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19.初めてを奪われて **

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「……離して下さい、騎士団長。これ以上は、王族に対する不敬になります。捕まりたくなければ、この手を今すぐにどけて下さい」


 私は、姿勢を正してホークレイに言った。
 本当は王族の権力を振り翳したくないのだけれど、ホークレイを離れさせるのに敢えて使わせて貰う。

 “騎士団長”としての立場である彼なら、これで離れてくれる筈――


 ホークレイは、大きく目を見開いて私を見つめた後、小刻みに震える唇から言葉を出した。


「……お前は、俺を“他人”にしようとしているのか……? ……俺を……信じられなくなった……?」
「…………」


 私はそれに何も返さず、黙ってホークレイを見上げる。
 聡い彼は私の視線で、肯定の意だと見抜くだろう。


「……本当に、俺を……“忘れよう”、と……?」


 ホークレイは私を呆然と見下ろし、やがてギュッと眉間に皺を寄せ、唇を強く噛み締めた。


「――けんな……。フザけんなよ……。そんなの、ぜってー許さねぇ……。許すわけがねぇんだよ……」
「……? 騎士団長――えっ!?」


 突然ホークレイは私を乱暴に抱きかかえると、大股で奥の部屋に歩き出す。
 そしてベッドの上に私を勢い良く降ろすと、逃げる間も無く上から伸し掛かってきた。


「ほ、ホークレイッ!? やだっ、どいて……!!」
「……なぁ、ルカ? 俺さ、城下町でお前に言ったよな? 『お前は俺のモンだ、絶対に俺から逃がしはしない』って。なぁ……ルカ。逃さねぇよ、ぜってーに。お前が俺を“忘れる”と言うのなら、お前の心と身体に、俺の“全て”を刻みつけてやる。俺を一生忘れなくさせてやるよ」


 ホークレイは怒りの籠もった瞳で私を見下ろすと、唐突に唇を奪ってきた。

「ん……っ!?」

 私は驚きで目を見開く。すぐに彼の熱く滑った舌が、強引に私の口内に入ってきたのだ。歯茎をなぞった後、奥に逃げていた私の舌を捕えて絡みつかせ、唾液を吸う。
 初めての激しい口付けに、私の頭がクラクラしてくる。ホークレイは角度を変えて、幾度も私の唇を貪り、唾液が顎から伝うのも構わず、舌を絡ませ口内を蹂躙していく。

 その間、空いている手は私の胸を形が変わるほど揉みしだき、時折先端を強く摘んできて、その度に私はホークレイの口の中にくぐもった声を出した。

 ホークレイは、なかなか唇を離してくれなかった。まるで六年間分を埋めるかのように、私の息が切れるのも構わず、何度も何度も深く激しくキスをしてくる。
 そして、胸からも手が離れない。ずーっと触られている。両乳首を引っ掻かれ強く擦り上げられた時は、私の頭が真っ白になり身体がビクビクと波打ってしまった。


「……ルカ。俺の名を呼べ」


 不意にホークレイが唇を離し、熱を帯びた瞳を向け私に言った。
 私はそれに、フルフルと力無く首を振る。

「……や……」
「……ルカッ! 俺の名はっ!?」

 強い口調で鋭くそう言われ、私の身体がビクリと震える。


「……れ、レイ……」
「……あぁ、そうだ。お前が“一生”忘れることの無い、俺の名だ。その胸によーく刻みつけろよ」


 そして、ホークレイはシュミーズをたくし上げると、私の下半身を露わにした。
 大事な部分を隠している小さな布を素早く脱がすと、私の脚を無理矢理広げ、じっとソコを見つめる。

「や、やだ、見ないで……」
「……分かってはいたが、暴かれていないな。あの時と同じ、キレイなままだ……」

 艶めかしい溜め息と共にそう呟くと、下腹部をそっと撫でる。そして頭を下ろし躊躇なくソコを舐め始めた。

「あっ!? やだ……っ!」

 胸の愛撫によって溢れ出ていた愛蜜を、膣の中まで舌を入れて残さず啜り、その上にある小さな突起を口に含ませ、中で転がしていく。
 甘咬みされ、私は身体を大きく仰け反らせまた達してしまった。

