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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
いずれ、再び現れるかもしれませんわね
しおりを挟むポーター公爵家が取り潰しとなり、血筋共々この世界から消えた事件は、貴族社会を大震撼させた。
と同時に、ポーター公爵家に擦り寄っていた貴族たちは、皆肩身の狭い立場へと追いやられる結果となった。同情はしない。読み違えた自分たちの責任なんだから。
ディア様の取り巻きもそう。
でも、その中で一番ショックを受けたのはオルガ義兄様だった。そりゃあそうだよね。好きな子が自分を奴隷にしようとしていただけでもショックだったのに、親友が処刑されたんだもの、ショックを受けて当然だわ。
しばらく引き籠もっていたらしいけど、今は少しづつ外に出てハンターの仕事をしているらしい。学園の方はもう暫く休学させるってお父様が言ってた。私もその方がいいと思う。だって、心無い人たちに色々影で言われると思うから。
その学園だけど、今休校になっている。
まぁ当然よね。処刑された生徒もいたし、貴族籍を剥奪され、罪人の入れ墨をされて放逐された者もいる。ディア様もその一人。顔に入れ墨をされて修道院に収容された。その修道院が療養施設も兼ねていることを知り、複雑な気持ちになった。ディア様的にはいいことだけど、巻き込まれて同じ様に入れ墨をされた人のことを考えると素直に喜べなかった。
「まだ気に病んでいるのか?」
殿下とのお茶会で元気がない私に、殿下が尋ねてきた。
心配そうな表情を見せる殿下に、私はニッコリと微笑む。安心させるように。でも殿下には、私が無理してることなんて手に取るように分かるわよね。
「……気に病まないという選択肢はありませんわ。でも、後悔はしてませんわ」
それだけは、はっきりと言えます。
「ならいい」
殿下は私の重荷を半分背負ってくれる。下手したら、全部背負おうとしてくる。何も言わずにね。だから、私も殿下の重荷を背負える人間になろうと決めた。勉強もそのために必要なことだから続けてる。魔法と剣の修行も追加してね。
「……それで殿下、例の教団の司祭は捕まりましたか?」
私の問いに、殿下は暗い顔で首を横に振る。美形はそんな顔も様になるわね。
「いいや、捕まってはいない。どこに隠れたのか。クソっ、腹が立つ!!」
私がいう司祭は、ディア様に隷属のブレスレットを渡した司祭のことだ。
当然、いち早く手配したよ。町を封鎖して隈なく捜した。教団自体も国の捜査機関が入り、徹底的に調べた。
しかし、手掛かりは見付からない。
ただ分かったのは、隷属のブレスレットは、その司祭しか作ることが出来ないものだったってことだけ。他の似たブレスレットは、ちょっとした催眠効果があるらしい。これも当然アウト。どっちにせよ、違法なものだ。なので、ブレスレットは回収され、教祖たちは捕えられた。その上、多額の罰金を払うことになった。
これで二度と、教団を立ち上げることは出来ないと思う。
そんな中で、司祭は忽然と姿を消した。まるで雲隠れしてしまったかのように。
「……いずれ、再び私たちの前に姿を現す日が来るかもしれませんわね」
そんな気がしてならない。
「マリエール?」
「ここまで捜して、手掛かりの一つもないというのはそういうことでしょう」
それだけで、殿下には通じた。
おそらく、あの司祭は……糞女神の手の者だったと考えるのが自然だわ。だとしたら、近いうちに、また私たちの目の前に現れるでしょうね。その時は同じ姿とは限らないでしょうけど。
次こそは、その首根っこをしっかりと掴むわ。絶対にね。
☆☆☆
最後まで読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
【第一回次世代ファンタジーカップ】に参戦しています。
タイトルは〈何もかも全てを奪われた元勇者王子、今度は俺が貴様らから全て奪ってやる〉です。
序章は不遇編。第一章から仕掛けていきます。
応援宜しくお願い致しますm(_ _)m
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