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第07章. 釣りに行こう
【ずっと二人で…】
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「コウイチくん、代わって!代わって!」
「いや、せっかくだから舞ちゃんが釣り上げなよ」
そんな会話をしながら僕たちは共同作業のように
2人で竿を握ってリールを巻いた。
お互いの体が触れ合うことすら気にならないくらいに
僕たちは釣りに熱中していた。
2、3分の格闘の末ようやく釣り上げたのは
30センチを超えるクロダイだった、
褐色の体と銀色の鱗が
アスファルトの上で大きく跳ねている。
「凄いね!舞ちゃん!初めての釣りでこのサイズはなかなかないよ」
「疲れたぁ、これ何て魚?」
「これはクロダイ、俺の地方では『チヌ』って呼んでるよ、難しいんだよ、釣るの」
「そうなんだ、私もう名人?」
「すごいよ、師匠だよ」
「ははははは!」
額の汗を拭いながら子供のように笑う舞
何ていい表情をするんだ、
舞衣がこんなに感情を表に出すタイプだとは
思ってもいなかった。
これまで知らなかった舞衣の新たな魅力を見つける度に
僕はどんどん好きになっていくのがわかった。
「もうわたし、しばらく休憩、疲れちゃった」
「ははは!俺なんてまだ始めてもないのに」
「わたし、見てるからがんばって釣ってよ」
「よし、任せといて!」
そんな僕が釣り上げるのは15センチ程度のアジやイワシ
それでもその度に舞は大きなリアクションで
一緒に喜んでくれる。
お昼過ぎには小さなクーラーが
二人の夕食分くらいの魚で埋められた。
「ご飯食べよ」
舞に促されてようやく小休止。
僕たちは朝のおにぎりの残りを食べながら
海を眺めていた。
おにぎりを食べながら
せっかく釣れた魚たちをどうしようかな、と
考えた。
そんな僕の思いを察したのだろうか?
「ねえねえ、帰ったら捌いてもいいかな?」
「え?舞ちゃんって魚、捌けるの?」
「うん!料理ならまかせといて、ささっと3枚におろすから!」
「じゃあさ…」
「何~?真剣な顔して、ふふっ」
「俺にも教えてくれるかな?」
「いいよー!釣り、教えてくれたお礼になるかな?」
「うん、じゃあよろしくね」
これで今日はこの先も舞と過ごす時間を作る、
と言う口実が出来た
" 本当は…もっと舞ちゃんと一緒にいたい "
それだけなんだ・・・
さすがにまだこんな事は口に出来なかった。
「やった!これで今日はコウイチくんとずっと一緒だぁ!」
え?俺が口にするのを躊躇した言葉を事も無げに…
舞は何て正直な娘なんだ…
初めて二人で出掛けた記念すべき日、
8月の猛暑なんて気にならなかった。
潮風に吹かれて長い髪が揺れる舞の横顔を
僕はずっと焼き付けておこうと思った。
「え?またご飯粒、ついてる?」
思い出したようにあたふたとしながら
そう聞いてきた舞衣
「え?バレてた?見てたの」
「ふふふ、ずっと見てたでしょ?わたしのこと」
「バレバレだね」
「いいよ、わたしなんかでよかったら」
今、確信したこと…有香の言った通りだった
舞は本当に僕のことが好きなんだ、
何故“僕”なのかはわからない。
そして気づけば僕も知らず知らずのうちに
舞のことを…前よりもずっと好きになってるようだ。
「いや、せっかくだから舞ちゃんが釣り上げなよ」
そんな会話をしながら僕たちは共同作業のように
2人で竿を握ってリールを巻いた。
お互いの体が触れ合うことすら気にならないくらいに
僕たちは釣りに熱中していた。
2、3分の格闘の末ようやく釣り上げたのは
30センチを超えるクロダイだった、
褐色の体と銀色の鱗が
アスファルトの上で大きく跳ねている。
「凄いね!舞ちゃん!初めての釣りでこのサイズはなかなかないよ」
「疲れたぁ、これ何て魚?」
「これはクロダイ、俺の地方では『チヌ』って呼んでるよ、難しいんだよ、釣るの」
「そうなんだ、私もう名人?」
「すごいよ、師匠だよ」
「ははははは!」
額の汗を拭いながら子供のように笑う舞
何ていい表情をするんだ、
舞衣がこんなに感情を表に出すタイプだとは
思ってもいなかった。
これまで知らなかった舞衣の新たな魅力を見つける度に
僕はどんどん好きになっていくのがわかった。
「もうわたし、しばらく休憩、疲れちゃった」
「ははは!俺なんてまだ始めてもないのに」
「わたし、見てるからがんばって釣ってよ」
「よし、任せといて!」
そんな僕が釣り上げるのは15センチ程度のアジやイワシ
それでもその度に舞は大きなリアクションで
一緒に喜んでくれる。
お昼過ぎには小さなクーラーが
二人の夕食分くらいの魚で埋められた。
「ご飯食べよ」
舞に促されてようやく小休止。
僕たちは朝のおにぎりの残りを食べながら
海を眺めていた。
おにぎりを食べながら
せっかく釣れた魚たちをどうしようかな、と
考えた。
そんな僕の思いを察したのだろうか?
「ねえねえ、帰ったら捌いてもいいかな?」
「え?舞ちゃんって魚、捌けるの?」
「うん!料理ならまかせといて、ささっと3枚におろすから!」
「じゃあさ…」
「何~?真剣な顔して、ふふっ」
「俺にも教えてくれるかな?」
「いいよー!釣り、教えてくれたお礼になるかな?」
「うん、じゃあよろしくね」
これで今日はこの先も舞と過ごす時間を作る、
と言う口実が出来た
" 本当は…もっと舞ちゃんと一緒にいたい "
それだけなんだ・・・
さすがにまだこんな事は口に出来なかった。
「やった!これで今日はコウイチくんとずっと一緒だぁ!」
え?俺が口にするのを躊躇した言葉を事も無げに…
舞は何て正直な娘なんだ…
初めて二人で出掛けた記念すべき日、
8月の猛暑なんて気にならなかった。
潮風に吹かれて長い髪が揺れる舞の横顔を
僕はずっと焼き付けておこうと思った。
「え?またご飯粒、ついてる?」
思い出したようにあたふたとしながら
そう聞いてきた舞衣
「え?バレてた?見てたの」
「ふふふ、ずっと見てたでしょ?わたしのこと」
「バレバレだね」
「いいよ、わたしなんかでよかったら」
今、確信したこと…有香の言った通りだった
舞は本当に僕のことが好きなんだ、
何故“僕”なのかはわからない。
そして気づけば僕も知らず知らずのうちに
舞のことを…前よりもずっと好きになってるようだ。
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