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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

ポーター公爵家の最後

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【ポーター家の血を根絶やしにする】

 陛下が下した命はすぐさま実行された。

 元々始めからそうするつもりだったのだと思える程、手際よくことが進んでいる。

 私と殿下は、それを離れた場所から静観していた。

 ここらから先は大人の仕事と言われ、私と殿下は完全に蚊帳の外。うん。分かってる。意地悪じゃなく皆の優しさだってことは。大の大人でも顔を背け、心に傷が残る程の事だもの。

 事実、ゴミ虫さんが犯した罪は重い。極刑は当然だと思う。だけど、今回はゴミ虫さん以外の、罪には一切関係のない者たちもその対象になった。

 つまり、王族が圧倒的な力を示すための見せしめだーー。

 王族はゴミ虫さんの罪を利用したんだ。正直、私でも汚いやり方だって思うよ。でも……未来を見据えた時、それは必要だったと思う時が来るかもしれない。それが政治であり、玉座なんだと私は思う。綺麗事で出来る程、甘くはないのだから。

 まず、王都に住む者が連行されてきた。着の身着のままで。そこに、貴族の尊厳など一切ない。何の弁明も説明も許されないまま、彼らは問答無用で北の塔に収容された。

 北の塔は主に重罪、特に政治犯を収容する施設である。貴族でありながら、裏で暗躍している者が多い点から、貴族を収容する施設としても使われていた。牢獄ではあるが、地下牢よりはかなりマシだ。それでも、牢獄には違いない。

 まだ、王都に住む者はマシな方だ。可哀想なのは王都にいない者たちだった。

 彼らも同じ様に捕らえられ運ばれる。罪人用の檻の中にいれられ晒し者にされながら。勿論、子供も一緒にだ。王都に着いた時点で、皆既に傷だらけでボロボロの状態だった。冗談でもなく、大袈裟でもなく。

 大半の者たちは、自分の身に何が起きているか、何故捕まったのか、分からない者ばかりだろう。でもその未来は、容易に想像出来たに違いない。

 元先代ポーター公爵夫妻。他家に嫁いだ姉と妹。そして、その子供たち。分家に養子に入っていた弟夫婦とその子供。当然、その中にはディア様とその兄もいた。

 幼い子供をいれて、二十人ぐらい。

 全員が揃うのに、一か月は有に掛かった。その間を利用して、着々と処刑場を造っていく。そこで、始めて想像が現実味を帯びてくるのだ。

 そして全員揃うと、広場に集められ告げられた。どうしてこうなったのかをーー。

 理不尽だと怒声が上がる。子供だけは助けてくれと泣き叫ぶ声もする。自分は関係ないと嘆願する声も上がる。その声は遠く離れた場所まで届いた。

 そんな彼らの声を一切無視し、立ち去る騎士と宰相。

 但し、置き土産を残して。

 勿論、置き土産は元凶であるゴミ虫さんだった。


 

☆☆☆

【第一回次世代ファンタジーカップ】に参加しています。

 タイトルは〈何もかも全てを奪われた元勇者王子、今度は俺が貴様らから全て奪ってやる〉です。

 全てを奪われた元王子の復讐物語。復讐は第一章から。盛大なざまぁを予定してます。

 楽しんで頂けたら嬉しいですm(_ _)m 


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