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第七章 ギルドと集団暴走
253 もっと苦労するといいよ★
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迷宮いう名の酒屋さんから帰って来たコウヤは、ギルドマスターの執務室にビジェが来ていることに気付いてギルドの建物を見上げる。
「ん? ビジェが居る。今日は一日薬草採取講座に付き合うって言ってたよね?」
《はい。間違いないかと》
テンキも執務室のある窓へ目を向けて首を捻った。
ビジェはこの大陸での常識などを知るため、冒険者として、ユースールで研修に明け暮れていた。
一番多いのが、ゲンさんの元での薬草採取。冒険者達が受ける薬草採取の講習に参加し、薬草の知識もそうだが、同行する冒険者とも交流を深めることも目的としていた。
日によっては、教会の手伝いをしかながらばばさま達からも様々な知識を教えてもらい、時折、ドラム組にも顔を出している。
そんな中、たった一つだけ毎日欠かさず行うことがある。それが、コウヤへのその日一日の予定報告だ。
ビジェはコウヤを主人のように思っている。そのため、必ず一日に一度は報告がてらコウヤへ顔を見せていた。
ギルドに入りながら、コウヤはテンキにだけ聞こえるように呟く。
「ビジェが予定変更する時は、絶対に俺に報告に来るし……そもそも、予定変えようとしないちょっと頑固な所もあるから、今回は……マスターかダンゴに呼び出された?」
《ダンゴの線が強いですね。ビジェにとっては、どれほどの緊急事態であっても、主様に連絡もなく予定を変更することは許せないことだと思いますから》
そこまでの報告義務はないのだが、本人が納得してやっているようなので、好きにさせている。
ユースールでたまたまその場に居合わせた冒険者や住民達は『またコウヤはおもしろいのを拾ったなあ』くらいの認識だ。いかに強そうでも、騎士のように見えても、コウヤの方が強いことをユースールの者たちは知っている。
それっぽくても、決して護衛を雇ったと思われないのはそのせいだ。コウヤに従うのなら害はないと判断される。
「ただいま戻りました」
「入って~」
執務室の中には、ユストとテーラも居り、パックンも静かに部屋の隅に控えていた。
「お帰り~。いくらだった?」
笑いながら冗談を言うタリス。部屋に満ちていた緊張感が霧散したのが分かった。
「ふふ。すごいのが手に入りましたよ」
トンとコウヤがタリスの前のテーブルに置いたのは、キラキラと紅い光りを反射するワイン。
「ふわぁっ!? マリベルのロゼ!! 伝説の!? ホンモノ!!」
マリベルとはもうこの世には存在しないとされている大昔のワインのことだ。お酒のことがよく分からないコウヤも、このラベルだけは知っていた。
昔、ゼストラーク達が絶賛していたからだ。
「あそこ、まだ隠し部屋が結構残ってるので、一つくらいいいかなと、お邪魔したら出ました。それも赤、白、ロゼ二本ずつの六本セットが」
「もっとガンガン開けるといいよ!」
各一本ずつはゼストラーク達に贈るつもりだ。きっと喜んでくれるだろう。
実際、これを見ていたゼストラーク達は、現在神界で大喜びしているのだが、コウヤは知らない。
「そうですねえ。不満が溜まってた感じだったので、今度行った時にまた別の所を見ると約束してきました」
あまり下の階層に行く冒険者が最近は居ないらしく、全体的に迷宮がイライラしているように感じたのだ。
本来ならば、隠し部屋は冒険者が開けるべきもの。買い物感覚で行くコウヤが開けていいものではない。それは、お客様が店のバックヤードに入って品物を物色するのと同じことだとコウヤは思っている。
「精霊ちゃんに? 解消してあげなくてよかったの?」
「やっぱり、隠し部屋は本職の方に四苦八苦しながら開けて欲しいと思うんですよ。なので、最下層まで行って遊ぶだけにしておきました」
