乙女・ギャルゲーの世界に転生したんだけど、モブでもないただのオーガですが何か？

第一章

オーガとオーク 樹海を攻略中

《時間は、エルミナ達が転移陣で去った後の時間に遡ります》


驚愕し、一頻り叫んだ俺達だったが、ようやく落ち着きを取り戻し、元の目的である食料を探していた
流石にあのまま驚いても埒があかないんでな……………

あっ、ちなみに殺した盗賊達は綺麗に土に返した
置きっぱなしは、道徳的にもマズイからな

そんなこんなで森を進む事、しばらくして俺達は、ふと、周りの木々が大樹の樹海になってることに気づいた

「おいおい、食料を探してたら、変な所に来たな」

「まぁ、戻れるからいいだろうよ」

周りの大樹に呆気に取られながら言えば、ツッキーは、軽くそう言い、大樹を触っていた
まぁ、確かに拠点には、トラベル出来るから心配ないが…………
流石にここまで遠出になるとは、思ってもなかったな

「ん？」

「どうした？」

ふと、少し先に進んだツッキーが何かに気付いて、声を出せば、すぐに駆け寄った
駆け寄れば、視線の先の大樹に何らかのサインであろう矢印が刻まれていた

「何だこりゃ？　矢印？」

不思議に思い、周りを見渡したが、周囲には、気配は感じられない
つまりいつ、付けられたかは、分からない訳だが……………

「あっ！」

俺が一応、警戒をしてれば、突然、ツッキーが声を上げた

「どうした？」

「ユーマ、ここが何処だか分かったぜ！！」

「は？」

「ここは【ドルゼザード樹海】！！
そんでもって、この矢印は、エルフの里への暗号の矢印だ！！」

ツッキーは、やや早口で話しているが、ようやくすると、エルフの里への暗号を記した矢印ってことな

ドルゼザード樹海とは、【プリンセス・セレナーデ】に出てくる最も難易度が二番目に高いと言われているダンジョンの一つで、その先にあるのは、エルフの里…………
そのエルフの里に着けば、エルフの女王がキーアイテムをくれる場所でもあり、確か仲間が一人出来たはず…………
確かそこで貰えるキーアイテムが、最終ダンジョンのラスボス、魔王戦に必要なヤツだったな

「ドルゼザード樹海か…………
そういや俺はここを三日かけて攻略してたな…………
で、何で興奮してるんだよ？」

「馬鹿野郎！！
これが興奮せずにいられるか！！　俺が何度！！
このドルゼザード樹海にリアルで行きたいって、言ってたと思う！！」

バッ、と勢いよく振り返り、勢いよく言ってくるツッキーに引きながら、苦笑いを浮かべた

（いや、確かに前世で言ってたけど…………
その理由は、アレじゃん…………
『実際に行って、攻略したい』って、ゲーマー脳じゃん…………）

半ば呆れていると、ツッキーは、ルンルンな足取りで矢印を探している
その様子に、仕方ないと諦めれば、その後ろをついて行くことにした

エルフの里に到着する為のヒントは矢印だが、矢印は周りの樹にも刻まれている
しかも矢印の向きは全てがバラバラ…………
そんな中から正しい矢印を見つけ出さなければならない
だが、仕組みを知ってしまえば、簡単なのも理解している
正しい矢印は、同じ種類の木にしかないからだ
ドルゼザード樹海には、様々な樹々がある
だから、プレイヤーはここで迷って時間が潰れる…………
しかも敵も強いから【プリンセス・セレナーデ】に置いて、難関なのだ………

（しかもゲーム画面では、特徴が分かりづらいからそれも含めて、難関なんだよな…………）

過去の自分を思い出しながら進んでいれば、突然、目の前にウィンドウが現れた

《現在地より数キロ先に敵対反応あり
魔王軍と判定　エルフの里を強襲していると予測》

ウィンドウには、こう書かれていれば、ツッキーに目線を向ければ、ツッキーもこちらを見てきた

「ツッキー、エルフの里が強襲されるイベントって、あったか？」

「いや、どっちにもそんなイベントはなかった」

ツッキーがそう言えば、俺たちは黙って頷けば、スキル欄を開いた

《スキル・浮遊　発動中》

ウィンドウにそう出れば、一気に飛び立てば、周りの大樹が激しく揺れた
ウィンドウに書かれた事が本当ならエルフの里が無くなるのは、マズイ…………

「ってか、最初っから飛べばよかったな」

「おいこら！？
それじゃあ攻略の楽しみが無くなるだろうが！！」

ボソッと呟いた瞬間、俺の後ろを飛んでるツッキーに叱られた

（ってか、聞こえんのかよ……………）