43 / 182
三章 新たな生活
何故そうなる
しおりを挟む
軽やかにノックをしたミネルスさんだが、扉の先から何も返事がないことに首をかしげると扉を開け中に入ってしまった。
だがミネルスさんは部屋にお目当ての人物がいないようで眉を八の字にする。
「おかしいですね、ここに待機しているよう言ったのですが……………すいませんねラグーン君、先程から予定が狂ってばかりですが少し待ちましょうか」
そう言ってミネルスさんは僕をその部屋のソファーに座らせるとその場にいた侍従にお茶の準備をするよう言った。
「誰がここにいる予定だったの?」
テーブルを挟んだ正面のソファーに腰を降ろしたミネルスさんに僕は尋ねた。
「ここには先程話したアイデンという私たちと同じ大将軍についている人がいる筈だったんですけどね、あの人にしては珍しく席を外しているようです」
「へぇ、じゃあその人が来るまでさっきは歴史だけになっちゃったこの国について教えて貰えたら嬉しいな」
通路じゃ地味に長くなった歴史を聞くだけだったからね。
「分かりました、歴史ほど長くはないですがまずは、この国は王国なので国のトップにイウァンがいます」
そう言ったミネルスさんはテーブルの隅にあったチェスを持ってくる。
「何でチェスがここにあるの………? 」
実物で見るの初めてだよ僕…………。
チェス盤を見ているとミネルスさんがニコリと笑い。
「よくイウァンがアイデンと息抜きでしているんですよ、ラグーン君チェスできます? 」
息抜き、まぁ王様も人間だし疲れるときもあるよね。
「ルール全く知らないから無理」
映画とかじゃあ見たことあるけど遊んだことは一度もないね。
「それは残念、では続きを話しますね、イウァンをキングとして、その下に私たち大将軍が武官と文官合わせて4人」
ことりとミネルスさんはキングの駒を一つ置き、その横に白と黒両方のビショップの駒を4つ置いた、最後にビショップの横にボーンの駒を8つ置くと僕に笑みを向けた。
「その大将軍の下に8人前後に将軍がつきます、そこから副官、隊長と枝分かれ式に階級が決まります、ここまでは分かりましたか? 」
「うん、結構わかりやすいね」
ミネルスさん説明上手、とラグーンが感心していると、ミネルスさんはチェス盤を整えながらラグーンに柔らかな笑みを向ける。
「下手に複雑にせずに分りやくした方がその分質を高められますからね、さて、彼が来るまでチェスでもしていましょうか」
え?
「いやだから僕ルール知らないからできないってば」
なんでそんな朗らかな笑顔なの?。
「そこは大丈夫、私が手取り足取り丁寧に教えて差し上げますから、さ、遠慮しないで」
満面過ぎる笑顔のミネルスさんに少し僕は冷や汗をき頭のなかではこれあかんと警報が鳴る。
「笑顔……! 笑顔が怖いよミネルスさん…………!! 」
威圧感のある笑顔ってなに!?
「それは気のせいですよラグーン君、ふふ」
「だから怖いってばっ」
「すまない遅くなったっ!! 」
ミネルスさんの笑顔にゾッとしていると、荒々しい音を立てて男の人が部屋に入ってきた。
それを見たミネルスさんはため息をついて僕を見ると残念そうな顔をする。
「……邪魔が入ってしまいましたね、チェスはまた次の機会にしておきましょう」
「えぇ……………」
できれば全力で遠慮したい……。
「む?、何かしていたのか?」
部屋に入ってきた男性、武士のようにキリッとした雰囲気の人は僕達二人に聞く。
「えぇ少しね、所でアイデン、貴方ここにいてほしいと言ったのに何故いなかったんですか? 」
あ、この人がアイデンさんね。
僕は改めてそのアイデンさんを見る。
アルさんとはまた違った落ち着いた精悍な顔立ちで洗練されたような雰囲気を少し吊り上がった目や引き締めた口から醸し出している。
あの人が野性的だとするとこの人は男らしいかな、格好いいお兄さんみたい。
……でもなんで鎧もつけてないのに右手の肘から全部そこだけ籠手がついているんだろう。
僕が観察していると、パチリとアイデンさんと目が合った。
「昨日アルギスの嫁を紹介すると聞いていてな、即席だが土産を用意してきたのだ、が……………」
右手に持った紙袋を見せながら言ったアイデンさんは目があっている僕を見て眉間の皺を寄せる。
え? なに?