「え、まさか本当にこの時間で攻略してきたの?」
さすがのタリスもびっくりだ。
「はい。料理酒って、中々出ないんですよね~。それも、下まで来て欲しかったらしくて」
《意地悪してドロップ率弄ったでしゅね……》
「精霊ちゃんって、そんなことするの?」
《迷宮内で悪いことした人にはあげたくないでしゅから。ブラックリスト管理してるでしゅ。主さまの場合は気に入られ過ぎででしゅけど》
そう言いながら、ダンゴはフワリと浮き上がり、コウヤの肩に乗る。甘えるようにスリスリと頬に擦り寄ってきた。
「ふふ。それで? 何かあったの? ビジェを呼んだのダンゴでしょ?」
《あ、そうでしゅ。前に『咆哮の迷宮』であった氾濫の犯人が、ビジェさんの探し人でしゅ》
「そうなの?」
確かに、ビジェは誰かを探していると言った。だが、慌てることもないし、当てもないとも言っていたので、とりあえず探しやすいように、こちらで生活していけるように指導していたのだ。
何より、あまりコウヤ達にその探し人を知られたくなかったように感じた。手伝おうかと言っても『自分で探すべきなので』と返ってきたのだ。ならばと白夜部隊も動かずにいるというわけだ。
南の大陸は内乱も多く『余所者が国を乱した』と先王が口にしたらしく、冒険者が寄り付かないことで、十年程前からギルドも撤退しているのだ。生活の仕方もかなり違った。言葉も違うのが大きい。人を探すにも、情報収集のために言葉が分かる方がいいだろうと、それらのサポートだけに留まっていたのだ。
「ハイ……おそらく。セイレイさまをつれているはずなので……」
ビジェは迷惑をかけているというように、顔を伏せる。
「そうですか。その人、今どこに?」
答えたのはダンゴだった。
《『大蛇の迷宮』でしゅ。『咆哮の迷宮』と同じなら、あそこだと多分……そろそろ氾濫は起きてましゅ。外へ出て集団暴走になるまで、それほど時間はないでしゅ》
未だスリスリしながら言う言葉ではない気がするのだが、これで落ち着こうとしているのがコウヤには分かった。コウヤも別に慌てない。
「『大蛇の迷宮』だと、指揮はベルセン支部ですね」
これはタリスに確認した。
「だね~。あそこの子達、何とか出来るかな~」
「何とかなりますよ。丁度今頃なら、ベルセンに『雪の夜闇』の方の講習でグラムさんがついて行ってますし」
「それ、ラッキーじゃん♪」
ですよねと笑う。しかし、そんな態度がまたソルマの勘に触ったらしい。
「なんて呑気なことを言っているんですか! 集団暴走の危機なんですよ! 不謹慎だ! ギルド職員として何も考えられないのか!」
コウヤは首を傾げた。意味が分からなかったのだ。それがまた許せなかったのだろう。
「これだから子どもはっ。迷宮の攻略も、そこの従魔のお陰だろっ。それを自分の功績のようにっ。なんて浅ましい!」
本気で意味が分からなかった。
「えっと? いくら集団暴走が起きたからといって、管理担当の支部からの要請もなく関ってはならないはずですよ? これはギルドの規定書にも書かれています。不要な揉め事を起こさないための措置です」
「……な……」
静かになった。
「あと、テーラさん達が怒る前に言わせていただきますが、従魔の力は従魔術師の力です。別々で考えてはいけません。運良く強い従魔と契約を結べたとしても、それが縁だったのです。その縁を結べたのも実力の内です」
「っ……」
テーラやユストの視線だけでなく、タリスやテンキ達の視線も突き刺さっている。
「あなたは、冒険者の方にもそう言ってしまうかもしれませんね」
「そんなことはっ」
「ない。とは言いきれないと思いますよ? 従魔のことだけではありません。『その武器を使っているから勝てたんだ』なんて言いません?」
「っ、いっ……」
これは多分言った事があるなとタリス達ユースール組は察した。それが分かったのだろう。ソルマは取り繕うことをやめた。
「その通りでしょう! お金があれば、いくらでも性能の良い武器を買えるんです。新人でも、武器が良いからランクが早く上がる人だっている!」
