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第一章

悪役令嬢 これからを考える

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私がこの世界に転生したと分かったのは、六歳の頃だった
その日は、お母様も、お父様も出掛けていて、広い屋敷の庭園で一人…………
空を見ていた時、突然、頭が痛くなり、立ってる事も出来ず、意識を失った時に前世の記憶が一気に呼び起こされた

私は、高校二年の女子生徒である晴れた日の夕方………
ハマっていた乙女ゲームと、並行でやっていたギャルゲーの攻略をコンプする為に帰り道を走っていると、突然、背中に衝撃が走り、気づいた時には、そのまま意識がブラックアウトした

そんな事を思い出し、目を覚ませば、そこは私の自室だった
体を起こせば、看病していたメイドの【ココ】がすぐにお母様達を呼びに行き、すぐにお母様達が部屋を訪れた
話を聞けば、私は、およそ三日は、目を覚さなかったとの事だった
目を覚ました私は、すぐにここが異世界だって分かった………
そしてお母様達が去った後、私の机にスマホが置いてあるのに気付いた
そこで私は、ここが私がハマっていたゲームの世界だって気付いた…………

(そして私自身も)

「それにしても………」

お父様の言葉に私は、ハッとしてお父様を見た
どうやら長い間、昔を思い出していたみたい…………

「エルミナ達を助けたオーガとオーク…………
彼らは一体、何なんだろうか………    いや、それ以前に何故、彼らが言葉を話せるのだろう?」

お父様は、テーブルに肘を付き、考えてる様だった

「失礼ですが、旦那様
オーガとオークが一緒に行動………、それに人助けなど聞いた事はありません」

「そうだが、【アパス】
その場にいた騎士達が出くわしたのだ」


お父様の言葉にお父様専属の執事………、アパスさんが、言えば、お父様は、首を捻りながら答えた
話の内容からして、私達を助けてくれたあのオーガとオークの事だと、理解した

「お父様、私は直接、お話をしました
それに彼らは薬の材料である薬草を譲って下さったのです
彼らは、信頼できると私は思います」

薬は、オーガが作ってくれた事を隠し、私は、必死に言葉を選びながらお父様に伝えた
すると、お父様は、少し静寂の後、アパスさんを見た

「アパス、これは私の考えだが、私の最愛の子供達を救ってくれた恩人でもあるオーガとオークに会って、ちゃんと礼を言いたい
反対するか?」

「…………はぁ、旦那様の事です
反対されたとしても、行かれるのですよね?
でしたら、私共々、お供いたします」

「そうか!! ありがとな!!」

こうしてお父様を先頭に家族総出であのオーガとオークに会いに行く事が決定したのだった

そして今は、夜…………
空には、大きな月が静寂な夜を照らしていた…………
そんな中、私は、自室で椅子に座り、ある人物を待っていた
しばらくして、床に転移陣が現れれば、一人の少年が現れた

「お待たせ、姉さん」

「えぇ、待っていたわ
【ゾールス】」

ゾールスが笑顔で言えば、私も笑顔で応えれば、すぐに私は手を翳した
すると、私の足元に魔法陣が展開されれば、部屋を幕の様に包む様に広がり、やがて一部になるように消えた
スマホを見れば、《スキル・遮音結界 発動中》、《スキル・遮断結界 発動中》と出ていた

「結界を張ったわ これで話せるわね」

「そうですか……………、あーーー、やっと堅苦しい喋り方を止められるぜ」

結界を張った事を伝えれば、ゾールスは、子供用に仕立てたネクタイを取れば、雑に椅子に座った

「ふふふ、やっぱり貴方はその喋り方ね
ゾールス」

「それはこっちのセリフだぜ、姉貴
そっちも喋り方が崩れてるぜ」

クスクスと笑えば、ゾールスは、ダルそうに私を指差しながら笑っていた

そう、何を隠そうと、私の目の前に居る【ゾールス・カタストロフィー】は、私と同じ転生者であり……………、リアルな私の弟なのだ

「しっかし改めて思うが、俺と姉貴がハマったゲームに転生って、あり得ないけどな」

「ホントよ
初めて知った時、思わず声が出そうになったわ」

ゾールスは、カタストロフィー家に養子として入った子で、お父様の話では、何でもお父様の親戚の方が、亡くなって、それを知れば、お父様が半ば無理矢理、引き取ったとか…………
初対面した時、お互いにスマホを見つけ、叫びそうになり、口を押さえあったのを覚えている

「それでよ…………
ユリアの母ちゃんが救われた事で、シナリオって、変わったのか?」

「えぇ、【プリンセス・セレナーデ】の第三攻略対象であるユリアは、母親の死後、高飛車な性格でありながら努力家で、主人公には、反発しながらも恋に落ちるって、流れだけど、無事に救われたから、その性格には、ならないと思うわ」

「そうか~、よかったぁ
プレイしてると、よく『こんな時…………、お母様だったら…………』って、出てくるから、可哀想って思ってたから安心した」

そう言い、ゾールスは、安心しきったように脚を組んで、笑っていた

(だけど、貴方…………
あと八人の攻略対象、居るのよ……… シークレットキャラを除いてだけど…………
そんなんでちゃんと【プリンセス・セレナーデ】の主人公をやってけ、ないわね…………)

そんなゾールスに、ジト目で見ながらそんな事を思ってしまった

私が悪役令嬢なのは、すぐに気付いたけど、ゾールスがあのギャルゲーの主人公って、気付いたのは、彼の上半身の右胸の辺りに印があったからだ

私が言っては、なんだけど…………、あのギャルゲーには、中々…………、ちょっと過激なシーンがあるから、上半身なんて、よく写ってたし…………

「で、何で部屋で待っててって、言ったのよ?」

少し過激なシーンを思い出し、首を振り、忘れれば、私は、ゾールスに本題を聞こうと、質問した

「あぁっと、そうだった
姉貴 昼間、盗賊に襲われた時、助けてくれたオーガ達が居たろ?」

「えぇ」

「もしかしたらソイツら、転生者かもしれねえ」

ゾールスは、スマホを見せながら簡潔に言えば、私は、小さく「やっぱり…………」と、呟いた

「姉貴も気付いてたんだろ?」

「えぇ、善草の事もそうだけど、魔法が使えて、それに錬金術まで使えるオーガなんてゲームに居なかった
まして、喋れるなんて敵キャラには居なかったわ
……………魔王軍の幹部以外は」

「そう、で、気づかれない様にスマホを見たら転生者の数が4ってなってた
だから俺も気付いた」

そう考えれば、私達を助けてくれた事も、言葉を喋れる事も納得する

「もう一度、会って確かめるしかないわね」

「あぁ、お父様達も乗り気だし、そん時に確かめよう
それで………」

ゾールスは私の言葉に頷けば、ゆらっと立ち上がり、私の側にくれば、そっと顔を近づけた

「姉貴」

「うっ…………、もう、恥ずかしいんだからね」

そう言い、私は、ゾールスの頬に触れれば、優しくキスをした

前世では、私達の両親は、交通事故で死に、幼い私達が取り残された
双子の私達は、親戚の叔父さんに保護され、過ごしていた
叔父さんには、ホント良くしてくれて感謝している………
でも、幼かった私達は、いつ私たちが離れ離れになるかも知れないと、怯えていた
そんな思いから、この行為が私達、姉弟の日課になった

「っ、ちょっと…………、舌、入れないでよ」

「うるせぇよ、姉貴」

この世界に来てから…………、弟が何か私に強気でくるんだけど…………、何でかな?
寂しかった事への反動なのかな?

まぁいいわ もう家族とは、離れないから
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