信濃の大空

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千載一遇の好機

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日付が変わり、太陽が昇り始めたころ改めて艦隊の損害が浮き彫りになった。
「司令官。昨夜の攻撃で受けた損害の集計が終わりました。」
バークは瞑想に更けていたミッチャーに声をかける。
「報告してくれ。」
本当は聞きたくない。
だが、部隊を預かる身としてその責務からは逃れられない。
彼はそんな葛藤を捨て、報告を聞いた。
「昨夜の攻撃により、こちらは空母『レキシントンⅡ』、『プリンストン』そして駆逐艦2隻が沈没しました。また戦艦『ノースカロライナ』と防空巡洋艦の『バーミンガム』が中破、これらは駆逐艦を2隻つけてハワイまで撤退させました。小破以下の損害については報告書にまとめておきましたのでご覧ください。」
「分かった。ありがとう。おそらく今日も敵からの攻撃が来る。戦闘隊はいつでも発進できるようにしておいてくれ。」
バークは無言で敬礼して戻っていった。
ミッチャーは報告書に目を通す。
かなりの損害だ。
だが、幸いこの第3機動群に攻撃が集中したようでよかった。
そう思っていると吉報が舞い込んできた。
「司令、偵察隊が敵機動部隊を発見しました!」
「それは本当か!すぐに攻撃隊を出せ!」
もし、このまま防戦にあたったとしても消耗戦を展開するだけだ。
本来なら、消耗戦は我々に利がある。
ただ、今は補充が容易ではない。
逆に日本軍は周辺の基地から持続的に攻撃できる。
昨夜のようなことが続けば、我々は日本軍になんら損害を与えられず一方的に敗退するだけだ。
そのような事態を防ぐためにはこの千載一遇の好機に攻撃するしかない。
そこまで考えた時、プロペラの音と共に攻撃隊の護衛戦闘機が飛び立っていった。


「長官。敵さん、餌に食いつきました。」
「そうか!すぐに2航戦に連絡しろ!」
草鹿のその言葉に小沢は食いついた。
「すでに連絡しています。それより我々は自分の身を守りませんと。すぐに300機を超える攻撃隊が来ます。」
「すぐに直掩隊を上げる。損害は避けられんだろうが少しでも抑えるぞ。」
すでに上空には零戦が数機舞っていた。


阿部は1航戦から届いて電文を見て素早く指示を出した。
「稼働機全機、発艦はじめ!」
米軍に通信が傍受されていたとしても、彼らには今迎撃する手段がない。
まさに千載一遇の好機だ。
「攻撃隊!一番機発進!」
副艦長が望遠鏡をのぞきこんでいた。
他の2隻の空母も同様に艦載機が甲板から飛び出して行っていた。
頼むぞ…!
阿部はそう念じながら自らの望遠鏡で航空隊はのぞいていた。
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