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第07章. 釣りに行こう
【いきなりヒット】
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昔から二人乗りは苦手だったけど
この日ばかりはそうも言ってられない。
舞を後ろに乗せてグラグラしたりしたら
カッコ悪いことこの上ない。
「ねえねえ!わたし重くないー?」
風を切りながら走る自転車の後部座席から
舞の声がする、本当は必死だがあくまで平然を装い
「大丈夫だよー!重いわけないじゃん」
「ならよかったー!」
いつもは一人で通る新緑の線路沿いの道、
今日は一段とその若葉が映えているように見える。
ここを舞と通るなんて誰が想像しただろうか?
ここから海までは自転車で約10分
全力でペダルを漕ぎ、
午前10時過ぎにとある防波堤に着いた。
満潮がお昼前だったので
正にうってつけのタイミングだった。
釣れても釣れなくても楽しいとは思うのだが
それでもやはり魚が釣れた方が舞は喜ぶだろう。
僕はまず何はさておき舞の仕掛けを準備した。
そして竿の投げ方やリールの使い方を
簡単にレクチャーする。
今回の釣りは「サビキ」と言う
擬似針の下にオキアミの入った籠をつける、
そんな仕掛けだ。
仕掛けを投入すると
オキアミが撒き餌のように海中に放たれ
それに引き寄せられた小魚が
擬似針に食い付く、と言う仕組み。
これならミミズやゴカイと言った
虫系の餌が苦手でも問題ないし手も汚れにくい。
僕なりに女子に気を遣っての配慮のつもりだ。
更に海底に根掛かりしないよう
舞の使う竿には浮き下を調整して
プラスチックの浮きを取り付けた。
「これなら底に引っ掛からないからね」
「なるほど!地球を釣らなくてすむんだね」
舞は何をするにもとても飲み込みが早い、
頭の回転がとても素晴らしいと思った。
すぐに釣り道具を操作できるようになった
舞が一人で没頭しているようなので
僕ものんびりと仕掛けの準備を始めた。
1本は舞と同様に浮きを取り付けたサビキ、
もう1本は海底を棲み家とする底物狙いの仕掛け
さて、そろそろ僕も始めようか、と竿を手にした矢先…
「コウイチくぅ~ん!助けて~~!」
どうした?どうした?いったい何が起きている?
まさか舞はもう何か釣っているのか?
「きゃ~!重い!重い!引っ張られてるよー!」
舞の叫び声が聞こえた。
「舞ちゃん、もう釣れたの?ゆっくりリールを巻いてみて!」
「ひぃ~、重いよ、助けて!コウイチくーん!」
「ちょっと待ってて、すぐ行くから!」
「コウイチーっ!早くー!」
僕の名前を呼び捨てにするほどに舞はテンパっていた
ビギナーズラックにもほどかある…
舞は何と言う強運の持ち主なんだろう。
この日ばかりはそうも言ってられない。
舞を後ろに乗せてグラグラしたりしたら
カッコ悪いことこの上ない。
「ねえねえ!わたし重くないー?」
風を切りながら走る自転車の後部座席から
舞の声がする、本当は必死だがあくまで平然を装い
「大丈夫だよー!重いわけないじゃん」
「ならよかったー!」
いつもは一人で通る新緑の線路沿いの道、
今日は一段とその若葉が映えているように見える。
ここを舞と通るなんて誰が想像しただろうか?
ここから海までは自転車で約10分
全力でペダルを漕ぎ、
午前10時過ぎにとある防波堤に着いた。
満潮がお昼前だったので
正にうってつけのタイミングだった。
釣れても釣れなくても楽しいとは思うのだが
それでもやはり魚が釣れた方が舞は喜ぶだろう。
僕はまず何はさておき舞の仕掛けを準備した。
そして竿の投げ方やリールの使い方を
簡単にレクチャーする。
今回の釣りは「サビキ」と言う
擬似針の下にオキアミの入った籠をつける、
そんな仕掛けだ。
仕掛けを投入すると
オキアミが撒き餌のように海中に放たれ
それに引き寄せられた小魚が
擬似針に食い付く、と言う仕組み。
これならミミズやゴカイと言った
虫系の餌が苦手でも問題ないし手も汚れにくい。
僕なりに女子に気を遣っての配慮のつもりだ。
更に海底に根掛かりしないよう
舞の使う竿には浮き下を調整して
プラスチックの浮きを取り付けた。
「これなら底に引っ掛からないからね」
「なるほど!地球を釣らなくてすむんだね」
舞は何をするにもとても飲み込みが早い、
頭の回転がとても素晴らしいと思った。
すぐに釣り道具を操作できるようになった
舞が一人で没頭しているようなので
僕ものんびりと仕掛けの準備を始めた。
1本は舞と同様に浮きを取り付けたサビキ、
もう1本は海底を棲み家とする底物狙いの仕掛け
さて、そろそろ僕も始めようか、と竿を手にした矢先…
「コウイチくぅ~ん!助けて~~!」
どうした?どうした?いったい何が起きている?
まさか舞はもう何か釣っているのか?
「きゃ~!重い!重い!引っ張られてるよー!」
舞の叫び声が聞こえた。
「舞ちゃん、もう釣れたの?ゆっくりリールを巻いてみて!」
「ひぃ~、重いよ、助けて!コウイチくーん!」
「ちょっと待ってて、すぐ行くから!」
「コウイチーっ!早くー!」
僕の名前を呼び捨てにするほどに舞はテンパっていた
ビギナーズラックにもほどかある…
舞は何と言う強運の持ち主なんだろう。
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