コウヤはゆっくりと瞬きをしてからルナッカーダへ目を向けた。そのコウヤの瞳には、責めるような光が宿っている。
「それ、やってましたか?」
「い、いや、ないはず……」
「確実ではないと……マスター」
これは絶対にやってはいけない。例えそれが親の形見であっても、身の丈に合わない武器であれば、逆に命を危険に晒す。だから新人には、実力が見合うまでその武器を使わない方がいいとかアドバイスをする。それでも聞かないのは仕方がない。
そんな事情もあり、ランク査定ではきちんと武器に頼りすぎていないかを確認する。特にGからF、FからEの試験ではきっちりそこを見ることになる。ここで手を抜くと、それこそ彼らの命を危険に晒すことになるのだから。
「うん。こんな事思っちゃうっていう環境になってるってことだよね? もうホント……全部の支部に監査入れてもらうわ。絶対に。チョンチョン首切っちゃうもんねっ。君たちもっと苦労するといいよ★」
「……」
怒ってらっしゃる。
「こんな子に構ってる時間もったいないね。グラムちゃんがあっちに居るなら、あの支部も折れるかな?」
話が戻った。確かに相手にしているだけ無駄だ。
「それに、今の領主の補佐官はゼフィルさんらしいですから、応援要請は出ると思います。なので、準備だけはしておきましょう」
「うん? その補佐官は知り合い?」
「はい。お城の文官さんです。とっても有能な方ですよ」
「そっち方面からもつつかれるんだぁ。ざまぁ」
タリスの黒さが消えない。
「まあ、なら尚更、ユースールに戻って待機ね。ルナちゃん、またね」
「は、はい……」
「テーラちゃん、ここ不快かもしれないけど、よろしく」
「はい。ご心配なく。私は私の仕事をこなすだけです」
「私も手伝うから」
「ユストちゃんいるなら大丈夫そうね~」
コウヤとタリスはパックン達と、未だ落ち込むビジェを連れてギルドを後にした。
そして、コウヤの夜勤の時間になってすぐ、ユースールへ、ベルセン支部からの応援要請が入ったのだ。
************
読んでくださりありがとうございます◎
三日空きます。
よろしくお願いします◎
「ん? ビジェが居る。今日は一日薬草採取講座に付き合うって言ってたよね?」
《はい。間違いないかと》
テンキも執務室のある窓へ目を向けて首を捻った。
ビジェはこの大陸での常識などを知るため、冒険者として、ユースールで研修に明け暮れていた。
一番多いのが、ゲンさんの元での薬草採取。冒険者達が受ける薬草採取の講習に参加し、薬草の知識もそうだが、同行する冒険者とも交流を深めることも目的としていた。
日によっては、教会の手伝いをしかながらばばさま達からも様々な知識を教えてもらい、時折、ドラム組にも顔を出している。
そんな中、たった一つだけ毎日欠かさず行うことがある。それが、コウヤへのその日一日の予定報告だ。
ビジェはコウヤを主人のように思っている。そのため、必ず一日に一度は報告がてらコウヤへ顔を見せていた。
ギルドに入りながら、コウヤはテンキにだけ聞こえるように呟く。
「ビジェが予定変更する時は、絶対に俺に報告に来るし……そもそも、予定変えようとしないちょっと頑固な所もあるから、今回は……マスターかダンゴに呼び出された?」
《ダンゴの線が強いですね。ビジェにとっては、どれほどの緊急事態であっても、主様に連絡もなく予定を変更することは許せないことだと思いますから》
そこまでの報告義務はないのだが、本人が納得してやっているようなので、好きにさせている。
ユースールでたまたまその場に居合わせた冒険者や住民達は『またコウヤはおもしろいのを拾ったなあ』くらいの認識だ。いかに強そうでも、騎士のように見えても、コウヤの方が強いことをユースールの者たちは知っている。
それっぽくても、決して護衛を雇ったと思われないのはそのせいだ。コウヤに従うのなら害はないと判断される。
「ただいま戻りました」
「入って~」
