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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
一番の罪人は私だ
しおりを挟むーー信じない。
信じたくない。
今のディア様を見て思う。それがディア様の本音だったんだと。その思いが強過ぎて、現実が受け入れなくて、否定すればする程徐々に心が壊れて、完全に壊れてしまった。
ひとしきり叫んだ後、ディア様はクスクスと楽しそうに笑い出した。柔和な顔で。まるで全ての憑き物が取れたように。その笑顔からは本当に幸せ感が溢れていた。
ディア様は夢の世界に旅立ったのね……。
そこだったら、ディア様を否定する人間も邪魔をする人間もいない。ずっと、いつまでも、自分の愛する人たちに護られ、囲われ、愛を囁き囁かれ続けるのね。
「…………哀れな娘ね……」
そうポツリと呟いたのは、王妃様だった。
私は殿下の横に移動する。そして、強く握り締めている拳に手を添えた。
優しい殿下だから、自分を責めてるぐらい嫌でも分かる。今はどんなに嫌な相手でも、昔は一緒に遊んだ幼馴染馴染み。楽しかった思い出も沢山あった筈。その幼馴染を壊した。
確かに、止めを刺したのは殿下。でも、それは私も同じ。ううん、違う。私の方が酷いことをした。だって、私がディア様の心の鎧を攻撃して破壊した。だから、殿下の攻撃が致命傷になったんだ。一番の罪人は私だろう。
ディア様が騎士に抱えられるように運ばれ、謁見の間から出て行くのを、私と殿下は目を逸らさずに見詰めた。
私も殿下もその姿を一生忘れない。
一生ーー。
でも、このゴミ虫さんは違うようだ。途中から最後まで、自分の娘を化け物を見るような目で見続けていた。ディア様がよろけた時は、短い悲鳴を上げていた。娘に対してだ。
そんなゴミ虫さんを見る皆の目は非常に冷たい。もはや、人間を見る目じゃない。勿論私も、殿下もだ。侮蔑、蔑み、あらゆる負の感情が含む目で、床に転がっているゴミ虫さんを見下ろしている。
「ーーもはや弁明も必要ないな。ポーターよ。
お前の罪を一つ一つ上げたら陽が暮れるわ。どれも重罪、極刑ものだということを忘れるな。
ポーターよ。簡単に死ねると思うなよ。この世の地獄を十分にあじわって果てるがいい。それまでは壊れるなよ。まぁ、壊さぬがな」
陛下が口角を上げながら告げる。すると、すかさず師団長様が答える。
「その件ならば、私にお任せ下さい。陛下。このゴミ虫が壊れないよう細工を施しましょう」と。
ゴミ虫さんが悲鳴を上げた。何か色々叫んでたけど、当然無視無視。五月蝿くなると、すかさずお父様が踏み付ける。ほんと馬鹿だよね。五月蝿くしなかったら、踏み付けられなくて済むのに。
「ああ。言い忘れていたな。
ポーター公爵家は取り潰し。一族諸共極刑とする。但し、未成年に対しては貴族籍を取り上げた上、平民として生きよ」
陛下の命によって、ポーター公爵家の親戚、この場合だと三親等全ての成人は男女問わず極刑の罰を受けることとなった。勿論、その配偶者も。一族諸共とはそういう意味だ。可哀想なのは残される子供だろう。親を突然奪われ、入れ墨をいれられ、一生、犯罪者の子供として生きて行くことになるのだから。
王家にあだなす者は徹底的に潰す。
王家は容赦はしない。してはいけない。どんなに恨まれてもーー。
☆☆☆
最後まで読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m
【第一回次世代ファンタジーカップ】が始まりました。勿論、参加しています。
タイトルは〈何もかも全てを奪われた元勇者王子、今度は俺が貴様らから全て奪ってやる〉です。
一応、復讐物になってます。
楽しんで頂けたら嬉しいですm(_ _)m
応援ありがとうございます!
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