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夜襲
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あたりが暗闇に包まれた頃、ミッチャーは電話で第5艦隊司令長官のスプールアンスに損害報告などをしていた。
「こちらが撃墜できたのは90機あまり、それに対して被撃墜は135機です。」
それを聞いたスプールアンスの重たい雰囲気は電話越しにも伝わってきた。
『すでに、護衛空母には自らを守る戦闘機しかない。この損害の補填は難しい。つまり我々は当初の計画よりかなり少ない機数で日本の空母と陸上の航空隊を相手にしなければならない。』
そんなことはわかってる!
ミッチャーは心の中で毒づく。
「明日には、おそらく日本軍の再攻撃が行われるでしょう。何としてでも敵艦隊を捕捉しなければ…。」
そこまでミッチャーが言った時、レーダー要員が悲鳴に近い声で報告してきた。
「13時方向、敵機多数!」
「くそっ!」
ミッチャーはスプールアンスとの電話を切り、対空戦闘の用意をさせるために電話をかけた。
「夜間では直掩機は発艦できない。君達だけが頼りだ。」
『分かりました!何としてでも損害を抑えて見せます!新型のVT信管のいい練習台にしてやりますよ。』
対空火器専門の下士官は電話越しに自信に満ち溢れた声に、ミッチャーは少し安堵した。
「機長!敵艦隊と思しき明かりを発見しました!」
陸攻の銀河10機と彗星16機、零戦21機はかなりの速度で飛んでいた。
確かに、かなり遠方だが光が見える。
「…全機、突撃!」
そう命令した直後、照明弾が撃ちあがり対空砲火が始まった。
「6番機、脱落!」
「構うな!投弾用意!」
近づくにつれ1機、また1機と落ちていく。
「敵艦!投弾可能距離に!」
「投下!」
機長がそう命令して1トン爆弾を投下した。
「…命中!」
これで、少しは役目を果たせただろう。
機長はVT信管が命中し根元から折れた右翼を見ながら、満足げに目を閉じた。
「中将!ご無事ですか!?」
バーク参謀長が終わてた様子で指令室に入ってきた。
「私は大丈夫だ。この艦は?」
ミッチャーは冷静に問う。
「…甲板は使い物になっていません。幸い、弾薬庫への誘爆は防ぎましたが『レキシントンⅡ』は撤退するほかありません。」
「分かった。では駆逐艦2隻を護衛につけ、撤退させる。また第58任務部隊旗艦を『エンタープライズ』に変更する。」
ミッチャーの声は重々しかった。
「ヤップ隊はしっかり役目を果たしてくれたようだ。」
宮内七三少尉率いる天山34機、銀河5機、一式陸攻12機、零戦21機は、数キロ先からでもよく見えるほど明るく燃えていた『レキシントンⅡ』に低空で忍び寄っていた。
レーダーに発見されないためだったものの、過程で操作を誤り2機の天山と1機の零戦が海に落ちていた。
先に攻撃したヤップ隊の作戦目標は敵の意識の引付けと、可能なら攻撃し火災を起こして本隊である雷撃隊の見印とすることだった。
「全機、突入!」
宮内の掛け声とともに炎上している『レキシントンⅡ』と周辺の空母に近づいていく。
やっと、対空火器が動き始めたころにはすでに攻撃距離に達していた。
「魚雷投下!」
機体から切り離された魚雷は吸い込まれるように『レキシントンⅡ』に向かっていった。
そして大きな爆発音が聞こえ、『レキシントンⅡ』は傾き始めた。
「命中!」
偵察手が報告し、宮内はマレー沖の時と同じような高揚感に包まれた。
「こちらが撃墜できたのは90機あまり、それに対して被撃墜は135機です。」
それを聞いたスプールアンスの重たい雰囲気は電話越しにも伝わってきた。
『すでに、護衛空母には自らを守る戦闘機しかない。この損害の補填は難しい。つまり我々は当初の計画よりかなり少ない機数で日本の空母と陸上の航空隊を相手にしなければならない。』
そんなことはわかってる!
ミッチャーは心の中で毒づく。
「明日には、おそらく日本軍の再攻撃が行われるでしょう。何としてでも敵艦隊を捕捉しなければ…。」
そこまでミッチャーが言った時、レーダー要員が悲鳴に近い声で報告してきた。
「13時方向、敵機多数!」
「くそっ!」
ミッチャーはスプールアンスとの電話を切り、対空戦闘の用意をさせるために電話をかけた。
「夜間では直掩機は発艦できない。君達だけが頼りだ。」
『分かりました!何としてでも損害を抑えて見せます!新型のVT信管のいい練習台にしてやりますよ。』
対空火器専門の下士官は電話越しに自信に満ち溢れた声に、ミッチャーは少し安堵した。
「機長!敵艦隊と思しき明かりを発見しました!」
陸攻の銀河10機と彗星16機、零戦21機はかなりの速度で飛んでいた。
確かに、かなり遠方だが光が見える。
「…全機、突撃!」
そう命令した直後、照明弾が撃ちあがり対空砲火が始まった。
「6番機、脱落!」
「構うな!投弾用意!」
近づくにつれ1機、また1機と落ちていく。
「敵艦!投弾可能距離に!」
「投下!」
機長がそう命令して1トン爆弾を投下した。
「…命中!」
これで、少しは役目を果たせただろう。
機長はVT信管が命中し根元から折れた右翼を見ながら、満足げに目を閉じた。
「中将!ご無事ですか!?」
バーク参謀長が終わてた様子で指令室に入ってきた。
「私は大丈夫だ。この艦は?」
ミッチャーは冷静に問う。
「…甲板は使い物になっていません。幸い、弾薬庫への誘爆は防ぎましたが『レキシントンⅡ』は撤退するほかありません。」
「分かった。では駆逐艦2隻を護衛につけ、撤退させる。また第58任務部隊旗艦を『エンタープライズ』に変更する。」
ミッチャーの声は重々しかった。
「ヤップ隊はしっかり役目を果たしてくれたようだ。」
宮内七三少尉率いる天山34機、銀河5機、一式陸攻12機、零戦21機は、数キロ先からでもよく見えるほど明るく燃えていた『レキシントンⅡ』に低空で忍び寄っていた。
レーダーに発見されないためだったものの、過程で操作を誤り2機の天山と1機の零戦が海に落ちていた。
先に攻撃したヤップ隊の作戦目標は敵の意識の引付けと、可能なら攻撃し火災を起こして本隊である雷撃隊の見印とすることだった。
「全機、突入!」
宮内の掛け声とともに炎上している『レキシントンⅡ』と周辺の空母に近づいていく。
やっと、対空火器が動き始めたころにはすでに攻撃距離に達していた。
「魚雷投下!」
機体から切り離された魚雷は吸い込まれるように『レキシントンⅡ』に向かっていった。
そして大きな爆発音が聞こえ、『レキシントンⅡ』は傾き始めた。
「命中!」
偵察手が報告し、宮内はマレー沖の時と同じような高揚感に包まれた。
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