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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります

行くわけないでしょ

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 久々のアレクヤンデレ化した殿下から必死で逃げ出したのは一週間前。

 逃げ出したところで、次の日には教室で会うんだから、結局のところ逃げ切れはしないんだけどね。

 いつも以上に引っつかれたわ。まだ十歳だから許される距離だけど、後二年経ったら絶対許されないわね。そんな距離感だった。

 人の目をはばからず、教室でも食堂でも特に気にもとめない。……マジで勘弁してほしいわ。人に見られて喜ぶ性癖はないんだからね。突き飛ばして逃げ出したいけど、相手は王族。出来る訳ないじゃない。それでも嫌がる素振りを見せてるのに、殿下は気付かない振りを決め込んでる。周囲も、何故か生温かい目で見られるし、精神がゴリゴリと音をたてて削られたわ。遠くから、ディア様たちが睨んでたしね。

 全く。そもそも、私ちっとも悪くないのに。理不尽過ぎるわ。

 それでも、唯一心落ち着く時間が魔法学の基礎講座の時間って、本末転倒でしょ。

 至って静かだわ。誰も話し掛けてこないからね。前からそうだったけど。ディア様はケーキ屋さんのことなど、始めからなかったことのようにしてるし。教室内では睨んでこないしね。まぁいいけど。

 その日も、いつもと同じよいに殿下との攻防を終えて帰って来たら、珍しくお父様に執務室に来るように言われた。ユズの件以来ね。

 私、何かした? ここ最近は大人しくしてた筈だけど。ちょっぴり不安になる。だって、執務室に呼ばれる時って何かあった時だけだからね。思いつくのは、ケーキ屋さんの一件くらいね。それもひと月経ってるし、違うよね。

 そんなことを考えながらノックをする。そして執務室に入ると、眉間に皺を寄せたお父様が待っていた。私を見ると笑みを浮かべる。

「疲れてないかい? マリエール」

「私は大丈夫ですわ。……パパの方が疲れてるみたい。大丈夫なの?」

 お父様が何かいいたそうにしている。もしかして、この話し方? ためしに、お父様が喜ぶようにパパ呼びしたら、眉間の皺がなくなったわ……クライシスさんが良い笑顔だこと。

「パパは大丈夫だよ。ちょっと、信じられない招待状を貰って腹が立っただけだから」

「招待状ですか?」

 そう尋ねると、嫌々ながらも見せてくれた。

 あ~~これは、信じられないわ。公爵家としては、反目しながらも最低限の繋がりが欲しいから出すのは分かるけど……これはちょっと、私でも嫌だわ。

「出席しなければいけませんか? 私は心底出席したくはないのですが」

 話し方が元に戻ったことを残念そうにするお父様。

「嫌なら出席しなくていい。グリード家としても、特に付き合わなければならない相手でもないからな」

 ですよね~~

 その方がディア様にとってもいいんじゃないの。嫌いな相手に誕生日を祝われてもね……私なら絶対嫌だわ。っていうか、出せる神経疑うわ。だって政敵に出すんだもの。証拠はないとはいえ、間接的に私を害しようとしたのに信じられない。

「では、出席しない旨をお伝え下さい。パパ」

 満面な笑みで答える。若干、パパを強く発音してね。

「ああ。分かった。ただ、学園で何か言われるかもしれないから、そのことは頭に入れといてくれ」

 確かに、何か接触してきそうですわね。

「分かりましたわ。パパ」

 そう答えると、私は執務室を後にした。

 一応、明日殿下の耳に入れとかないといけないわね。ほんと面倒くさいわ。

 
 


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