【完結】君と国境を越えて

 イギリス人の両親を持つ高校一年生のイヴァン・ファーマーは、生まれは日本、育ちも日本、習慣や言語、そして心さえも「日本人」として生きてきた。
 だがイヴァンは、見た目や国籍によって周囲の人々に「勘違い」をされてしまうことが多々ある。
 自らの人種と心のギャップに幼い頃から疑問を持ち続けていた。

 そんなある日、イヴァンの悩みを理解してくれる人物が現れた。
 彼が働くバイト先のマニーカフェに、お客さんとして来店してきた玉木サエ。
 イヴァンが悩みを打ち明けると、何事にも冷静沈着な彼女は淡々とこう答えるのだ。

「あなたはどこにでもいる普通の男子高校生よ」

 イヴァンにとって初めて、出会ったときから自分を「自分」として認めてくれる相手だった。進路についても、深く話を聞いてくれる彼女にイヴァンは心を救われる。

 だが彼女の後ろ姿は、いつも切なさや寂しさが醸し出されている。
 彼女は他人には言えない、悩みを抱えているようで……

 自身のアイデンティティに悩む少年少女の苦悩や迷い、その中で芽生える特別な想いを描いたヒューマンストーリー。

◆素敵な表紙絵はみつ葉さま(@mitsuba0605 )に依頼して描いていただきました!
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