弓使いの成り上がり～「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした～

4

冒険者になった俺たちはさっそく依頼を探そうと掲示板に向かう。


「お前がカイトか？」


突然、後ろから声をかけられる。振り返ると、そこには長髪の男性が立っていた。


「そうだが、何か用か？」


俺は訝しげに聞き返す。すると、男はニヤリと笑った。


「俺はエドワード。お前がSランク冒険者になった噂は聞いているぞ」


どうやらこの男も冒険者らしいな。でも、一体何の用だろう？


「お前のような奴がSランクだと到底思えない。一体どんな手を使ったんだ？」


エドワードはそう言って、俺を見定めるように見つめてくる。


「別に、普通に試験を受けただけだが……」


「嘘をつくな！ お前がそんな実力を持っている訳がない！」


エドワードは激昂する。周りの冒険者たちも騒ぎ出した。


「そうだ、カイトがSランクなんておかしいぜ！」


「そうだ、そうだ！」


俺はどうすればいいか分からず困惑する。すると……


「皆さん、落ち着いてください」


フィーナが冒険者たちをなだめる。そして……


「カイト様は本当に実力のあるお方です」


フィーナはきっぱりと断言した。その言葉に冒険者たちが黙り込む。だが、エドワードは引き下がらなかった。


「俺と決闘しろ！ お前が負けたら冒険者を辞めてもらうぞ！」


「分かった。決闘をしよう」


俺は即答した。正直、こんな奴とは関わり合いになりたくないが、因縁をつけられるのも嫌だからな……


こうして、俺はエドワードと決闘することになったのだった。


「ルールは簡単だ。先に降参するか気絶した場合負けとする」


ギルドの訓練場に移動した俺たちは決闘のルールを確認する。


「この決闘は俺の圧勝だ」


「なぜそう言い切れるんだ？」


「簡単な話だ。俺にはこれがある」


エドワードは腰に付けた黒いL字のものを手に取る。


「それって……たしか、拳銃という武器だったか？」


筒状の銃身から金属の弾丸を発射する武器で、その威力は弓矢を遥かに上回るという代物だ。


「弓なんて武器はもはや時代遅れだ。これからは銃の時代なんだよ」


「まあ、否定はしないさ」


「何だと？」


エドワードは怒りの表情を浮かべる。だが、俺は気にせず言葉を続けた。


「でもな、俺は弓の方が使いやすいんだよ」


「ふん、その余裕がいつまで続くかな……」


俺たちは決闘の準備を始める。まずは鏃をゴム製のものに交換した。そして、お互いに距離を取ると構えを取る。


「では、始め！」


審判役のギルド職員が合図をすると同時にエドワードは引き金を引いた。バンッという音と共に銃弾が放たれる。


「遅い」


俺は弾丸の動きを目で追って、あっさりと避ける。


「よ、避けた！？」


エドワードは驚きの声を上げた。そして、連続で引き金を引いてくるが、全て避けてみせた。


「クソッ！ どうなってやがるんだ！」


エドワードは悔しそうな表情を浮かべる。俺はニヤリと笑みを浮かべた。


「お前の実力はその程度か？」


挑発すると、エドワードはさらに苛立った様子を見せる。


「ふざけるな！ これならどうだ！？」


エドワードは銃を連射する。俺はそれを軽々と避け続けた。回避してる間にエドワードが接近してきた。


「この距離なら、避けることはできまい！」


エドワードは至近距離で銃を撃つ。だが、俺はそれすらも避けてみせた。


「なっ！？ どうして当たらないんだ！？」


エドワードは動揺を隠せない様子だ。


「もう一度撃ってみろ」


「言われなくても……何度でも撃ってやる！」


エドワードは銃を連射する。だが、俺はそれを矢で全て撃ち落とした。


「そんな……馬鹿な……銃弾より速い矢なんて……ありえない……」


エドワードは呆然と立ち尽くしている。俺はその隙を逃さなかった。一瞬で間合いを詰めると、喉元に鏃の切っ先を突き付ける。


「まだやるか？」


「くっ……降参だ……」


こうして、決闘は俺の勝利で幕を閉じたのであった。