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第十六局【決勝戦編】
13巡目◉佐藤ユウの麻雀
しおりを挟む南2局 井川ミサトの最後の親番
ミサトには非常に期待値の高い手が入っていた。そんな6巡目。
ミサト手牌 切り番
三三三四七②③④④⑥⑦234 ドラ7
場にはピンズの上がポロポロ出ており⑤-⑧あたりはサクッと引いてこれそうだった。
七切りすれば全箇所で受け入れ豊富なイーシャンテンだ。しかし。
ミサト
打④
『んんんんん??』
『井川、これは不思議な選択をしました。何のために七を残したのでしょうか?』
『ちょっと、わかりませんね。たしかにこの手に①を引いてしまうと勿体ないとは思いますが…』
(解説者さんたちは困惑してるとこじゃないかな。この、ユウがやりそうな選択は。私の中の佐藤ユウがここは七を残せと言っているの!)
3巡後ミサト
ツモ⑧
『張った! 勝負手』
「リーチ」
打七
スパッと美しく牌を横に曲げる。その所作一つとってもフリーに通い始めの頃のミサトとはまるで違う。林アヤノを見て習ったプロの所作。井川ミサトもカオリ同様に凄まじく成長していた。
同巡
カオリ手牌
二三四伍六七八④⑤7788 7ツモ ドラ7
『あっ! 財前カオリもテンパイしました!』
『いやでもこれは、二切りになってしまいますよ!』
『もしかして…… いや、間違いない。待ちの反対側となる上の牌を引っ張ることで同色の下を押し出す戦略だったんじゃないですか!?』
『そんな高度な…』
「リーチ」
打二
「ロンっ!」
三三三四②③④⑥⑦⑧234 二ロン
「18000」
『インパチ炸裂!!』
『オヤッパネだー!』
(ぐはっ! な、なんなのよあの七は。何引いて張ったのかは知らないけど④の方が後になる手じゃないの?? 変なことしてー。おかげで、八止めて高め放銃しちゃったじゃない)
《やられましたね。待ちと同色の反対側を引っ張ることで高めが押し出されるように誘導…か、面白いことをやる》
(なーるほど。思惑通りってわけだ。まるでユウの麻雀ね…… 絶対逆転してやるから!!)
次局はミサトの1人ノーテンで流れたがそれでも先ほどの18000で暫定トップはミサトになった。
《さすがミサトですね》
(感心してる場合じゃないわよ! もう!)
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