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信頼を吹っ飛ばしたのはキミ
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しおりを挟む私が彼に出逢ったのは今年の5月。
大学の枠を超えたサークル活動でのことだった。
初めての集まりでひと目見た瞬間に恋に落ちた…大袈裟だけどそれくらいドキッとして目が離せなくなった。
今時のイケメンで、でも若者らしく初々しくて、ふわふわの前髪を指で伸ばす仕草が可愛らしくて気に掛かった。
チャラついてなくてむしろ人付き合いが苦手そうな感じ、ゆったりマイペースな子なのだと思った。
週2ペースの活動をしていくうちに仲良くなって連絡先を交換して、夏休みの終わりに私の方から告白して交際がスタートした。
私のこれまでの彼氏遍歴はそこそこの人数なのだが、趣味が悪いのか見る目が無いのかダメ男の割合が高かったように思う。
とはいえ弱冠二十歳の私が交際するのは同世代の男子ばかり、未熟なのは当然と言えば当然だ。
まぁ浮気性とか著しくモラルが欠けてたり口が悪かったり…親しくなってそんな素を知ってしまいこちらからお別れしている。
今の彼は穏やかだし言葉遣いも丁寧だし大丈夫…だと期待していた。
それで今日のホテルインな訳だが、出鼻を挫くどころかビンタされて私のテンションはだだ下がりである。
「謝るくらいならしないでよ」
「だから一応、前もって聞いたじゃないですか」
「殴るとは聞いてないでしょ!聞いてたら断ってたよ!」
「そうですか…あの、泣いたりしないんですね」
「は⁉︎泣かせたいわけ⁉︎」
自分で言うのもなんだが、私は細かいことは気にしないというかだいぶん大雑把な性格である。
それどころか不精の域まで行っており、人に会わないならば1日ノーメイクパジャマで過ごせるタイプだったりする。
素材の良さに助けられてモテはするけど、ざっくばらんな本性を出すにつれて異性が離れて行くという残念ガールな一面もある。
悲しいかな、ダメ男側に完全に非がある訳ではないのだ。
なので彼の前で見せていたいじらしくか弱いキャラは作り込んだ設定みたいなもので、「私は女優よ」くらいのテンションの演技である。
彼はモテそうな見た目の割に女性と付き合ったことがないという、初心なところも可愛くて心惹かれた。
私の方が年上だし本性通り姉御肌を売りにしても良かったのだろうけど、彼のあまりの王子さまっぷりに私もお姫さまになってみたくなったのだ。
『見た目の割にウブな恋』って萌えるエピソードじゃない、そんな目論みが私の原動力となっていた。
しかしそのキャラも打たれた拍子に飛んで行って、まるっきり素の状態で彼を睨み付けている。
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