81 / 156
高砂人形って?75
しおりを挟む
ラクシュの症状は、リボンの誤飲だった。
普段から、ラクシュの健康には気を付けていらっしゃる柏木両親。贈答品に付いていたリボンも、当然さっさと蓋つきのゴミ箱に捨てたつもりだったのに、捨てる時に床に落としてしまっていたのだ。
それをラクシュが見つけて、遊んでいる内に誤飲してしまった。
これは、動物にとってとんでもなく危険な状態で、消化できないリボンのような長い物は、体の中で絡まって、最悪内臓をねじ切ってしまうこともあるらしい。
そうなれば、動物はいとも簡単に死んでしまう。だから、一刻も早く誤飲に気づいて、取り出す手術をしなければならないのだ。
だが、残念ながら人間は動物語を理解していない。まず誤飲に気づくかどうかが問題だし、誤飲に気づいたら次は、どこに誤飲物があるのかを探さなければならない。
ラクシュの場合、モドキが通訳に入ってくれたから、素早く的確に手術が出来て助かったのだ。
……よかった。モドキ有難う。
休日、モドキとマロン、柏木と、ようやく手に入れた時間で、私の部屋のコタツでゆっくり話をする。
モドキとマロンは、柏木が買ってくれた猫じゃらしで仲良く遊んでいる。
モドキの振る猫じゃらしを、マロンが追いかけるという、猫じゃらしの使い方として正解かどうか怪しい使い方だが、楽しそうだからいいか。
「ラクシュの容態はどうなの?」
「回復して、今はもう退院して実家に帰っています。あの時は、本当にありがとうございました」
柏木が、もう何度言ったか分からない「ありがとうございました」を繰り返す。
「いいよ。もう。どちらかといえば、私よりもマロンとモドキの功績だし」
「いいえ。薫さんがあの時行動してくれなかったら、ラクシュは死んでいたんです。何というかその……薫さんのそういう所が、憧れるというか///カッコイイというか///」
柏木が真っ赤になって照れながら、私を褒めてくれる。
可愛い。もっと聞かせて。ほら、頑張って。
恋人の可愛さに、私はついいじめたくなる。
ゼミ室の友人の西島が、柏木を玩具にしたくなるのも分からなくない。
「そう言えば、薫。これからのこと、どうするんだ?」
「え? これから?」
これから……婚約したんだし、結婚届けをいつ出すとか?でも、そんな話はまだ早いよね。
「薫の両親への挨拶、結納、結婚式をするならその準備、それから……新居の用意……」
モドキがつらつらと結婚という儀式にまつわる物をあげていく。
「結納ってなにするんですか?」
「結納品を渡して飾る……大変じゃぞ。持参金、するめ、昆布、高砂人形なんかを床の間に飾るんじゃ」
床の間? そんなのありませんが? なんか、それ飾ってどうなるの? という物が多い。
たかさごにんぎょう?? 何それ??
スマホで調べてみれば、掃除用具(熊手とか)を持った老人夫婦の人形が出てくる。縁起物らしい。
……正直、いらない。何に使うの? それは、結納……。
結納の瞬間だけ使う人形。想像した通り、ネットには、結納が終わった後の高砂人形の処分に困った人の投稿がチラホラみられる。困っていない人は、押し入れの奥にでも仕舞いこんでいるのだろうか?? 存在自体忘れていそうだ。
結納じたい、要らないような気がする……。
普段から、ラクシュの健康には気を付けていらっしゃる柏木両親。贈答品に付いていたリボンも、当然さっさと蓋つきのゴミ箱に捨てたつもりだったのに、捨てる時に床に落としてしまっていたのだ。
それをラクシュが見つけて、遊んでいる内に誤飲してしまった。
これは、動物にとってとんでもなく危険な状態で、消化できないリボンのような長い物は、体の中で絡まって、最悪内臓をねじ切ってしまうこともあるらしい。
そうなれば、動物はいとも簡単に死んでしまう。だから、一刻も早く誤飲に気づいて、取り出す手術をしなければならないのだ。
だが、残念ながら人間は動物語を理解していない。まず誤飲に気づくかどうかが問題だし、誤飲に気づいたら次は、どこに誤飲物があるのかを探さなければならない。
ラクシュの場合、モドキが通訳に入ってくれたから、素早く的確に手術が出来て助かったのだ。
……よかった。モドキ有難う。
休日、モドキとマロン、柏木と、ようやく手に入れた時間で、私の部屋のコタツでゆっくり話をする。
モドキとマロンは、柏木が買ってくれた猫じゃらしで仲良く遊んでいる。
モドキの振る猫じゃらしを、マロンが追いかけるという、猫じゃらしの使い方として正解かどうか怪しい使い方だが、楽しそうだからいいか。
「ラクシュの容態はどうなの?」
「回復して、今はもう退院して実家に帰っています。あの時は、本当にありがとうございました」
柏木が、もう何度言ったか分からない「ありがとうございました」を繰り返す。
「いいよ。もう。どちらかといえば、私よりもマロンとモドキの功績だし」
「いいえ。薫さんがあの時行動してくれなかったら、ラクシュは死んでいたんです。何というかその……薫さんのそういう所が、憧れるというか///カッコイイというか///」
柏木が真っ赤になって照れながら、私を褒めてくれる。
可愛い。もっと聞かせて。ほら、頑張って。
恋人の可愛さに、私はついいじめたくなる。
ゼミ室の友人の西島が、柏木を玩具にしたくなるのも分からなくない。
「そう言えば、薫。これからのこと、どうするんだ?」
「え? これから?」
これから……婚約したんだし、結婚届けをいつ出すとか?でも、そんな話はまだ早いよね。
「薫の両親への挨拶、結納、結婚式をするならその準備、それから……新居の用意……」
モドキがつらつらと結婚という儀式にまつわる物をあげていく。
「結納ってなにするんですか?」
「結納品を渡して飾る……大変じゃぞ。持参金、するめ、昆布、高砂人形なんかを床の間に飾るんじゃ」
床の間? そんなのありませんが? なんか、それ飾ってどうなるの? という物が多い。
たかさごにんぎょう?? 何それ??
スマホで調べてみれば、掃除用具(熊手とか)を持った老人夫婦の人形が出てくる。縁起物らしい。
……正直、いらない。何に使うの? それは、結納……。
結納の瞬間だけ使う人形。想像した通り、ネットには、結納が終わった後の高砂人形の処分に困った人の投稿がチラホラみられる。困っていない人は、押し入れの奥にでも仕舞いこんでいるのだろうか?? 存在自体忘れていそうだ。
結納じたい、要らないような気がする……。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
299
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる