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第二局【カオリ覚醒編】

12巡目◉運

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アカ伍④④④234アカ6789 7ロン

 カオリの手は見事だった。ただ、とてもいいアガリではあったがアンに放銃さえされなければ一発でド高めイーソーを引いて親倍満オヤバイだったのも事実であった。
 鳳凰とりツモの8000オールを逃したカオリはせっかく12000をアガったのに落胆してしまった。知らない方がいい事もある。テンションが下がったカオリに先程までの集中力は無く、甘い牌をスグルに下ろしてしまう。

「お、チー。やっと甘い牌が出たね」
(しまった!)
「カオリちゃんもまだ子供だね。こんなことはよくあるよ。この程度で集中力切らしてたらプロでは通用しないぞ」
「ユウに聞いたんですか?」私はスグルさんに自分がプロ雀士を目指していると話した記憶はない。というか、生涯雀士とは誓ったが、それがイコールプロになることではないし、つまり誰にも私がプロを目指しているとは言って無い気がするのだが…。
「なんとなくだよ、キミたちこそプロ雀士になるべきだ、そう言う本気度があるだろ。だから目指してて欲しいし、結局はそうなると思ってる。…おっ、ツモ!」

 急所が鳴けたスグルはすんなりと1000.2000をツモ。
 次局はダマの12000をカオリから討ち取り突き抜けた。
(やっぱり職人は強いなあ。当たり前だけど格が違うわ)そう皆が感じていたが、しかしだからと言って諦めてる奴はこの中には1人も居なかった。

 麻雀とは運に大きく左右されるゲームだ。それでありながら、技術介入の余地がある場面がかなり多いのも面白い点で。しかし技術を駆使しても結果勝てるとは限らない理不尽さもある。
 例えるなら勉強だ。
 学校で習う勉強は社会に出ても役に立たないと言う事が多い。しかし役に立つかも知れないこともある。
 ひとつだけ確実なのはそれでも勉強しておかなければ知性を磨くことは出来ないし、なにもしなければ無能無知なままだと言うこと。それでも運だけでラッキーする人生もあり得るがそんなラッキーだけの人生に満足感が得られるかは疑問である。
 麻雀も、どんなに鍛えても勝てるとは限らないが鍛えなければレベルはあがらない。素人のままだ。それでもまぐれで勝つ事はあるがそんな下手うったけどまぐれ当たりで勝ちましたみたいな勝利で楽しかったとはなかなかなれない。
 しっかり考えて、鍛錬して、真剣に取り組んだ研究の成果で勝ち抜くからこそやめられない楽しさがあるんだ。


 しかし、今は運だけでもいい。実力で届こうなどと無理な事は言わないから。スグルさんに勝ちたい! 誰にも、負けたくない!

 少女達は全員そう思っていた。
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