10 / 67
千載一遇の好機
しおりを挟む
日付が変わり、太陽が昇り始めたころ改めて艦隊の損害が浮き彫りになった。
「司令官。昨夜の攻撃で受けた損害の集計が終わりました。」
バークは瞑想に更けていたミッチャーに声をかける。
「報告してくれ。」
本当は聞きたくない。
だが、部隊を預かる身としてその責務からは逃れられない。
彼はそんな葛藤を捨て、報告を聞いた。
「昨夜の攻撃により、こちらは空母『レキシントンⅡ』、『プリンストン』そして駆逐艦2隻が沈没しました。また戦艦『ノースカロライナ』と防空巡洋艦の『バーミンガム』が中破、これらは駆逐艦を2隻つけてハワイまで撤退させました。小破以下の損害については報告書にまとめておきましたのでご覧ください。」
「分かった。ありがとう。おそらく今日も敵からの攻撃が来る。戦闘隊はいつでも発進できるようにしておいてくれ。」
バークは無言で敬礼して戻っていった。
ミッチャーは報告書に目を通す。
かなりの損害だ。
だが、幸いこの第3機動群に攻撃が集中したようでよかった。
そう思っていると吉報が舞い込んできた。
「司令、偵察隊が敵機動部隊を発見しました!」
「それは本当か!すぐに攻撃隊を出せ!」
もし、このまま防戦にあたったとしても消耗戦を展開するだけだ。
本来なら、消耗戦は我々に利がある。
ただ、今は補充が容易ではない。
逆に日本軍は周辺の基地から持続的に攻撃できる。
昨夜のようなことが続けば、我々は日本軍になんら損害を与えられず一方的に敗退するだけだ。
そのような事態を防ぐためにはこの千載一遇の好機に攻撃するしかない。
そこまで考えた時、プロペラの音と共に攻撃隊の護衛戦闘機が飛び立っていった。
「長官。敵さん、餌に食いつきました。」
「そうか!すぐに2航戦に連絡しろ!」
草鹿のその言葉に小沢は食いついた。
「すでに連絡しています。それより我々は自分の身を守りませんと。すぐに300機を超える攻撃隊が来ます。」
「すぐに直掩隊を上げる。損害は避けられんだろうが少しでも抑えるぞ。」
すでに上空には零戦が数機舞っていた。
阿部は1航戦から届いて電文を見て素早く指示を出した。
「稼働機全機、発艦はじめ!」
米軍に通信が傍受されていたとしても、彼らには今迎撃する手段がない。
まさに千載一遇の好機だ。
「攻撃隊!一番機発進!」
副艦長が望遠鏡をのぞきこんでいた。
他の2隻の空母も同様に艦載機が甲板から飛び出して行っていた。
頼むぞ…!
阿部はそう念じながら自らの望遠鏡で航空隊はのぞいていた。
「司令官。昨夜の攻撃で受けた損害の集計が終わりました。」
バークは瞑想に更けていたミッチャーに声をかける。
「報告してくれ。」
本当は聞きたくない。
だが、部隊を預かる身としてその責務からは逃れられない。
彼はそんな葛藤を捨て、報告を聞いた。
「昨夜の攻撃により、こちらは空母『レキシントンⅡ』、『プリンストン』そして駆逐艦2隻が沈没しました。また戦艦『ノースカロライナ』と防空巡洋艦の『バーミンガム』が中破、これらは駆逐艦を2隻つけてハワイまで撤退させました。小破以下の損害については報告書にまとめておきましたのでご覧ください。」
「分かった。ありがとう。おそらく今日も敵からの攻撃が来る。戦闘隊はいつでも発進できるようにしておいてくれ。」
バークは無言で敬礼して戻っていった。
ミッチャーは報告書に目を通す。
かなりの損害だ。
だが、幸いこの第3機動群に攻撃が集中したようでよかった。
そう思っていると吉報が舞い込んできた。
「司令、偵察隊が敵機動部隊を発見しました!」
「それは本当か!すぐに攻撃隊を出せ!」
もし、このまま防戦にあたったとしても消耗戦を展開するだけだ。
本来なら、消耗戦は我々に利がある。
ただ、今は補充が容易ではない。
逆に日本軍は周辺の基地から持続的に攻撃できる。
昨夜のようなことが続けば、我々は日本軍になんら損害を与えられず一方的に敗退するだけだ。
そのような事態を防ぐためにはこの千載一遇の好機に攻撃するしかない。
そこまで考えた時、プロペラの音と共に攻撃隊の護衛戦闘機が飛び立っていった。
「長官。敵さん、餌に食いつきました。」
「そうか!すぐに2航戦に連絡しろ!」
草鹿のその言葉に小沢は食いついた。
「すでに連絡しています。それより我々は自分の身を守りませんと。すぐに300機を超える攻撃隊が来ます。」
「すぐに直掩隊を上げる。損害は避けられんだろうが少しでも抑えるぞ。」
すでに上空には零戦が数機舞っていた。
阿部は1航戦から届いて電文を見て素早く指示を出した。
「稼働機全機、発艦はじめ!」
米軍に通信が傍受されていたとしても、彼らには今迎撃する手段がない。
まさに千載一遇の好機だ。
「攻撃隊!一番機発進!」
副艦長が望遠鏡をのぞきこんでいた。
他の2隻の空母も同様に艦載機が甲板から飛び出して行っていた。
頼むぞ…!
