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004:幼なじみ
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ゲーネッツが再び声を潜める。
「この村で女遊びがしてぇが、どうも具合がよろしくねぇ」
「そうなんですか?」
「あぁ。みんな身持ちが堅くてよぉ……」
「ふぅん」
「お前さんはどうだ?」
「う~ん。どうだろう? まだ来て二日目だからなぁ」
「十年前だっけか? 村を出たの」
「はい。当時八歳だったから、その辺の事は全然でしたし。最近の村の事情もさっぱりです」
「そぉかぁ」
そう言ってゲーネッツは天井へ視線を向けた。
「まぁここには仕事で来てるだけだがよぉ。どうせなら遊べる場所も欲しいよなぁ」
ゲーネッツはそう言って俺を見る。
「村長あたりに進言してみちゃくれねぇか?」
「俺がですか?」
「あぁ」
「まぁ、そういう要望があったと話すだけなら」
「おっ。ありがてぇ。頼むぜ」
そんな会話をしていると、ゲーネッツを呼ぶ一人の優男がいた。隣には妙齢のキレイな女性もいる。2人とも20歳前後ぐらいだろうか。
「ゲーネッツ。村人に絡むんじゃない」
するとゲーネッツは首を左右に振って答える。
「ちげぇよ。絡んでねぇって。普通に話をしてたんだよ」
「そうか?」
「おう。なっ! ジン」
そう言って俺の肩を叩き話を振ってきた。俺はその男女に自己紹介をする。
「ジンです。よろしく」
「カイトだ。こっちの女性はアヤ。それで? ゲーネッツに絡まれてない? 大丈夫?」
カイトさんが心配そうにしているので、俺は笑って答える。
「大丈夫です。ちょっと話をしていただけです。ありがとう」
「そうか。ならいいけど」
そう言ってカイトさんはゲーネッツに「そろそろ行くぞ」と言って外へと促した。
「おう。じゃあなジン。さっきの件、話すだけでもいいからよろしくな!」
そう言って三人は出ていったのだった。
その後は、久しぶりに村の中を見て回った。昔に比べて建物が増えたと感じる。順調に発展しているようだ。魔の大樹海による恩恵だろう。ありがたい。
変わった場所。変わらない場所と様々だ。その時、一人の村人とすれ違った。赤毛混じりの茶色い髪の女性だ。背中には赤子が背負われている。その村人が俺を見て驚いた顔をした。
「えっと。もしかして……ジン?」
「うん?」
俺は振り返り、首を傾げた。誰だっただろう?
「私! カレナ! 覚えてないかな? ほら。昔よく一緒に村長に悪戯をした!」
俺は言われて思い出した。
「カレナ! うっそ! あの? マジで!」
俺が駆け寄り、まじまじと見る。
「本当だ! たしかに面影がある! その鋭い眼光。たしかにカレナだ!」
「目付きが悪くて悪かったわね! それにしても、うっわ。久しぶり! どうしたの? 帰ってきたの? 元気だった?」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。俺は視線を彼女の背中に背負われる赤子に向けた。するとカレナが笑った。
「あぁ。この子?」
「うん。カレナの子?」
「そう。去年ね」
「へぇ。おめでとー!」
「うん。ありがと」
そう言って照れる姿は新鮮だ。俺はそんな幼馴染の姿に思わず笑顔になってしまう。
「へぇ。カレナもすっかり大人の女性だね。あの頃は男の子みたいだったのに! ふふ。可愛くなったね」
するとカレナが真っ赤になって照れた。
「ちょ! 何! バカじゃないの! 何を言い出すのよ!」
「あはは。ごめん。でも、そっかぁ。10年だもんな。みんな大人になったんだよなぁ」
「そ、そういうジンだって。すっかりカッコよくなっちゃって。まぁうちの旦那には負けるけど?」
「あはは。あ! ところで旦那って誰? 俺の知ってる人?」
「うん。私の旦那はゴンダだよ」
「うっそ! ほんとに? あの頃、あんなに仲悪かったのに?」
「うん。まぁ色々あってね」
「へぇ?」
何があったんだろう? すっごい気になる。でもカレナは話題をそらしてきた。
「あはは。まぁ私の話は追々ね。それで? 我が村から旅立った天才ジンは、どうしたのかな?」
「あはは。ちょとね。理想と現実が合わなくてさ」
「ふぅん?」
「うん」
「そっか。色々あったんだ。それで? 村には?」
「うん。村で錬金工房を開こうと思ってる。後は雑貨屋もね」
「おぉ! ほんとに! 何を作るの?」
「傷用のポーションを中心に、色々作ろうと思ってるよ」
「へぇ。いいね。この村に錬金術師かぁ。うわぁ! いい。すっごくいい!」
「あはは。ありがと」
しばらく話し込んでいたら、カレナの背中の赤ん坊がグズりだした。カレナがあやし始める。俺はしばらくその姿を見ていたが、いつまでもそうしていても仕方がない。
「さて。それじゃあ俺。そろそろ行くな」
「うん」
「まぁ、これから宜しくな。ゴンダにもよろしく伝えておいてくれ」
「わかった」
「じゃな!」
「じゃね!」
そう言って別れた。しばらく歩いて村をもう一度見る。
「そっかぁ。子供かぁ」
幼馴染が子供を産んで、母親や父親をやっている。村はあまり変わっていないように見えるが、でもそこに住んでいる人々は色々と変化していってるんだなぁ。
