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第二章 超ハードモードの人生を終わらせるために頑張ります
デメリットしかないでしょ
しおりを挟む「はぁ~~~~!?」
殿下のその一言が物語ってるわね。私も彼らの厚顔無恥にはほとほと呆れてるもの。
「えっ!? マジで!? 手下を使って殺そうとした相手を普通呼ぶか? そいつらの頭の中どうなってんの?」
インディー様にそう訊かれても分かりません。分かるわけないじゃないですか。
「それでどうしたのです?」
正式に私の護衛になった護衛さんが尋ねる。因みに名前は私が付けて欲しいと言われたので、サクヤと名付けた。
黒い髪に赤い瞳。好きな花と夜のイメージを掛け合わしたの。
「勿論、即お断りしましたわ。お父様もお怒りでしたわ」
「まぁ、当然の反応だな」
殿下の台詞に頷く。
「なので、グリード家からは誰も参加しませんわ。王家からも出席はならさないのでしょう?」
殿下の驚きようから、殿下の所には招待状が届いていないのは分かってたけど、一応念のために訊いてみた。この時点で届いてなかったとしても、数日後には届いてる可能性があるからね。なんせ相手は厚顔無恥な人たちだから十分考えられるでしょ。
「出るか。面倒くさい。それに、それに出て俺に何のメリットがあるんだ? ないだろ」
殿下は顔を歪めながら答える。美系って、こんな表情も様になるのね。
「まぁ……ないですね。デメリットしかありませんね。それこそ、ポーター公爵家にとって、殿下は見世物小屋の珍しい動物的扱いでしょうね。客寄せ的なアレです」
まず間違いなく、出席者の殆どがポーター公爵家と繋がりがある人ばかりでしょうね。それか、その傘下に入りたい人か……恩恵を得たい人。落ち目とはいえ、まだまだ力がある家だからね。だてに公爵家を名乗ってないわ。
「…………どうかしました?」
黙り込んでしまった三人に、私は首を傾げながら尋ねる。
「マリエール。もう少しオブラートに包もうか」
殿下に注意されましたわ。苦笑いを浮かべながら。益々首を傾げてしまう。
「この場でそれは不必要でしょ。それに間違ってはいませんわ」
この場はいわば非公式な場。側近中の側近しかいないのに、言葉を取り繕う必要はないでしょ。そんなことを言い出したら、インディー様はどうなるんです?
「確かに間違ってはいないけどな」
殿下、まだ何か言いたそうですね。でも間違ってはいないでしょ。
ほんと、王子様って……ん?
ふと、何か引っ掛かった。
「どうした?」
急に黙り込んだ私を心配そうに覗き込んでくる殿下。
心配してくれるのは嬉しいけど、いちいち覗き込まないで。顔が近い!! 心臓に悪いでしょ。反射的に殿下の体を押しのける。
「で、どうしたんだ?」
改めて訊いてきた。その笑みムカつくわ。でもここでそれを表に出したら、絶対喜ぶわね。
「……もしかしたらですよ。ポーター公爵家は殿下には出さずに、ランス殿下に送る可能性もありますよね」
そう告げると、皆、ハッと息を飲んだ。口にした途端真実味を帯びてきたのが、自分でも嫌になるわ。
あくまで公式上では、王家には二人の王子がいることになっている。カイン殿下と双子の弟のランス殿下だ。
王太子であるカイン殿下の婚約者である私を追い落とそうと躍起になるよりも、ランス殿下を手に入れる方が容易いと考えてもおかしくないでしょ。
ポーター公爵は厚顔無恥だが、野心家。それなりに、人を動かせる地位がある。
そんな人間がランス殿下の後ろ盾になろうと動けば……
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