阿部はそう念じながら自らの望遠鏡で航空隊はのぞいていた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
空母鳳炎奮戦記
ypaaaaaaa
歴史・時代
1942年、世界初の装甲空母である鳳炎はトラック泊地に停泊していた。すでに戦時下であり、鳳炎は南洋艦隊の要とされていた。この物語はそんな鳳炎の4年に及ぶ奮戦記である。
というわけで、今回は山本双六さんの帝国の海に登場する装甲空母鳳炎の物語です!二次創作のようなものになると思うので原作と違うところも出てくると思います。(極力、なくしたいですが…。)ともかく、皆さまが楽しめたら幸いです!
日は沈まず
ミリタリー好きの人
歴史・時代
1929年世界恐慌により大日本帝國も含め世界は大恐慌に陥る。これに対し大日本帝國は満州事変で満州を勢力圏に置き、積極的に工場や造船所などを建造し、経済再建と大幅な軍備拡張に成功する。そして1937年大日本帝國は志那事変をきっかけに戦争の道に走っていくことになる。当初、帝國軍は順調に進撃していたが、英米の援蔣ルートによる援助と和平の断念により戦争は泥沼化していくことになった。さらに1941年には英米とも戦争は避けられなくなっていた・・・あくまでも趣味の範囲での制作です。なので文章がおかしい場合もあります。
また参考資料も乏しいので設定がおかしい場合がありますがご了承ください。また、おかしな部分を次々に直していくので最初見た時から内容がかなり変わっている場合がありますので何か前の話と一致していないところがあった場合前の話を見直して見てください。おかしなところがあったら感想でお伝えしてもらえると幸いです。表紙は自作です。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
満州国馬賊討伐飛行隊
ゆみすけ
歴史・時代
満州国は、日本が作った対ソ連の干渉となる国であった。 未開の不毛の地であった。 無法の馬賊どもが闊歩する草原が広がる地だ。 そこに、農業開発開墾団が入植してくる。 とうぜん、馬賊と激しい勢力争いとなる。 馬賊は機動性を武器に、なかなか殲滅できなかった。 それで、入植者保護のため満州政府が宗主国である日本国へ馬賊討伐を要請したのである。 それに答えたのが馬賊専門の討伐飛行隊である。
渡世人飛脚旅(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)
牛馬走
歴史・時代
(小説新人賞最終選考落選歴あり、別名義、別作品で)水呑百姓の平太は、体の不自由な祖母を養いながら、未来に希望を持てずに生きていた。平太は、賭場で無宿(浪人)を鮮やかに斃す。その折、親分に渡世人飛脚に誘われる。渡世人飛脚とは、あちこちを歩き回る渡世人を利用した闇の運送業のことを云う――
蒼海の碧血録
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年六月、ミッドウェー海戦において日本海軍は赤城、加賀、蒼龍を失うという大敗を喫した。
そして、その二ヶ月後の八月、アメリカ軍海兵隊が南太平洋ガダルカナル島へと上陸し、日米の新たな死闘の幕が切って落とされた。
熾烈なるガダルカナル攻防戦に、ついに日本海軍はある決断を下す。
戦艦大和。
日本海軍最強の戦艦が今、ガダルカナルへと向けて出撃する。
だが、対するアメリカ海軍もまたガダルカナルの日本軍飛行場を破壊すべく、最新鋭戦艦を出撃させていた。
ここに、ついに日米最強戦艦同士による砲撃戦の火蓋が切られることとなる。
(本作は「小説家になろう」様にて連載中の「蒼海決戦」シリーズを加筆修正したものです。予め、ご承知おき下さい。)
※表紙画像は、筆者が呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)にて撮影したものです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる