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しおりを挟む「ベルトランか………」
伯父様は王様の名前をボソッと呟き、眉間に皺を寄せて難しそうな顔をしている
「伯父様?どうしたんですか?」
「いや、馬車の中で話してくれた、未来の事を考えていたんだ。私は何故、ベルトランにお前の事を助けてくれるように頼まなかったんだ?ベルトランに頼んでたら、エミリーの無実を証明して、助けることなんて簡単に出来たはずだ」
確かに王様と伯父様が仲良いならそれは出来たはず、王様が万全な状態なら未来は変わっていたかもしれない
「伯父様、残念ながら未来の伯父様は王様に頼ることは出来なかったと思いますわ」
「どう言うことだ?ベルトランなら手を貸してくれると思うが?」
「私が死刑になる3ヶ月前に、王様は何者かに襲撃されて植物状態になってます。隣国に情報を流しただけじゃなく、刺客を手引きしたのも私じゃないかと言われていました」
死刑にされる切っ掛けの出来事も、私がやるのはよく考えたら有り得ない事なのに、何故かみんな信じきったのよね
子爵家の娘でしかない私が、国を危険に晒すような情報をどうやって手に入れるの?
王様は王宮の自室で襲われたのに、私がどうやって手引きするのよ
子爵家の私が王宮に出入り出来るのは、王族主催のパーティーの時だけ、王様の自室の場所も分からない、秘密の通路も分からない、近衛兵達の見廻り時間や順路も知るわけないのに、言い掛かりにも程があるわよね
「襲撃か………、襲われることを知っててそのままにする訳にはいかないな。ベルトランにエミリーの事を相談して、今後のことに備えた方がいいか?」
「でも伯父様、王様が現実味ないことを信じてくれるでしょうか?下手したら国を混乱させるつもりだと思われて、罰せられるんじゃないですか?」
「ベルトランがそんな事をするとは思えないが、周りが騒がないとは限らないな。エミリー近いうちに何かわかりやすい出来事は起こらないか?エミリーが関与出来ないようなことで」
「うーん、そう言えば王女様が1か月後に10歳の誕生日を迎えますよね?属性なら知ってますけどそれで大丈夫ですか?氷属性と聖属性を手に入れる事になってます。かなり聖属性の能力が高いみたいで、次期聖女に選ばれていましたわ」
「それが事実ならかなりいい情報だな」
なら良かった。
私と王女様は同い年だから、本当なら学園で同学年になるはずだった。だけど王女様は鑑定してすぐに、教会に籠るようになったから会ったことはないのよね。
お父様とお母様は私を家の為の道具にするつもりは無かったみたいだけど、それでも王女様が学園に入学しないって知って落ち込んでたのよね。
子爵家の娘の私と王女様が仲良くなるなんて無理な話だろうに、そんなの少し考えれば分かると思うけど?
我が家は裕福な方だったけど、それでも王女様と私では生活水準が桁違いなはず、話も合わない相手と仲良くなるなんて難しいわよ、
王女様が庶民的な考えの持ち主なら、結果は違うだろうけど、王族は貴族より厳しく身分にあった教育をされるはず、そんな人が庶民的な考えを持ってるわけないわよね。
身分にあった教育って言っても傲慢になれって訳では無いだろうけど、王都での貴族の態度は私はあまり好ましいって思えない。
全ての貴族ではないけど、傲慢で自分勝手なものが多い印象がする
身分があるものには、それに見合った責任がある
好き勝手していい訳では無い
私がこう考えるようになったのは、巻き戻り前に伯父様達以外がみんな敵になったからかもしれない。
もしも私が性格に難があったなら、あの結果でも仕方なかったかもしれないけど、自分で言うのは微妙だけど、人から嫌われるような事をした訳でもないし、性格も特に悪いわけではなかった、見た目だって気を使ってたから普通より少し上だと思う
最初は甘え上手で周りに好かれることが得意なパトリシアに人が集まった、そしたら味方が多いパトリシアの方に人がどんどん集まるようになって、そして私は孤立するようになった
人は誰しも人気者の所に集まるところがある、パトリシアがターゲットを他の人にしてたら、私だって周りの人と同じ行動をしていたと思う
自分だけ別の行動をするのはとても勇気のいること、イジメを受けているものが自分にとって、とても大切な存在じゃなかったら、敵が多い者の味方にはならない
応援ありがとうございます!
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