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第七局【新人王編】

11巡目◉一瞬の差

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 昨年度よりプロ麻雀師団はルール変更を行い、今までは採用していなかった持ち点ゼロを割ったら終了というルールをリーグ戦で採用することになった。これを通称『飛び終了』と言いフリー雀荘なら100%採用しているルールである。そのほかにも2人同時にアガリになった場合のルール『ダブロン』も採用した。
 どうやら競技者プロたちもフリー雀荘に沿ったルールにしておくべきであるという結論になったようだ。フリー雀荘と似通ったルールでやってこそ『プロは強いな』という話になるのだから。特殊なルールのサークルでてっぺん取ってもしょうがないのだ。
 それに、飛び終了ルールは麻雀に戦術の深さを与えてくれる。つまり、見逃しや直撃狙いという条件作りだ。これを上手く計算して勝ち切る人こそが本物の強者だと言える。

 そんなわけで、飛び終了のルールがある四回戦。ミサトはメグミの東場の猛連荘で飛ばされる寸前まで追い詰められていた。


南2局一本場15巡目にミサトはこの手。

ミサト手牌
二三四③④22666(777)

200点持ち ドラ二

 ミサトは断ラスで現在は北家。2000点テンパイ中だ。
 トップ目は上家のメグミでなんと72300点!
 メグミは数巡前からテンパイ気配。打点は分からないが大ピンチではある。
 場にはソーズが多く切られておりリャンソーで待てるテンパイが組めたら強いと思って作っていたがそうもいかなかった。
 ここに対面から2が切られる。
 これは絶対にポンして打6! 上家メグミのツモ番を一瞬だけでも遅くするべきだからだ。
 都合の良いことにソーズは全員に安全性の高い場面なので刻子3枚持ち対子2枚持ちを切り替えるのに何のリスクもない。

 待ちがよくなるわけじゃない。打点が高くなるわけでもない。だから反応できないでは素人なのである。

 上家メグミのツモ牌は下家に流れて下家は考えた末にツモ切り。打⑤。
「ロン」「ロン」

 ダブロンだった。

1300は1600と2000。

メグミ手牌
三四四伍伍六②②④⑥中中中

 間一髪だ。ミサトは4から3に浮上してさらにその後は出場所最高デバサイのハネマンもアガることで2着まで上がってゲームを終えることができた。

この時ポンしてなかったらラスだったことを考えるとギリギリで2が出て本当に助かったなと心底思ったミサトだった。


第2節
井川ミサト
一回戦1
二回戦1
三回戦1
四回戦2
③①⓪⓪
本日のスコア+135.6
トータルスコア+86.7暫定6位!
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