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46 悪役令嬢方式
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7月6日 雨
ルイス様が悪巧みを考えている。何を考えているのか分からないけどニヤニヤしてるところを見ると楽しんでいそう。今日はディナーのグヤーシュが絶品だった。美味しいものを食べると幸せな気分になる。
「リゼ、参考のために聞くけど、人を貶めるにはどんな方法があると思う?」
え?何だって!?
ルイス様から、とんでもない質問を受けた。
「嫌がらせの方法ですか?うーん、そうですね。その人の悪い噂を流すと言うのは絶対ですね。あとは嫌がらせを受けたと権力者に訴えるのも良いかもしれないです。断罪は大勢の前で行うのが重要です」
私はここぞとばかりに乙女ゲームの知識を語る。
「そ、そんなに、、、」
ルイス様が笑い出す。
「笑わなくてもいいじゃないですかー!」
「いや、済まない。思ったよりスラスラ答えるから驚いた。今までリゼが誰かに嫌がらせをする姿は想像つかなかったから」
「いえ、単に乙女ゲームの知識を言ったまでですよ。私がマーゴット様にする予定でしたけど、この世界は乙女ゲームと同じ様には進みませんでした」
「あー、あのオレと姫が、幸せになるって言ってた話か?」
「そうです。私は意地悪をし過ぎて断罪される役でした、、、多分。相変わらず全ては思い出せていませんけどね」
「なるほど、悪い噂と断罪か使えるかもな!ありがとう」
ルイス様はにっこり微笑んだ。
コレは何かを掴んだ様子。
どんな計画になるのだろう、、、。
翌日、オレとリゼは、最初にロイを呼んだ。
「ロイ、結婚式をしよう!」
オレはロイに仕返しのアイデアを持ち掛けた。
「誰の?」
ロイが聞き返して来た。
「お前とロゼ嬢以外に誰がいる?」
「いや、ルイス達でもいいんじゃない?」
「オレたちはまだ学生だ」
「ああ、忘れてたよ」
「心配するな。オレにいい考えがある」
「心配しかないんだけど、、、」
その日の夕方、ルイス様はシータに頼んで、ロイをベルファント王国の宮殿に一度帰らせた。
『7月7日付 ベルファント王国は王太子とロゼ公爵令嬢の結婚式を8月1日に正教会で執り行った後、8月2日に王都で祝賀パレードを開催すると旨を大陸諸国に通達し、各国の王族及び首脳を招待した』
翌日、ロイ様は結婚式の日取りを発表した後、再びルイス様の指示で魔塔に連れ戻された。
「とりあえず、日程の発表は言われた通りにしたけど、ベルファント王国は何の準備もしてないんだよ?なのに、僕はまたランドル王国に居るし、こんなので大丈夫なの?」
ロイ様が不満を訴える。
「大丈夫だ!結婚式までロイとロゼ嬢は、とりあえず結婚式の用意を頑張れ」
ルイス様は諸々の指示を出してから、またシータに頼んでロイ様をベルファント王国へ送り帰した。
他国の王太子をこんな簡単に召喚したり戻したりしていいの?
ルイス様、暴君?いや、まだ王子だった、、。
陛下に許可は、、、怪しいな気付かなかった事にしよう。
私達は次にシータを呼んだ。
「ぼくはロイ兄様の送り迎え以外に出番が無いの?」
来るなり、シータが恨めしそうにルイス様へ訴える。
私はシータのロイ兄様呼びが定着している件にツッコミたい気持ちを抑えた。
「シータには大きな役目がある。ベルファント王国のロイ達の結婚式に竜神王が舞い降りる夢を人々に見せて欲しい。一度にではなく、何回かに分けてでもいいから、大陸のすべての人に見せてくれ」
「うわー!!なんか凄いね。ぼくワクワクしちゃう」
シータのテンションが爆上がりした。
「竜神王は黒い竜で頼む」
ルイス様も開き直ったのか、色まで指定している。
そして3番目に呼んだのは、、、。
「ミヤビ!ちょっと出て来い」
ルイス様が呼ぶ。
「グーテンターク!ロナウド&メロディー!」
本日も黒装束のミヤビが風に舞って現れた。
「グーテンターク、ミヤビ、依頼がある」
ルイス様、安定の塩対応。
「グーテンターク、ミヤビ」
一様、笑顔で返す私。
ミヤビもニッコリ笑顔を返してくれた。
「ミヤビ、リベラ共和国に行って、近々ランドル王国に併合されるという噂を流してくれないか?」
「噂をですか、それで理由を聞かれたら何と答えましょう?」
「党首が、ランドル王国の王子の婚約者を奪おうとして、逆鱗に触れたと言ってくれ。あと占星術師の女も囲ってると」
「スキャンダルですか!ワクワクしますね」
「それで、ルイス王子は婚約者を溺愛しているという話も付け加えて下さい!!」
私も横から割り込んで、話に色を添える。
ルイス様は私の発言で、クスクス笑い出す。
「御意!では行って参りますルゥー」
ミヤビは、ニヤニヤしながら姿を消した。
何だ?皆の楽しそうなノリは、、、。
まぁ、私も楽しんでいるかも知れないけど。
「さて、あとはアズールと姫の恋物語でも広めるか」
そう言うルイス様は、さっきからずっと笑いが止まらないらしく、声が震えている。
「恋物語!良いですね。女性は大好きですよ」
「リベラ共和国以外の国に、出来るだけ明るい話題を広めておきたい」
「それでどうするのですか?」
「羨ましがらせるんだよ」
ん?どう言う事?
私はルイス様の顔を覗き込む。
「良いことをした国に祝福を与えるのは当たり前だろう」
「あー、王道ですね」
「オレたちは王族だからな、王道で勝つ!」
絶対ルイス様、他にも水面下で悪巧みをしそうですけどね。
この様子だと私には言いたくないのでしょう。
仕方ない、騙されておきますか。
リゼと一旦別れて、オレはアズとシータを呼び出した。
「アズ、引き続き占星術師ノアの捜索を頼む。見つけたら拘束していい」
「分かった。マーゴットも連れて行って良いんだよな?」
「ああ、それなら敢えて姫と仲良くバカンスに行ってる程で、仲良くしている姿を見せて回れ」
「隠れずに捜索するってこと?」
「ああ、堂々と捜索したらいい。理由は占星術師ノアがランドル王国の宝物を持ち出したと言って構わない」
「了解。早速用意して出るとするか」
「ロイの結婚式には2人で出席してもらうから、帰って来いよ」
オレの言葉にアズがギョッとする。
「そんなに長く掛からないだろ」
「アズ兄ちゃん、占星術師ノアはリベラ共和国かランドル王国に居ると思うよ」
「シータ、答え持ってるなら早く教えてくれよ」
アズが言う。
「何処にいるかまでは分からないけど、行ったり来たりしてる気配はするんだ」
シータが答える。
「分かった、ランドル王国とリベラ共和国の国境辺りから探っていく」
「ああ、よろしく頼む」
アズは部屋を後にした。
残るはシータとオレの作戦会議だ。
ルイス様が悪巧みを考えている。何を考えているのか分からないけどニヤニヤしてるところを見ると楽しんでいそう。今日はディナーのグヤーシュが絶品だった。美味しいものを食べると幸せな気分になる。
「リゼ、参考のために聞くけど、人を貶めるにはどんな方法があると思う?」
え?何だって!?
ルイス様から、とんでもない質問を受けた。
「嫌がらせの方法ですか?うーん、そうですね。その人の悪い噂を流すと言うのは絶対ですね。あとは嫌がらせを受けたと権力者に訴えるのも良いかもしれないです。断罪は大勢の前で行うのが重要です」
私はここぞとばかりに乙女ゲームの知識を語る。
「そ、そんなに、、、」
ルイス様が笑い出す。
「笑わなくてもいいじゃないですかー!」
「いや、済まない。思ったよりスラスラ答えるから驚いた。今までリゼが誰かに嫌がらせをする姿は想像つかなかったから」
「いえ、単に乙女ゲームの知識を言ったまでですよ。私がマーゴット様にする予定でしたけど、この世界は乙女ゲームと同じ様には進みませんでした」
「あー、あのオレと姫が、幸せになるって言ってた話か?」
「そうです。私は意地悪をし過ぎて断罪される役でした、、、多分。相変わらず全ては思い出せていませんけどね」
「なるほど、悪い噂と断罪か使えるかもな!ありがとう」
ルイス様はにっこり微笑んだ。
コレは何かを掴んだ様子。
どんな計画になるのだろう、、、。
翌日、オレとリゼは、最初にロイを呼んだ。
「ロイ、結婚式をしよう!」
オレはロイに仕返しのアイデアを持ち掛けた。
「誰の?」
ロイが聞き返して来た。
「お前とロゼ嬢以外に誰がいる?」
「いや、ルイス達でもいいんじゃない?」
「オレたちはまだ学生だ」
「ああ、忘れてたよ」
「心配するな。オレにいい考えがある」
「心配しかないんだけど、、、」
その日の夕方、ルイス様はシータに頼んで、ロイをベルファント王国の宮殿に一度帰らせた。
『7月7日付 ベルファント王国は王太子とロゼ公爵令嬢の結婚式を8月1日に正教会で執り行った後、8月2日に王都で祝賀パレードを開催すると旨を大陸諸国に通達し、各国の王族及び首脳を招待した』
翌日、ロイ様は結婚式の日取りを発表した後、再びルイス様の指示で魔塔に連れ戻された。
「とりあえず、日程の発表は言われた通りにしたけど、ベルファント王国は何の準備もしてないんだよ?なのに、僕はまたランドル王国に居るし、こんなので大丈夫なの?」
ロイ様が不満を訴える。
「大丈夫だ!結婚式までロイとロゼ嬢は、とりあえず結婚式の用意を頑張れ」
ルイス様は諸々の指示を出してから、またシータに頼んでロイ様をベルファント王国へ送り帰した。
他国の王太子をこんな簡単に召喚したり戻したりしていいの?
ルイス様、暴君?いや、まだ王子だった、、。
陛下に許可は、、、怪しいな気付かなかった事にしよう。
私達は次にシータを呼んだ。
「ぼくはロイ兄様の送り迎え以外に出番が無いの?」
来るなり、シータが恨めしそうにルイス様へ訴える。
私はシータのロイ兄様呼びが定着している件にツッコミたい気持ちを抑えた。
「シータには大きな役目がある。ベルファント王国のロイ達の結婚式に竜神王が舞い降りる夢を人々に見せて欲しい。一度にではなく、何回かに分けてでもいいから、大陸のすべての人に見せてくれ」
「うわー!!なんか凄いね。ぼくワクワクしちゃう」
シータのテンションが爆上がりした。
「竜神王は黒い竜で頼む」
ルイス様も開き直ったのか、色まで指定している。
そして3番目に呼んだのは、、、。
「ミヤビ!ちょっと出て来い」
ルイス様が呼ぶ。
「グーテンターク!ロナウド&メロディー!」
本日も黒装束のミヤビが風に舞って現れた。
「グーテンターク、ミヤビ、依頼がある」
ルイス様、安定の塩対応。
「グーテンターク、ミヤビ」
一様、笑顔で返す私。
ミヤビもニッコリ笑顔を返してくれた。
「ミヤビ、リベラ共和国に行って、近々ランドル王国に併合されるという噂を流してくれないか?」
「噂をですか、それで理由を聞かれたら何と答えましょう?」
「党首が、ランドル王国の王子の婚約者を奪おうとして、逆鱗に触れたと言ってくれ。あと占星術師の女も囲ってると」
「スキャンダルですか!ワクワクしますね」
「それで、ルイス王子は婚約者を溺愛しているという話も付け加えて下さい!!」
私も横から割り込んで、話に色を添える。
ルイス様は私の発言で、クスクス笑い出す。
「御意!では行って参りますルゥー」
ミヤビは、ニヤニヤしながら姿を消した。
何だ?皆の楽しそうなノリは、、、。
まぁ、私も楽しんでいるかも知れないけど。
「さて、あとはアズールと姫の恋物語でも広めるか」
そう言うルイス様は、さっきからずっと笑いが止まらないらしく、声が震えている。
「恋物語!良いですね。女性は大好きですよ」
「リベラ共和国以外の国に、出来るだけ明るい話題を広めておきたい」
「それでどうするのですか?」
「羨ましがらせるんだよ」
ん?どう言う事?
私はルイス様の顔を覗き込む。
「良いことをした国に祝福を与えるのは当たり前だろう」
「あー、王道ですね」
「オレたちは王族だからな、王道で勝つ!」
絶対ルイス様、他にも水面下で悪巧みをしそうですけどね。
この様子だと私には言いたくないのでしょう。
仕方ない、騙されておきますか。
リゼと一旦別れて、オレはアズとシータを呼び出した。
「アズ、引き続き占星術師ノアの捜索を頼む。見つけたら拘束していい」
「分かった。マーゴットも連れて行って良いんだよな?」
「ああ、それなら敢えて姫と仲良くバカンスに行ってる程で、仲良くしている姿を見せて回れ」
「隠れずに捜索するってこと?」
「ああ、堂々と捜索したらいい。理由は占星術師ノアがランドル王国の宝物を持ち出したと言って構わない」
「了解。早速用意して出るとするか」
「ロイの結婚式には2人で出席してもらうから、帰って来いよ」
オレの言葉にアズがギョッとする。
「そんなに長く掛からないだろ」
「アズ兄ちゃん、占星術師ノアはリベラ共和国かランドル王国に居ると思うよ」
「シータ、答え持ってるなら早く教えてくれよ」
アズが言う。
「何処にいるかまでは分からないけど、行ったり来たりしてる気配はするんだ」
シータが答える。
「分かった、ランドル王国とリベラ共和国の国境辺りから探っていく」
「ああ、よろしく頼む」
アズは部屋を後にした。
残るはシータとオレの作戦会議だ。
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