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第十六局【決勝戦編】
14巡目◉みんなで来た最高峰の舞台
しおりを挟む南3局 白山シオリの親番
この局のシオリの捨て牌は特殊だった。おそらくはチートイツ狙い。もしやのチャンタや四暗刻も可能性はあるが、まあ確率的に考えて本線はチートイツと読んで良いだろう。
麻雀とは不思議なもので、チートイツとチャンタと四暗刻はそれぞれ全く違う手であるのに捨て牌は似たような傾向になる。
そんな局の7巡目。カオリの手が整ってくる。
カオリ手牌
伍六④⑤⑥⑧⑧2345北北 6ツモ ドラ6
『おっと、財前カオリ! いい所を引いてきた!』
『北を外せばメンタンピン三色ドラのハネマンへ進みますね』
しかし…
(私たちはみんなの知恵を借りてここまで来た! そうだよね杏奈)
カオリ
打⑧
『おっとこれは?』
『なんでしょう… ⑧を先に外して好牌先打でしょうか?』
いや、そうではない。
同時刻
水戸——
アンは喫茶店仕事の休憩時間に名人戦のLIVEを観ていた。
「あっ!! これは… 私の麻雀だ。ここから⑧外しは私の『いい待ちヘッド作戦』だ。親がチートイツやってるから」
(…さっきはさっきでミサトさんがユウさんみたいな誘導する麻雀を披露するし。カオリさんもミサトさんも私たちみんなの麻雀をプロ最高峰の舞台に連れてってくれてるんだ。私たちの研究してきた麻雀が最高峰でも通用するって。証明しようとしてくれてるんだ、あの人たちは… 本当に…)
「先輩、本当にありがとう」
————
「リーチ」
『さあ、白山シオリがテンパイしました! 1枚切れの北単騎チートイツ! しかしその北は…』
『はい、財前がアタマにしてますね。そしておそらく出すことはないでしょう』
『もしかして… これ、白山を嵌めるためにタンヤオを捨てたんでしょうか?』
『まさか、そんなわけ… と思うんですけど財前カオリは時々別人かのように深い麻雀をしますからあるいは…』
『だとしたら、化け物…』
カオリ手牌
伍伍六④⑤⑥23456北北 1ツモ
『財前追いついたー!』
『しかもツモ1でのテンパイ! タンヤオを崩す手順にしたことが全く損になってません!』
「リーチ!」
打伍
《三色ですもんね。さすがに伍萬切りますよね。いいんですよ。気にしてませんよ》
(仕方ないでしょ~)
『当然曲げてきたぁ! しかも四-七は山にごっそりあるぞ!』
押し返されたシオリは嫌な予感がしていた。
白山
ツモ七
「!(まずい!)」
打七
「ロン」
カオリ手牌
伍六④⑤⑥123456北北 七ロン
裏ドラ七
「8000」
「はい」
(⑧の対子落としをして… 北アタマ… すぐにタンヤオになりそうな手を? この子…!)
女王シオリから満貫を直撃してついにカオリは親満ツモでトップ目のミサトに届く点差まで詰めていた。
そして、運命のオーラス————
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