「……ミネルス、アルギスの嫁は子持ちかなにかか? 」
………僕子持ち設定ついてるの? 性別以前に子供よ?
「いえ、彼がアルギスのお嫁さんですよ」
あ、子供って僕のことね。
ミネルスさんの答えにアイデンさんは更に皺を寄せる。
「…………ちょっとしたどっきりか? ミネルス」
信じてないよこの人………まぁ僕完全に子供だしね………無理もない。
「いいえ、この子がアルギスのお嫁さんです」
するとアイデンは顎に手を当てて何かを考え出すと。
「……………………彼は幾つだ?」
「聞いた限りだと確か………500歳過ぎてましたよね? 」
「……うん、そうだよ」
それを聞いたアイデンさんは眉間の皺を寄せたまま僕を食い入るように見る。
「……………この見た目で? 」
「えぇ、魔族ですけどね」
そういえばアルさんと接してて忘れていたけど、魔族って大抵嫌われる存在だよね。
この人は真面目そうだけど魔族に対してはどうなんだろう。
「………そうか、名前はラグーン…………で姓名は?」
アイデンさんは目の前に僕がいるにもかかわらずミネルスさんに訪ねる。
「パイライトです」
ミネルスさんがやれやれと苦笑している辺り不味いかも。
そしてアイデンさんは僕の前に膝をつくとまっすぐと僕を見る。
「ラグーン・パイライト君」
フルネーム呼び………?
出てけとか言われちゃうかな?、いや、まぁいきなり現れた謎で人物かも怪しい魔族で魔王でダンジョンマスターだから言われても仕方ないよね。
なんか言われた時のために返す言葉を考えな…………。
「頬擦りをしてもいいだろうか」
「……………はい?」
だがミネルスさんは部屋にお目当ての人物がいないようで眉を八の字にする。
「おかしいですね、ここに待機しているよう言ったのですが……………すいませんねラグーン君、先程から予定が狂ってばかりですが少し待ちましょうか」
そう言ってミネルスさんは僕をその部屋のソファーに座らせるとその場にいた侍従にお茶の準備をするよう言った。
「誰がここにいる予定だったの?」
テーブルを挟んだ正面のソファーに腰を降ろしたミネルスさんに僕は尋ねた。
「ここには先程話したアイデンという私たちと同じ大将軍についている人がいる筈だったんですけどね、あの人にしては珍しく席を外しているようです」
「へぇ、じゃあその人が来るまでさっきは歴史だけになっちゃったこの国について教えて貰えたら嬉しいな」
通路じゃ地味に長くなった歴史を聞くだけだったからね。
「分かりました、歴史ほど長くはないですがまずは、この国は王国なので国のトップにイウァンがいます」
そう言ったミネルスさんはテーブルの隅にあったチェスを持ってくる。
「何でチェスがここにあるの………? 」
実物で見るの初めてだよ僕…………。
チェス盤を見ているとミネルスさんがニコリと笑い。
「よくイウァンがアイデンと息抜きでしているんですよ、ラグーン君チェスできます? 」
息抜き、まぁ王様も人間だし疲れるときもあるよね。
「ルール全く知らないから無理」
映画とかじゃあ見たことあるけど遊んだことは一度もないね。
「それは残念、では続きを話しますね、イウァンをキングとして、その下に私たち大将軍が武官と文官合わせて4人」
ことりとミネルスさんはキングの駒を一つ置き、その横に白と黒両方のビショップの駒を4つ置いた、最後にビショップの横にボーンの駒を8つ置くと僕に笑みを向けた。
「その大将軍の下に8人前後に将軍がつきます、そこから副官、隊長と枝分かれ式に階級が決まります、ここまでは分かりましたか? 」
「うん、結構わかりやすいね」
ミネルスさん説明上手、とラグーンが感心していると、ミネルスさんはチェス盤を整えながらラグーンに柔らかな笑みを向ける。
「下手に複雑にせずに分りやくした方がその分質を高められますからね、さて、彼が来るまでチェスでもしていましょうか」
え?
