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手がかりを探そう! 2

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「あたしは魔法もとくに使えねえから、基本的には力とか、簡単な武器とかでどうにかするしかねえんだよ。けど、腕っぷしにはそれなりに自信あるからなんとかなってきたんだよな、普段なら……」
たしかに、リオナは背が高いし、それなりに筋力もありそうだから強いのかも。まあ、胸も大きいから動きにくそうでもあるけど。

「でも、普段なら、ってその日は何があったの?」
「キャンディとメロディを人質に取られてたんだよ。ちょっとでも変な動きしたら、あいつらが酷い目に遭うから、どうしようもなかったんだよ。あたしはほとんど無抵抗にボコられたな。敵の中には炎系統の魔法使えるやつもいて、炙られたりもしてまともに動けなくなってた」

リオナが雑にメイド用のスカートを捲ると、まだ残っている火傷跡もあり、相当大きな怪我をしたことはわかった。生々しい傷跡を見て、わたしの心がざわついた。とにかく、リオナはその日大変な目に遭ったのだ。

「詰んでたんだよな、手を出したらキャンディとメロディに危害が行くし、かといってあたしがそのままやられたら、あいつらの無事は保障されねえし」
リオナが大きくため息をついて、俯いた。記憶を探っていく姿は痛々しくて、きっと今も生々しくリオナの中には嫌な記憶が蘇ってきているのだろう。

「で、そんなときに現れたのが例の前髪の長い真っ赤なルージュの女だったんだよ。気づいたらあたしとそいつ以外止まった時間の中にいた。大ピンチを助けに来てくれたわけだ」
「時間停止って、相当強い魔法だよね……?」
「ああ。縮小化も強い魔法だから、相当すげえやつなんだろうな」

わたしたちを小さくした相手の底知れない強さを考えて、少しゾッとした。場合によっては、この小さな体でそんな強大な魔女に立ち向かわなければならないらしい。普通のメイドにすらまったく抵抗できないというのに……。

「まあ、それで2人だけで止まった世界の中にいたら、そいつが尋ねてくるんだよ。『一緒に屋敷に来てメイドをするなら、このピンチを脱させてあげるわ』って言われたから、あたしはあいつらだけでも助けてやってくれって頼んだんだよ」
その時からキャンディとメロディのことを最優先で考えていたのか、と感心する。リオナは目つきは悪いし、口も悪いけれど、本当に面倒見の良い人のようだ。

「それで、あたしが屋敷に来てくれるなら3人とも助けてくれるって言うから、あたしはその真っ赤ルージュの女に従うことにした。そしたら傷を癒すからってあたしが口を切ったところに唇を触れさせてきて……。なんか今思えばキスみてえだったな」
「キスみたいというか、思いっきりキスだね」
わたしは苦笑いをした。
「どっちでもいいよ、そこは。とりあえず、そのあたりであたしはホッとしたのと疲れたのとで、気を失ったらしい」

「で、3人まとめて小さくされたってこと?」
「結果はそうだったみたいだけど、あいつらが言うには、初めはあたしだけ小さくなってたらしいんだよ」
「えぇっ……。それはまた大変そうな……」

キャンディとメロディのパワフルさは同じサイズ感でも時々ついていけなくなってしまう。それが20倍サイズとなると、走り回られたときの振動だけでぐったりしてしまいそうだ。

「踏み潰されたりしなかったの?」
自分の周りで気にせず走り回られているうちに、思いっきり踏み潰されたりしそうな気がする。あの2人だけが大きい場合だと、そういう不安がありそうだ。

「多分そのままあいつらだけデカかったらヤバかっただろうな。あたしのこと持ったまま走り回って、どこか置いてそのまま忘れたりしそうだし。でも、あいつらあたしと一緒に小さくなってメイドになるって言ったから、でかい姿は見れず終いだったみたいだな」
良かったのか、良くなかったのが、よく分からず、リオナもわたしもお互いに苦笑いをした。

「結局、起きたらあたしはこの屋敷にいたってわけだ。火傷や傷も致命傷になりそうな部分は治ってたから、治癒魔法か何か使ってくれたんだろうな。キャンディとメロディも隣の部屋で今のサイズで寝てて、あたしたちはこうやって生活してるってわけだ」
「同じサイズでよかったね。あの2人だったらうっかりリオナのこと踏んじゃったりしそうだし」
「まあな。でも、ちょっとだけ見てみたかったけどな。めちゃくちゃ大きいキャンディとメロディも」
「大変なことになりそうだけどね……」

わたしが苦笑していると、突然部屋の入り口のドアが勢いよく開いた。こんなに乱雑にドアを開くのはもちろんあの2人だ。

「カロリーナ、起きた!」
「カロリーナ、心配した!」

キャッキャっと2人で勢いよくこっちに跳ねてきた。そして、そのままベッドに座っていたわたしたちの方に、勢いよく抱きついてきた。リオナはうまく受け止められていたけれど、わたしは勢いそのままにベッドに背中から倒れ込んでしまった。
「たしかにこれは大変なことになるかもなぁ……」とリオナが苦笑いをしながら2人の頭を撫でていたのだった。
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