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陰陽寮のひと時
神の化身とは?
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「ハル様と瑠香様は神の化身ということは神様なんですか?」
李流は疑問に思ったことを、当人の瑠香に尋ねた。
瑠香は見た目は美しいし、オーラも普通の人とは違うし、人離れした力を持っている。
そういう人を神と、人は言うと思うのは素直な感想だった。
だが親密になっていくうちに普通の変わらない人間味溢れた人だと認識が変わってきた。
だけど、やはり普通とは違うと思う。
ハルも瑠香も実際に【神の化身】と言っている。
「そうだね、実際には、神にこの身を使わせているというのが正解かな。
皇室を守るために神の意思も私の意思も同じで、ルカの神が私に降りて助言をすることもある。
直ぐに降りて来られる入れ物みたいな感じかな。神は実体がないからね。」
「確かに、神様には実体はないですよね。あるとしても御神木とか御神体の刀とか……鎮座して動かないですけど、人間が御神体なら動けますものね」
李流は素直に納得して言った。
その言葉に瑠香も目を見開く。
「そういう考えを私は忘れていたよ。確かにそうだね。人間だから動けて陛下のお力になれるのだね」
皇室を守る神なので基本宮中住まいだ。
晴房は特に生きる御神体、神の依代として宮中から滅多に出なかった。
それは自らの存在の戒めでもあった。
生まれて直ぐに神殿を穢した存在としての負い目と神の依代としての役目として宮中にとどまることこそ晴房の役目だと罪でもあり誇りなのだ。
「それでも神の化身は結婚とか……こ、子作りとか、許されるのですか?」
そこも知りたいことらしい。
李流くんは素直で皇室に関する秘め事にも純粋に関心があるようだと瑠香は思いなんでも答えてあげようと言う気になる。
普段の自分は意地悪なはずなのに、李流くんの前ではルカの神の気質が前に出るようだ……と感じる。
「命を頂いて生きている人間でもあるからね。個人としての人生も尊重してもらっている。」
瑠香は自分の胸を指さし言う。
「私が人間として成長しなくては神も本来この身を使うための後押しもできないだろう。
人間の我は神よりも強いからね。若ければ若いほどエネルギーも望みを叶える力もある。
成長すれば己を知り己の役割をなそうとする。
それは神が望む依代の宿命になる。
依代の成長こそが神の依代になりやすくなるための重要な事だから結婚も子作りもできるんだよ。」
それが人が神の依代、神の化身である所以だと瑠香自らも改めて納得する。
「この身は陛下を護る神のもの。
そのために神の力を頂いている。神と契約をしているのだ……」
と瑠香はしみじみと自らの役目を改めて考えさせられつつ、三十代で、大体の人生を全う出来たことに感謝しつつお茶をすすりながら言った。
「……ハル様は人間として成長してますか?」
李流は不審な目と口調でそう言った。
大人のような態度を示せていない晴房に、不服がまだあるようだ。
この間、晴房は桜庭の家族の前で涙して【種馬発言】した事を瑠香は聞いて爆笑してしまったが……
「やっと人としての器を手に入れようとしてるところだと思うよ。
対の私が人生なんとか落ち着いたからね。優しく見守ってあげて欲しい。李流くんは優しい子だからできるはずだよ」
そうわざと言ってあげると、瑠香を尊敬し憧れている李流は瞳を輝かせて、
「はい!そうするように努力します!」
と意気込みを見せるのだった。
李流は疑問に思ったことを、当人の瑠香に尋ねた。
瑠香は見た目は美しいし、オーラも普通の人とは違うし、人離れした力を持っている。
そういう人を神と、人は言うと思うのは素直な感想だった。
だが親密になっていくうちに普通の変わらない人間味溢れた人だと認識が変わってきた。
だけど、やはり普通とは違うと思う。
ハルも瑠香も実際に【神の化身】と言っている。
「そうだね、実際には、神にこの身を使わせているというのが正解かな。
皇室を守るために神の意思も私の意思も同じで、ルカの神が私に降りて助言をすることもある。
直ぐに降りて来られる入れ物みたいな感じかな。神は実体がないからね。」
「確かに、神様には実体はないですよね。あるとしても御神木とか御神体の刀とか……鎮座して動かないですけど、人間が御神体なら動けますものね」
李流は素直に納得して言った。
その言葉に瑠香も目を見開く。
「そういう考えを私は忘れていたよ。確かにそうだね。人間だから動けて陛下のお力になれるのだね」
皇室を守る神なので基本宮中住まいだ。
晴房は特に生きる御神体、神の依代として宮中から滅多に出なかった。
それは自らの存在の戒めでもあった。
生まれて直ぐに神殿を穢した存在としての負い目と神の依代としての役目として宮中にとどまることこそ晴房の役目だと罪でもあり誇りなのだ。
「それでも神の化身は結婚とか……こ、子作りとか、許されるのですか?」
そこも知りたいことらしい。
李流くんは素直で皇室に関する秘め事にも純粋に関心があるようだと瑠香は思いなんでも答えてあげようと言う気になる。
普段の自分は意地悪なはずなのに、李流くんの前ではルカの神の気質が前に出るようだ……と感じる。
「命を頂いて生きている人間でもあるからね。個人としての人生も尊重してもらっている。」
瑠香は自分の胸を指さし言う。
「私が人間として成長しなくては神も本来この身を使うための後押しもできないだろう。
人間の我は神よりも強いからね。若ければ若いほどエネルギーも望みを叶える力もある。
成長すれば己を知り己の役割をなそうとする。
それは神が望む依代の宿命になる。
依代の成長こそが神の依代になりやすくなるための重要な事だから結婚も子作りもできるんだよ。」
それが人が神の依代、神の化身である所以だと瑠香自らも改めて納得する。
「この身は陛下を護る神のもの。
そのために神の力を頂いている。神と契約をしているのだ……」
と瑠香はしみじみと自らの役目を改めて考えさせられつつ、三十代で、大体の人生を全う出来たことに感謝しつつお茶をすすりながら言った。
「……ハル様は人間として成長してますか?」
李流は不審な目と口調でそう言った。
大人のような態度を示せていない晴房に、不服がまだあるようだ。
この間、晴房は桜庭の家族の前で涙して【種馬発言】した事を瑠香は聞いて爆笑してしまったが……
「やっと人としての器を手に入れようとしてるところだと思うよ。
対の私が人生なんとか落ち着いたからね。優しく見守ってあげて欲しい。李流くんは優しい子だからできるはずだよ」
そうわざと言ってあげると、瑠香を尊敬し憧れている李流は瞳を輝かせて、
「はい!そうするように努力します!」
と意気込みを見せるのだった。
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