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50:とうの昔に終わっている
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晩餐会は、ナメクジ型のモンスターゴーストを私が撃退したという話題で、持ちきりだった。そうなったのは、とにかくマルクスがご機嫌で、皆に話まくったからだ。おかげで私の信頼度は、うなぎ登り。残りのゴーストもぜひ頼みますと、領主ヘラルドも拝んでくれている。
私としては、後から気づいたのだが、噴水を……破壊している。この件について、責任を問われると思ったのだが……。
「噴水を破壊したのは、わたしの三騎士です。ですから賠償はわたしがしましょう」
アルベルトがそう申し出てくれた。
確かに破壊したのはマルクスだが、壊すように指示したのは私だ。
マルクスに罪を着せるのは……と思い、口を開こうとすると、アルベルトが手で制した。そして領主ヘラルドは……。
「噴水の一つや、二つ、どうってことありません。あの中庭は、月を見るにも星を見るにも、最高の場所でした。それがあのゴーストのおかげでこの3年、誰も日没後に近寄ることができませんでした。不便を強いられていたのです。それが解消されたのですから。賠償など不要です」
この一言で、噴水破壊は、お咎めなしで済んだ。
そして晩餐会も、無事に終わった。
晩餐会が終わったタイミングで、私は領主ヘラルドに声をかける。
この後、厨房で片付けが終わったら、ゴーストの様子を確認したいと申し出たのだ。
すると……。
「せ、聖女さま。晩餐会も終わりました。この後は部屋にこもり、朝まで部屋の外に出ないことをお勧めします。ゴーストたちは、特定の場所に現れますが、その場所以外での目撃情報が、ゼロのわけではないので」
「お気遣いいただける気持ちは有難いです。でも厨房は朝昼晩と、ほぼ常に稼働しています。ゴースト退治をするには、晩餐会の片付けが終わったタイミングが、ベストだと思います。家令のゴヨからも、厨房のゴーストは、20時頃に出ると聞いています」
「それはそうですが……」
するとミゲルが、声をかけてくれた。
「ヘラルド殿、聖女殿の護衛は私が務めるので、安心していただけないでしょうか」
「なんと、ミゲルさまが。この国で最強の剣の使い手と言われるあなたさまが護衛につくのであれば、心配はなさそうですね。とはいえ、聖女さま、本当に、お気をつけて」
領主ヘラルドの言葉に頷き、私はミゲルを見る。
「王太子さまの護衛は、大丈夫なのですか?」
「アルベルトさまから、あなたの護衛につくように言われたので、問題ないですよ」
……! アルベルトが私のために!?
一瞬気持ちが悪役令嬢パトリシアに戻り、感動しかけたが……。
違う。
この気遣いは、悪役令嬢パトリシアに対してではなく、聖女オリビアに対するものだ。パトリシアとアルベルトは、とうの昔に終わっている。それを忘れてはならない。
「そうですか。それは心強いです。それでは20時までまだ時間があるので、部屋でお互い待機でいいでしょうか?」
「ええ。それで問題ありませんよ。時間になりましたら、私が部屋へお邪魔します」
こうしてスノーと私は、一度部屋に戻ることにした。
私としては、後から気づいたのだが、噴水を……破壊している。この件について、責任を問われると思ったのだが……。
「噴水を破壊したのは、わたしの三騎士です。ですから賠償はわたしがしましょう」
アルベルトがそう申し出てくれた。
確かに破壊したのはマルクスだが、壊すように指示したのは私だ。
マルクスに罪を着せるのは……と思い、口を開こうとすると、アルベルトが手で制した。そして領主ヘラルドは……。
「噴水の一つや、二つ、どうってことありません。あの中庭は、月を見るにも星を見るにも、最高の場所でした。それがあのゴーストのおかげでこの3年、誰も日没後に近寄ることができませんでした。不便を強いられていたのです。それが解消されたのですから。賠償など不要です」
この一言で、噴水破壊は、お咎めなしで済んだ。
そして晩餐会も、無事に終わった。
晩餐会が終わったタイミングで、私は領主ヘラルドに声をかける。
この後、厨房で片付けが終わったら、ゴーストの様子を確認したいと申し出たのだ。
すると……。
「せ、聖女さま。晩餐会も終わりました。この後は部屋にこもり、朝まで部屋の外に出ないことをお勧めします。ゴーストたちは、特定の場所に現れますが、その場所以外での目撃情報が、ゼロのわけではないので」
「お気遣いいただける気持ちは有難いです。でも厨房は朝昼晩と、ほぼ常に稼働しています。ゴースト退治をするには、晩餐会の片付けが終わったタイミングが、ベストだと思います。家令のゴヨからも、厨房のゴーストは、20時頃に出ると聞いています」
「それはそうですが……」
するとミゲルが、声をかけてくれた。
「ヘラルド殿、聖女殿の護衛は私が務めるので、安心していただけないでしょうか」
「なんと、ミゲルさまが。この国で最強の剣の使い手と言われるあなたさまが護衛につくのであれば、心配はなさそうですね。とはいえ、聖女さま、本当に、お気をつけて」
領主ヘラルドの言葉に頷き、私はミゲルを見る。
「王太子さまの護衛は、大丈夫なのですか?」
「アルベルトさまから、あなたの護衛につくように言われたので、問題ないですよ」
……! アルベルトが私のために!?
一瞬気持ちが悪役令嬢パトリシアに戻り、感動しかけたが……。
違う。
この気遣いは、悪役令嬢パトリシアに対してではなく、聖女オリビアに対するものだ。パトリシアとアルベルトは、とうの昔に終わっている。それを忘れてはならない。
「そうですか。それは心強いです。それでは20時までまだ時間があるので、部屋でお互い待機でいいでしょうか?」
「ええ。それで問題ありませんよ。時間になりましたら、私が部屋へお邪魔します」
こうしてスノーと私は、一度部屋に戻ることにした。
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