とっても感慨深くて、何だか胸が締め付けられる思いがした。
「この村で女遊びがしてぇが、どうも具合がよろしくねぇ」
「そうなんですか?」
「あぁ。みんな身持ちが堅くてよぉ……」
「ふぅん」
「お前さんはどうだ?」
「う~ん。どうだろう? まだ来て二日目だからなぁ」
「十年前だっけか? 村を出たの」
「はい。当時八歳だったから、その辺の事は全然でしたし。最近の村の事情もさっぱりです」
「そぉかぁ」
そう言ってゲーネッツは天井へ視線を向けた。
「まぁここには仕事で来てるだけだがよぉ。どうせなら遊べる場所も欲しいよなぁ」
ゲーネッツはそう言って俺を見る。
「村長あたりに進言してみちゃくれねぇか?」
「俺がですか?」
「あぁ」
「まぁ、そういう要望があったと話すだけなら」
「おっ。ありがてぇ。頼むぜ」
そんな会話をしていると、ゲーネッツを呼ぶ一人の優男がいた。隣には妙齢のキレイな女性もいる。2人とも20歳前後ぐらいだろうか。
「ゲーネッツ。村人に絡むんじゃない」
するとゲーネッツは首を左右に振って答える。
「ちげぇよ。絡んでねぇって。普通に話をしてたんだよ」
「そうか?」
「おう。なっ! ジン」
そう言って俺の肩を叩き話を振ってきた。俺はその男女に自己紹介をする。
「ジンです。よろしく」
「カイトだ。こっちの女性はアヤ。それで? ゲーネッツに絡まれてない? 大丈夫?」
カイトさんが心配そうにしているので、俺は笑って答える。
「大丈夫です。ちょっと話をしていただけです。ありがとう」
「そうか。ならいいけど」
そう言ってカイトさんはゲーネッツに「そろそろ行くぞ」と言って外へと促した。
「おう。じゃあなジン。さっきの件、話すだけでもいいからよろしくな!」
そう言って三人は出ていったのだった。
その後は、久しぶりに村の中を見て回った。昔に比べて建物が増えたと感じる。順調に発展しているようだ。魔の大樹海による恩恵だろう。ありがたい。
変わった場所。変わらない場所と様々だ。その時、一人の村人とすれ違った。赤毛混じりの茶色い髪の女性だ。背中には赤子が背負われている。その村人が俺を見て驚いた顔をした。
「えっと。もしかして……ジン?」
「うん?」
俺は振り返り、首を傾げた。誰だっただろう?
「私! カレナ! 覚えてないかな? ほら。昔よく一緒に村長に悪戯をした!」
俺は言われて思い出した。
「カレナ! うっそ! あの? マジで!」
俺が駆け寄り、まじまじと見る。
「本当だ! たしかに面影がある! その鋭い眼光。たしかにカレナだ!」
「目付きが悪くて悪かったわね! それにしても、うっわ。久しぶり! どうしたの? 帰ってきたの? 元気だった?」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。俺は視線を彼女の背中に背負われる赤子に向けた。するとカレナが笑った。
「あぁ。この子?」
「うん。カレナの子?」
「そう。去年ね」
「へぇ。おめでとー!」
「うん。ありがと」
そう言って照れる姿は新鮮だ。俺はそんな幼馴染の姿に思わず笑顔になってしまう。
「へぇ。カレナもすっかり大人の女性だね。あの頃は男の子みたいだったのに! ふふ。可愛くなったね」
するとカレナが真っ赤になって照れた。
「ちょ! 何! バカじゃないの! 何を言い出すのよ!」
「あはは。ごめん。でも、そっかぁ。10年だもんな。みんな大人になったんだよなぁ」
「そ、そういうジンだって。すっかりカッコよくなっちゃって。まぁうちの旦那には負けるけど?」
「あはは。あ! ところで旦那って誰? 俺の知ってる人?」
「うん。私の旦那はゴンダだよ」
「うっそ! ほんとに? あの頃、あんなに仲悪かったのに?」
「うん。まぁ色々あってね」
「へぇ?」
何があったんだろう? すっごい気になる。でもカレナは話題をそらしてきた。
「あはは。まぁ私の話は追々ね。それで? 我が村から旅立った天才ジンは、どうしたのかな?」
「あはは。ちょとね。理想と現実が合わなくてさ」
「ふぅん?」
「うん」
「そっか。色々あったんだ。それで? 村には?」
「うん。村で錬金工房を開こうと思ってる。後は雑貨屋もね」
「おぉ! ほんとに! 何を作るの?」
「傷用のポーションを中心に、色々作ろうと思ってるよ」
「へぇ。いいね。この村に錬金術師かぁ。うわぁ! いい。すっごくいい!」
「あはは。ありがと」
しばらく話し込んでいたら、カレナの背中の赤ん坊がグズりだした。カレナがあやし始める。俺はしばらくその姿を見ていたが、いつまでもそうしていても仕方がない。
「さて。それじゃあ俺。そろそろ行くな」
「うん」
「まぁ、これから宜しくな。ゴンダにもよろしく伝えておいてくれ」
「わかった」
「じゃな!」
「じゃね!」
そう言って別れた。しばらく歩いて村をもう一度見る。
「そっかぁ。子供かぁ」
幼馴染が子供を産んで、母親や父親をやっている。村はあまり変わっていないように見えるが、でもそこに住んでいる人々は色々と変化していってるんだなぁ。
とっても感慨深くて、何だか胸が締め付けられる思いがした。
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