弓使いの成り上がり～「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした～

3

俺たちは王都にある冒険者ギルドに来ていた。


「いらっしゃいませ！今日は何のご用ですか？」


「冒険者登録に来ました」


「かしこまりました。では、こちらの書類に記入をお願いします」


俺は渡された紙に名前や年齢などの必要事項を書き込む。


「はい、これで大丈夫ですか？」


「ありがとうございます！ では魔力試験を行います」


受付嬢は水晶玉のようなものを取り出す。


「ここに手を置いてください」


俺は言われるがままに手を置く。すると、水晶玉が光り輝く。


ピキピキピキッ！


水晶玉は音を立てて割れた。


「きゃあ！」


受付嬢は悲鳴を上げる。俺は慌てて謝った。


「す、すいません！」


「いえ、大丈夫です……ですが、これは一体……」


受付嬢は割れた水晶玉を呆然と見つめる。


「あの、何か問題でも……？」


俺は不安になって尋ねた。すると……


「い、いえ！ 何でもありませんよ！ お気になさらないでください！」


そう言って、彼女は誤魔化すように笑ったのだった。


（何だったんだ……？）


次は実技試験だ。遠くの的に矢を放てばいいらしい。


「では、よろしくお願いします」


俺は弓矢を構え、的に向かって矢を射る。ヒュンという音と共に矢が飛んで行った。そして、的に命中すると跡形もなく破壊される。


「え！？」


受付嬢や周りからざわめきが起こる。無理もないだろう。自分でもこの結果には驚いたからな……


「ど、どうやったんですか！？ あんなの見たことないですよ！」


受付嬢は興奮した様子で詰め寄ってくる。俺はどう答えるか迷った。


「えっと……普通ですよ？」


俺は何とか誤魔化そうとする。でも、誤魔化し切れなかったようだ。


「普通なわけないでしょう！？ あんな威力の矢を撃てるなんて聞いたことありませんよ！？」


受付嬢が大声で叫ぶ。周りの冒険者たちも騒ぎ始めた。


「おい、あの兄ちゃんすげえぞ！」


「あんなの見たことないぜ！」


「あんなの見せられたら、もう他の奴の試験なんて見てられねえよ！」


冒険者たちが騒ぎ立てる。俺はどうすればいいのか分からず、ただ呆然と立ち尽くしていた。すると……


「おい、お前ら！ 静かにしろ！」


ギルド長らしき男が冒険者たちを一喝する。すると、すぐに静かになった。どうやらこの人がギルド長らしいな。


「すいません、うちの者が騒がしくしてしまって」


ギルド長は俺に謝罪する。


「いえ、大丈夫です」


俺は少し戸惑いながらも答えた。


「それより、お前の試験だが……特別にSランクで合格とする」


「え？ Sランク？」


俺は耳を疑った。Sランクといえば冒険者の中でも一握りの実力者にしか与えられないものだ。そんな簡単になれるものではないはず……


「あの、本当にいいんですか？」


「ああ、お前はそれだけの実力を持っている」


ギルド長の言葉に周りの冒険者たちがどよめく。


「おい、聞いたか？ Sランクだってよ……」


「マジかよ……」


Sランク冒険者なんて、この国でも数人しかいないはずだ。そんな凄い人に認められたのか……


俺は少し誇らしい気持ちになった。


「ありがとうございます」


俺はギルド長に向かって頭を下げる。


「気にするな、お前はそれだけの実力を持っているんだ」


こうして、俺の冒険者登録は無事に終了したのだった。