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6:まさか、また死亡していた!?
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ここがどこであるか、とか、私をさらったであろうアズレークがどこにいるのか、とか、そういったことは……気になる。部屋の様子を見る限り、それなりの財力もありそうだ。となると警備の騎士などもいるかもしれない。
早く逃げないと大変なことになるのではと思う反面、やみくもに動き回るのも危険ということも理解している。
一旦深呼吸した。
焦って行動しても失敗するだけだ。
それにすぐ殺すつもりなら、あの場で殺したはず。
でも殺さず、ここに連れてきた。
しかも拘束もせず、ご丁寧にもベッドで寝かせていた。
部屋にはメイドのような少女を置いて。
ならばここは落ち着いて、まずは情報収集だ。
「分かったわ。パウンドケーキをいただきます。まだ紅茶も途中ですしね」
「はい。ゆっくりいただきましょう」
スノーは、私がサイドテーブルに置いた紅茶をとってきて、テーブルに置いてくれた。
私はパウンドケーキがのったお皿を手に椅子に腰をおろした。
「パトリシアさまとは今日初めて会いましたが、とても楽しかったです。ただ、あれだけ素敵な香りがしているのに、肝心の殿方がいなくて、残念でしたが」
自身がいれた紅茶を飲みながら、スノーが私を見る。
殿方……?
え、私、スノーと舞踏会でも行ったのだろうか?
もしかして意識を失ったと思ったけど、実は死亡していて、また別の世界にでも転生したとか……?
事態を飲み込めず、目をパチクリさせると。
「アズレークさまはスゴイですね。とても強い魔力をお持ちです。きっとアズレークさまのような方こそが、魔王さまなのでしょうね」
「え、ま、魔王……?」
「はい、魔王さまだと思います。だって私、ミニブタでしたが、人間になれましたから。アズレークさまの魔力で」
「……え、あ、あなた、スノーなの!?」
その言葉しかでなかった。
驚きの情報がいくつも入ってきた。
目の前にいるこの美しい少女があのミニブタのスノー!?
でも、言われてみれば確かにこの真っ白な感じ、スノーに似ている……。しかもミニブタを人間に変えたのは、あの人さらいのアズレーク!?
魔力が強い……それはそうだろう。
ミニブタを人間に変えるなんてことができるのだから。
それに確かにあの全身黒ずくめな姿。
魔王……。
そう言われると魔王にしか見えない。
あの美貌は確かに人智を超えていた気がする。
思わず納得してしまったが。
ま、まさか、魔王にさらわれたなんて……。
でも、待って。
『戦う公爵令嬢』は新機軸な設定がある乙女ゲーだったが、魔王なんて登場していない。
あくまで恋愛ゲームだ。
あ、でも……。
今、私が生きているこの世界は、悪役令嬢であるパトリシアが断罪された後の世界だ。
そんな世界は乙女ゲーでは見ていないわけで……。
……もしかしたら。
ゲームの続編が出たのかもしれない。
あのアズレークはとんでもない美貌の持ち主だったし、もしかすると新たな攻略キャラなのかもしれない。
いずれであったとしても。
魔王と言えば、人に害を成す者と恐れられている。
そんな魔王と一緒にいては、何をされるか分からない。
「スノー、逃げましょう」
「え、どうしてですか、パトリシアさま」
「だって、アズレークは魔王なのでしょう? 私達は魔王に捕まったのよ。逃げないと。逃げてみんなところに戻らないと」
「どうして逃げる必要が? アズレークさまはパトリシアさまにこの素敵なお部屋とドレスを用意してくださりました。そして私にパトリシアさまを世話するように言い、私の部屋も用意してくれています。こんなに美味しい紅茶とパウンドケーキも食べられますし、ここにいれば何不自由なく生きて行けそうですよ。修道院は……狭くて、寒くて、地味で何もないじゃないですか」
「スノー」
その時だった。
ドアがノックされ、アズレークが部屋に入ってきた。
早く逃げないと大変なことになるのではと思う反面、やみくもに動き回るのも危険ということも理解している。
一旦深呼吸した。
焦って行動しても失敗するだけだ。
それにすぐ殺すつもりなら、あの場で殺したはず。
でも殺さず、ここに連れてきた。
しかも拘束もせず、ご丁寧にもベッドで寝かせていた。
部屋にはメイドのような少女を置いて。
ならばここは落ち着いて、まずは情報収集だ。
「分かったわ。パウンドケーキをいただきます。まだ紅茶も途中ですしね」
「はい。ゆっくりいただきましょう」
スノーは、私がサイドテーブルに置いた紅茶をとってきて、テーブルに置いてくれた。
私はパウンドケーキがのったお皿を手に椅子に腰をおろした。
「パトリシアさまとは今日初めて会いましたが、とても楽しかったです。ただ、あれだけ素敵な香りがしているのに、肝心の殿方がいなくて、残念でしたが」
自身がいれた紅茶を飲みながら、スノーが私を見る。
殿方……?
え、私、スノーと舞踏会でも行ったのだろうか?
もしかして意識を失ったと思ったけど、実は死亡していて、また別の世界にでも転生したとか……?
事態を飲み込めず、目をパチクリさせると。
「アズレークさまはスゴイですね。とても強い魔力をお持ちです。きっとアズレークさまのような方こそが、魔王さまなのでしょうね」
「え、ま、魔王……?」
「はい、魔王さまだと思います。だって私、ミニブタでしたが、人間になれましたから。アズレークさまの魔力で」
「……え、あ、あなた、スノーなの!?」
その言葉しかでなかった。
驚きの情報がいくつも入ってきた。
目の前にいるこの美しい少女があのミニブタのスノー!?
でも、言われてみれば確かにこの真っ白な感じ、スノーに似ている……。しかもミニブタを人間に変えたのは、あの人さらいのアズレーク!?
魔力が強い……それはそうだろう。
ミニブタを人間に変えるなんてことができるのだから。
それに確かにあの全身黒ずくめな姿。
魔王……。
そう言われると魔王にしか見えない。
あの美貌は確かに人智を超えていた気がする。
思わず納得してしまったが。
ま、まさか、魔王にさらわれたなんて……。
でも、待って。
『戦う公爵令嬢』は新機軸な設定がある乙女ゲーだったが、魔王なんて登場していない。
あくまで恋愛ゲームだ。
あ、でも……。
今、私が生きているこの世界は、悪役令嬢であるパトリシアが断罪された後の世界だ。
そんな世界は乙女ゲーでは見ていないわけで……。
……もしかしたら。
ゲームの続編が出たのかもしれない。
あのアズレークはとんでもない美貌の持ち主だったし、もしかすると新たな攻略キャラなのかもしれない。
いずれであったとしても。
魔王と言えば、人に害を成す者と恐れられている。
そんな魔王と一緒にいては、何をされるか分からない。
「スノー、逃げましょう」
「え、どうしてですか、パトリシアさま」
「だって、アズレークは魔王なのでしょう? 私達は魔王に捕まったのよ。逃げないと。逃げてみんなところに戻らないと」
「どうして逃げる必要が? アズレークさまはパトリシアさまにこの素敵なお部屋とドレスを用意してくださりました。そして私にパトリシアさまを世話するように言い、私の部屋も用意してくれています。こんなに美味しい紅茶とパウンドケーキも食べられますし、ここにいれば何不自由なく生きて行けそうですよ。修道院は……狭くて、寒くて、地味で何もないじゃないですか」
「スノー」
その時だった。
ドアがノックされ、アズレークが部屋に入ってきた。
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