 ホークレイは息をつき上半身を起こすと、スラックスを下げ、滾って大きく天に反り勃ったモノを取り出した。

「…………」

 初めて見る男性器に私は言葉を失くし、驚愕の目をソレに向ける。
 血管が走り、キノコのような先っぽが濡れて光っている赤黒く巨大なソレは、お世辞にも格好良いとは言えなかった。

「……ほ、ホーク……レ……」
「ルカ。俺さ、村を出る時に言っただろ? 『次に会った時は、さっき以上のオトナなヤツを最後までするからな』って。オトナのキス、したろ? ――次は“最後まで”、だ」
「……っ。ほ……ホークレイ、あなた何を言ってるの!? あ、相手が違うよ……!! あなたの相手は……っ!」

 私が叫ぶと、ホークレイはスッと目を細め、表情を失くして言った。


「――お前こそ何を言ってるんだ。俺の相手はお前だけだ、ルカ。他に誰がいるというんだ?」


 誰がって、ミミアン王女に決まってるじゃない……!!


 私の再びの叫びは、降りてきたホークレイの濃厚な口付けによって吸い込まれてしまった。
 同時に、膣にめり込んでくる巨大な異物に、大きく見開かれた私の目から涙が溢れ出す。
 ゆっくりと少しずつ、痛みを伴い私の中に侵入してくるソレに、酷く恐怖を感じた私は、涙をポロポロと零しながら身体を強張らせた。


「……ルカ。ルカ、息を吐いて、力を抜け。大丈夫……怖くない。大丈夫だ、ルカ。怖かったら俺の名を呼べ。俺を強く抱きしめろ。背中に爪を立ててもいい。俺をいくら傷付けてもいい。俺を離すな、絶対に」
「あ、あ……っ。れ……レイ、レイ……っ」
「あぁ、ルカ。俺はここにいる。お前のすぐ傍にいる。ずっと……ずっとだ、ルカ……ルカ――」


 膣に感じる強くなる痛みと大きくなる圧迫感に呑まれそうな感覚になり、私はもう訳が分からなくなって。
 ホークレイの広い背中に腕を回し、必死にしがみつきながら彼の愛称を何度も呼んだ。

「……ルカ、全部……挿入った。……辛いか?」

 ホークレイが、労るように訊いてくる。

「……ん……」
「悪ぃ……直に悦くなるから。まだ怖いようなら、俺の名を呼べ。俺を抱きしめたままでいろ。……動くぞ」

 ホークレイは、そう言い腰の抽送をゆっくりと開始した。

「あ、あぁ……っ」
「……やば、お前の中、すっげー気持ちいい……。自分でするのと全然違う……。このとんでもねぇ快感はお前だから……だろうな……」

 恍惚な表情を浮かべ、ホークレイは私の目尻に唇を寄せ涙を拭いながら、腰を動かす。

「……チッ、駄目だ。気持ち良過ぎてもう……。出すぞ、ルカ」
「っ!? ダメ、赤ちゃんが……っ!!」
「問題ない。お前に避妊魔法が掛かっているからな」
「え……」

 そんなのいつの間にっ!?

 ホークレイが腰を強く打ったと同時に、子宮内に温かな液体が降り注ぎ、満たしていく。
 信じられない思いでゆっくりと顔を上げると、ホークレイは口の端を大きく持ち上げ、繋がっている部分を見つめていた。


「漸く……お前と“一つ”になれた……」


 笑みを浮かべたまま、熱に浮かされたように呟いた言葉に、私の身体がゾクリと震える。


 ……ど、どうして……こんな……。
 婚約者がいる状態で私を抱くなんて……、こんなの完璧に“浮気”じゃない!!

 それに、ホークレイは私を憎んでいて……!
 憎んでいる私を、どうして抱けるのっ!?


「ほ、ホークレイ……。私のことを憎んでいるんでしょう? 何度もそんな目で私を見てきたもの……。それなのに、何で私を――」


 私の言葉に、ホークレイは途端にスッと無表情になり、私を冷たく見下ろした――




 
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