」


 そのお店は、いわゆるミリタリーショップと呼ばれるお店で、中に入るとモデルガンや模造品のナイフ、プラモデルみたいな物まで置いてあった。

 奥のカウンターには、新聞を読みながら煙管を持った初老の女性がいた。 恐らくは店長なのだろう。

 店長は入ってきた真人達をチラッと見はしたが、すぐに新聞へと視線を戻した。 

 どうやら好きに見ていっていいようだ。

 手近にあった触ってもいいと書いてある刃無しのバタフライナイフを手に取ってみると、結構な重量がありクルクル回せもした。


「ご主人様、こういうものに興味あるのですか?」

「特段好きというわけでもないですけど、物珍しくて…… エマさんはどうですか……?」

「私は職業柄、こういう武器の類などに触れることもありますから」


 そう言ってエマはバタフライナイフを手に取ると、見事にクルクルと回して見せた。


「おぉー…… すごいです……!」

「そ、そうですか?」

「……銃も撃ってみるかい?」

「わぁっ!? あ、て、店長さん……?」

「……奥でエアガンの試し撃ちできるよ。 やってみるかい?」

「えっ、あっ、や、やってみようかな……?」

「……おいで」


 ヌッと現れた店主に付いて行くと、店の奥の方に、的が10個くらい立ててある広めの空間があった。


「……アサルトとかもあるが、坊主の細腕にはちときついから、今回はハンドガンでやってみな」

「あ、はい…… うわ、意外と重い……」

「……おい、アンタ」

「私ですか?」

「……アンタ、護衛官だろ。 見本、見せてやんな」

「なるほど、分かりました」


 エマは射撃スペースに入り、安全用のゴーグルを付けると、渡されたハンドガンを構えた。


 パンッパンッパンッ……!


 かなりの速さでエマは的を撃ち抜き、あっという間に全ての的に当ててしまった。


「……フンっ、全部真ん中かい。 やるじゃないか」

「それほどでも」

「……坊主、アンタはあんな速さで撃つのは無理だから、まずは一個を丁寧に狙ってみな」

「はい、わかりました……」


 真人は先程、エマが見せてくれたように見よう見まねで銃を構えて、的に向かって銃を撃ってみた。


 パンッ!


(うわっ、思ったより反動強いっ……!)


「……惜しいね、もうちょい下だよ。 この銃でも、坊主の細腕にはキツいか」


(ううっ、情けない……)


「ご主人様……」

「わっ…… エマさん……?」


 すると、いつの間にかエマが真人の後ろに立って、腕を支えてくれた。


「私が支えますので、もう一度撃ってみてください」

「は、はいっ……!」


 エマの支えの下、真人はもう一度よく狙って的を撃ってみた。


 パァンッ!


「……今度は当たったね。 真ん中じゃないが2回目にしちゃ上出来だよ」

「おぉ……! あっ、エマさんありがとうございました……!」

「いえいえ、私は支えただけですから。 真人様の狙いが良かったんですよ」


 その後も色んな銃を見せてもらったりして、かなり楽しい時間を過ごすことができた。


「……ほれ、坊主。 これ持っていきな」

「え、これなんですか……?」

「……キーホルダー兼護身用にも使える代物だよ。 その棒の部分で殴ればどんだけ体格のいいやつでも怯むくらいの威力は出るさね」

「あの、お金は……」

「……いらんよ、年寄りの道楽に付き合ってくれた礼だ」

「あ、ありがとうございます…… また来ますね……?」

「……あぁ、気が向いたら来な」


 真人はぺこっと頭を下げて店から出ていった。

 エマもその後に続いていこうとしたが、店長に後ろから声をかけられた。


「……しっかり守んなよ。 惚れてんだろ?」

「あなたに言われるまでもないですよ、前護衛長官殿」

「……チッ、気付いてたのかい。 ほれ、さっさと行きな」


 真人はそんな会話が背後で行われていたことには、最後まで気付くことはなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ご主人様、楽しかったですか?」


 店を出た先でエマが真人にそう声をかけた。


「はい、とっても……!」

「それは良かったです。 それで、この後なのですが…… あの……」

「どうしました……?」

「その…… 美香さんや那波さんとしたような事って、私ともできますか……?」

「えっ、それって……」

「私もご主人様とせ、セックスを出来たらなと、思っているのですが……!」

「えっと、僕からしたら断る理由、無いです……!」

「本当ですか!? 嬉しいです……! じゃあ、ホテルの方に行きましょうっ」


 エマは少し余裕無さそうに真人の手を繋いでホテルの方へと向かっていった。

 5分もかからないうちにホテルに辿り着き、チェックインを済ませて部屋に入った。


「あぁ、これからご主人様とするのですね……!」

「エマさん、僕でいいんですか……?」

「もちろんです! その、実は初めてご主人様に会った時、ひ、一目惚れをしてしまいまして…… こうなる事をずっと夢見ておりました」

「そうだったんですか……?」

「はいっ、職業柄そういうのは表に出さないようにしていたので、お気づきにはならなかったと思いますが。 
……ご主人様、愛しています。 私にそのご寵愛のほんの一欠片でもいいので、それを向けて下さりませんか……?」

「一欠片なんてそんな…… 僕もエマさんの事、好きですから…… あ、その、こういう時になんですけど、少し聞いてもいいですか……?」

「はい、なんなりと」

「これまで、何人かの女の人とこういう関係になってきたんですけど…… エマさんはどう思いますか……?」

「素晴らしいことだと思います。 何人もの女性を満足させられる男性など中々おりませんし」

「その、一夫多妻が許されるっていうのは調べて知ってるんですけど……」

「そうですね、ご主人様を好いている私とか他の女性からしたら、ご主人様と結婚できるとなったら泣いて喜ぶと思います」

「そうですか…… ありがとうございます……」


(セックスまでしといて、なぁなぁにするのは良くないよな…… みんなとデートし終わるまでには色々と覚悟を決めなきゃ……)


「ご主人様、あの、抱きついてみてもいいですかっ?」

「もちろんです……」

「ありがとうございますっ! 失礼しますっ」


 ギュッ


「あぁ、幸せです♡」


 真人とエマではかなり身長差があるので、真人が顔を少しでも下に向ければエマのおっぱいに顔を埋める形になるだろう。


「私の胸、気になりますか?」

「え、あ、はい……」

「でしたら……」


 エマは真人の後頭部を優しく押すと、自らの胸に真人の顔を軽く押しつけてみた。


「んっ♡ どうですか?」

「すごいです…… 柔らかい……」

「あっ♡ ご主人様の息が当たって♡」


 しばらくそのままエマのおっぱいを堪能した真人は、少し顔を上げた。

 するとそこには発情しきったエマの顔が間近にあった。

 2人はそのまま、どちらからともなく口づけを交わした。


「ちゅっ……♡ んむっ……♡」


 全身をエマに包まれながらするキスはなんだか今までのキスと少し感覚が違った。


「今のが、キス……♡ 病みつきになりそうです……♡ あぁ、でもこれ以上はシャワー浴びないとですよね……♡ あの、良ければ私にご主人様の体を洗わせていただけると嬉しいのですが……」

「それも断る理由ないです……」

「はぁぁ♡ じゃあ、いきましょうか♡」


 2人は脱衣所で服を脱ぎ、浴場に入って体を洗い合い始めた。


「エマさん、綺麗です……」

「ご主人様……♡ そう言ってくれるのですね♡」


 エマの体は引き締まるところは引き締まり、出るとこは出てる完璧なプロポーションだった。

 特におっぱいは大胸筋が発達しているおかげか、大きく前に張り出しているのにも関わらず一切垂れたりしておらず、とても綺麗な形をしていた。

 それに加えて金髪ということもあり、どこか神秘的な美しさを感じさせてもきた。


「身長が高いってだけでも、あまり男性からは好まれないですから…… ご主人様は平気なんですね?」

「平気も何も、それがエマさんの魅力の一つですから……」

「あぁ、もう♡ そんな事まで言ってくれるのですか……♡ 」


 感極まったエマは真人の後ろからギュッと抱きついた。


「護衛官になった時は、こういう普通の恋愛など出来ないと思っていました♡ 好きです、ご主人様……♡」

「僕も、いつも守ってくれるエマさんが好きです……」

「ふあっ♡ あの、ご主人様、もう上がりましょう♡? 我慢できません……♡」


 2人は浴場から出ると、体をささっと拭き合いその後すぐにベッドへと向かった。
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