「いやだから僕ルール知らないからできないってば」
なんでそんな朗らかな笑顔なの?。
「そこは大丈夫、私が手取り足取り丁寧に教えて差し上げますから、さ、遠慮しないで」
満面過ぎる笑顔のミネルスさんに少し僕は冷や汗をき頭のなかではこれあかんと警報が鳴る。
「笑顔……! 笑顔が怖いよミネルスさん…………!! 」
威圧感のある笑顔ってなに!?
「それは気のせいですよラグーン君、ふふ」
「だから怖いってばっ」
「すまない遅くなったっ!! 」
ミネルスさんの笑顔にゾッとしていると、荒々しい音を立てて男の人が部屋に入ってきた。
それを見たミネルスさんはため息をついて僕を見ると残念そうな顔をする。
「……邪魔が入ってしまいましたね、チェスはまた次の機会にしておきましょう」
「えぇ……………」
できれば全力で遠慮したい……。
「む?、何かしていたのか?」
部屋に入ってきた男性、武士のようにキリッとした雰囲気の人は僕達二人に聞く。
「えぇ少しね、所でアイデン、貴方ここにいてほしいと言ったのに何故いなかったんですか? 」
あ、この人がアイデンさんね。
僕は改めてそのアイデンさんを見る。
アルさんとはまた違った落ち着いた精悍な顔立ちで洗練されたような雰囲気を少し吊り上がった目や引き締めた口から醸し出している。
あの人が野性的だとするとこの人は男らしいかな、格好いいお兄さんみたい。
……でもなんで鎧もつけてないのに右手の肘から全部そこだけ籠手がついているんだろう。
僕が観察していると、パチリとアイデンさんと目が合った。
「昨日アルギスの嫁を紹介すると聞いていてな、即席だが土産を用意してきたのだ、が……………」
右手に持った紙袋を見せながら言ったアイデンさんは目があっている僕を見て眉間の皺を寄せる。
え? なに?
「……ミネルス、アルギスの嫁は子持ちかなにかか? 」
………僕子持ち設定ついてるの? 性別以前に子供よ?
「いえ、彼がアルギスのお嫁さんですよ」
あ、子供って僕のことね。
ミネルスさんの答えにアイデンさんは更に皺を寄せる。
「…………ちょっとしたどっきりか? ミネルス」
信じてないよこの人………まぁ僕完全に子供だしね………無理もない。
「いいえ、この子がアルギスのお嫁さんです」
するとアイデンは顎に手を当てて何かを考え出すと。
「……………………彼は幾つだ?」
「聞いた限りだと確か………500歳過ぎてましたよね? 」
「……うん、そうだよ」
それを聞いたアイデンさんは眉間の皺を寄せたまま僕を食い入るように見る。
「……………この見た目で? 」
「えぇ、魔族ですけどね」
そういえばアルさんと接してて忘れていたけど、魔族って大抵嫌われる存在だよね。
この人は真面目そうだけど魔族に対してはどうなんだろう。
「………そうか、名前はラグーン…………で姓名は?」
アイデンさんは目の前に僕がいるにもかかわらずミネルスさんに訪ねる。
「パイライトです」
ミネルスさんがやれやれと苦笑している辺り不味いかも。
そしてアイデンさんは僕の前に膝をつくとまっすぐと僕を見る。
「ラグーン・パイライト君」
フルネーム呼び………?
出てけとか言われちゃうかな?、いや、まぁいきなり現れた謎で人物かも怪しい魔族で魔王でダンジョンマスターだから言われても仕方ないよね。
なんか言われた時のために返す言葉を考えな…………。
「頬擦りをしてもいいだろうか」
「……………はい?」
13
お気に入りに追加
1,917
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました
璃音
ファンタジー
主人公の音無 優はごく普通の高校生だった。ある日を境に優の人生が大きく変わることになる。なんと、優たちのクラスが異世界召喚されたのだ。だが、何故か優だけか違う場所にいた。その場所はなんと神界だった。優は神界で少しの間修行をすることに決めその後にクラスのみんなと合流することにした。
果たして優は地球ではない世界でどのように生きていくのか!?
これは、主人公の優が人間を辞め召喚された世界で出会う人達と問題を解決しつつ自由気ままに生活して行くお話。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる