21 / 38
20.憎しみの相手 **
しおりを挟む「あぁ……そうだ。俺はお前を憎んでる、リュシルカ」
ホークレイは氷のように冷たい表情のまま私に顔を近付け、頬に手を添えてきた。
「あの王の血が入っているお前が、憎くて憎くて堪んねぇんだよ……ッ!!」
歯をギリッと噛み締め、吐き捨てるように叫んだホークレイを、私はただ怯えて見ていた。
そして、徐ろにホークレイは笑みを浮かべた。瞳に冷気を纏わせながら。
「だから、さ。俺の悲願が為されたら、俺はお前を殺すよ」
ホークレイの言葉に、私ははちきれんばかりに目を開き、声も出せず微笑む彼の顔を見上げた。
「けど、お前は苦しませないで殺すよ。お前を心と身体がブッ壊れるまで抱き潰して気持ち良くさせて、最期の瞬間まで俺のことを想ったまま死なせてやる。お前は死んでも俺だけのモンだ、ルカ。一瞬でも他の誰かを想うなんてぜってーに許さねぇ」
正気の沙汰ではない言葉を告げたホークレイは、そのまま私の唇を奪い、舌を捩じ込ませ濃厚な口付けを開始した。
胸の愛撫も再開し、私の中に入っている彼のモノがグングンと大きくなり、再びお腹の圧迫感が私を襲う。
「んん……っ」
「さっきは俺ばかり気持ち良くなってたからな……。今度はちゃんとお前も気持ち良くさせてやらなきゃ、な?」
ホークレイはそう言うと、繋がったまま私をうつ伏せにさせて、腰を掴みお尻を持ち上げられる。
そして、パンッと強く腰を打ってきた。
「あ……っ!!」
「……ここに来てから、数え切れねぇくらいに考えたよ。あのままあの村でお前と暮らしていたら、幸せだったんじゃないのか……って」
後ろから伸びてきた手で両胸を乱暴に揉まれ、腰が音を立て何度も打たれる。中を激しく掻き回され、その度に私の口から否応無く嬌声が漏れた。
「……けどそうなれば、俺は強い悔いを残したまま、一生心からの幸せを感じられなかっただろうな。だからいずれは必ずこの決断をしていた。お前も、遠からず王に存在がバレて城に連れて来られていただろう。……こういう運命だったんだよ、俺達は」
「あっ、あぁ……っ!」
腰を突かれる度、少しずつ快感が生まれていく。
不意に私の感じる所を強く突かれ、悲鳴を上げイッてしまった。
「くっ……!」
それに引っ張られるように、ホークレイも私の中に欲望を盛大に吐き出した。
最後まで出し切ったホークレイは、大きく熱い息を吐くと、自身を私の中からズルリと引き抜き、自分の着衣の乱れを直す。
そして、グッタリとベッドに沈んでいる私に下着を履かせると、手を掴んで引っ張り、自分の腕の中に私を閉じ込めた。
温もりを確かめるように、私の身体を強く強く抱きしめてくる。
「……ん……。や、くるし……」
「ルカ。一つだけ、嘘偽りの無い俺の気持ちを伝えておく。――俺は、こういうことをお前にしかしない。今までも、これからも、こういうことをするのはお前だけだ。他のヤツになんて死んでもしない。するもんか」
「……ホークレイ……」
私が事後の余韻で気怠げにホークレイを見上げると、彼は真剣な顔で私を見つめていた。
「ルカ。俺がお前にしたことは、決して誰にも言うな。コハクにもだ。今、『騎士団長』の座を剥奪されるわけにはいかない。『王女の婚約者』としての立場もだ。――俺は、お前を信じてるからな」
ホークレイはそう言うと、抱きしめたまま私にキスをしてきた。触れるだけの唇で、角度を変えて何回も。
「ルカ……。ルカ――」
――六年前の、あの頃のような優しいキスで。
愛おしそうに頬を撫で、髪を撫で、時折胸を触り、私の愛称を何度も呼びながら。
「殺す」と言ってきたり、今のように恋人の様な優しい行為をしてきたり。
……あなたのこと、全然分からないよ、ホークレイ……。
「……もう一回したくなった」
「へっ?」
ホークレイの、耳元でボソリと言った呟きに、私は勢い良く顔を上げると間抜けな声を出してしまった。
「……ふはっ! 何その顔と返し。かっわいーの」
ホークレイが、子どものような無邪気な笑みで吹き出した時、入口の方からガチャリと扉が開く音が聞こえた。
「……残念。時間切れだ」
ホークレイは瞬時に表情を失くすと、私の髪とシュミーズの乱れを素早く直し、すぐに立ち上がる。
と同時に、この部屋に駆け込んできたのはコハクだった。
応援ありがとうございます!
41
お気に入りに追加
2,486
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる