上 下
64 / 144
第二章 水の都市の大罪

同じような原理

しおりを挟む
 《海中探査機》を回収してから、三日が過ぎた。

 船内で、回収した探査機の映像を更に詳細に解析してみたが、予想以上に結果が乏しくなかった。

 正直、今回の件に関わっていそうなものは映ってはいない。

 だが、その分、反応が消えた探査機の映像はその映像を遥かに上まる成果を出していた。

 それを端末に映して、何度も見返す。

 それを三日間、繰り返して、飲まず食わず、不眠不休で眺め続けて…………。

 見つかった。

 やはり、俺の予測通りの結果だった。

 これは、《雷電》の《アブソーバーシステム》と同じような原理だ。

 映像には、頭がイカで、無数の細長い触手が全面タコの吸盤のようになっている。

 何とも、奇妙な魔物の姿が映っていた。

 しかも、その吸盤には、弾道ミサイルの先端らしきものが見える。

 更に、その吸盤の周りには、《アブソーバーシステム》を起動させた際に生じる、光の球体のような発光が吸い寄せられるように、集まって行っている。

 映像から見るに、その光は大体半径二メートル程か……?

 かなりの量の魔力エネルギーを溜め込んでいるらしい。

 そして、気になるのが、そのイカのような頭部も、何かロケットの噴射口のようなものが見える。

 まず、間違いなく、この頭も《弾道ミサイル》の一つだ。


 というか、女神クリスティナが見た未来だと、矢の先端のような細長い三角形の飛翔体が…………って、話だし…………。

 これが女神が見た都市を滅ぼす要因だろう。


 それにしても、この魔力の吸収量は異常だな…………。

 周辺の魔力をこんなに吸い込んだら、普通なら魔力が枯渇する筈だ。

 まあ、それも、何となく、予想出来るが…………。


 俺が取り出したのは、唯一戻って来なかった海中探査機の映像記録だ。

 映像が途切れる前のものが、端末に届いていたので、確認してみたら…………。

 魔力が枯渇しない原因が映し出されていた。

「おいおい…………マジか…………」

 またも、頭を抱えたくなるような問題が発生。

 戻って来なかった探査機の映像には、上半身が女、下半身が魚という人魚のような生物が触手の周りを光輝きながら、泳ぎ回っており、その人魚に近付こうとして------------吸盤から発射されたミサイルが向かって来て、途切れた。


 ほんと、最低最悪の予感が的中した瞬間だった。
 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

恋人に捨てられた私が、幸せになるまで

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:797

嘘よりも真実よりも

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:13

異世界召喚されたと思ったら何故か神界にいて神になりました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:3,264

「お前の席ねーから」とパーティーを追放された俺、幼い聖女の守護騎士になる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:876

紺碧の精霊使い

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1,683

処理中です...