執務室の中には、ユストとテーラも居り、パックンも静かに部屋の隅に控えていた。
「お帰り~。いくらだった?」
笑いながら冗談を言うタリス。部屋に満ちていた緊張感が霧散したのが分かった。
「ふふ。すごいのが手に入りましたよ」
トンとコウヤがタリスの前のテーブルに置いたのは、キラキラと紅い光りを反射するワイン。
「ふわぁっ!? マリベルのロゼ!! 伝説の!? ホンモノ!!」
マリベルとはもうこの世には存在しないとされている大昔のワインのことだ。お酒のことがよく分からないコウヤも、このラベルだけは知っていた。
昔、ゼストラーク達が絶賛していたからだ。
「あそこ、まだ隠し部屋が結構残ってるので、一つくらいいいかなと、お邪魔したら出ました。それも赤、白、ロゼ二本ずつの六本セットが」
「もっとガンガン開けるといいよ!」
各一本ずつはゼストラーク達に贈るつもりだ。きっと喜んでくれるだろう。
実際、これを見ていたゼストラーク達は、現在神界で大喜びしているのだが、コウヤは知らない。
「そうですねえ。不満が溜まってた感じだったので、今度行った時にまた別の所を見ると約束してきました」
あまり下の階層に行く冒険者が最近は居ないらしく、全体的に迷宮がイライラしているように感じたのだ。
本来ならば、隠し部屋は冒険者が開けるべきもの。買い物感覚で行くコウヤが開けていいものではない。それは、お客様が店のバックヤードに入って品物を物色するのと同じことだとコウヤは思っている。
「精霊ちゃんに? 解消してあげなくてよかったの?」
「やっぱり、隠し部屋は本職の方に四苦八苦しながら開けて欲しいと思うんですよ。なので、最下層まで行って遊ぶだけにしておきました」
「え、まさか本当にこの時間で攻略してきたの?」
さすがのタリスもびっくりだ。
「はい。料理酒って、中々出ないんですよね~。それも、下まで来て欲しかったらしくて」
《意地悪してドロップ率弄ったでしゅね……》
「精霊ちゃんって、そんなことするの?」
《迷宮内で悪いことした人にはあげたくないでしゅから。ブラックリスト管理してるでしゅ。主さまの場合は気に入られ過ぎででしゅけど》
そう言いながら、ダンゴはフワリと浮き上がり、コウヤの肩に乗る。甘えるようにスリスリと頬に擦り寄ってきた。
「ふふ。それで? 何かあったの? ビジェを呼んだのダンゴでしょ?」
《あ、そうでしゅ。前に『咆哮の迷宮』であった氾濫の犯人が、ビジェさんの探し人でしゅ》
「そうなの?」
確かに、ビジェは誰かを探していると言った。だが、慌てることもないし、当てもないとも言っていたので、とりあえず探しやすいように、こちらで生活していけるように指導していたのだ。
何より、あまりコウヤ達にその探し人を知られたくなかったように感じた。手伝おうかと言っても『自分で探すべきなので』と返ってきたのだ。ならばと白夜部隊も動かずにいるというわけだ。
南の大陸は内乱も多く『余所者が国を乱した』と先王が口にしたらしく、冒険者が寄り付かないことで、十年程前からギルドも撤退しているのだ。生活の仕方もかなり違った。言葉も違うのが大きい。人を探すにも、情報収集のために言葉が分かる方がいいだろうと、それらのサポートだけに留まっていたのだ。
「ハイ……おそらく。セイレイさまをつれているはずなので……」
ビジェは迷惑をかけているというように、顔を伏せる。
「そうですか。その人、今どこに?」
答えたのはダンゴだった。
《『大蛇の迷宮』でしゅ。『咆哮の迷宮』と同じなら、あそこだと多分……そろそろ氾濫は起きてましゅ。外へ出て集団暴走になるまで、それほど時間はないでしゅ》
未だスリスリしながら言う言葉ではない気がするのだが、これで落ち着こうとしているのがコウヤには分かった。コウヤも別に慌てない。
「『大蛇の迷宮』だと、指揮はベルセン支部ですね」
これはタリスに確認した。
「だね~。あそこの子達、何とか出来るかな~」
「何とかなりますよ。丁度今頃なら、ベルセンに『雪の夜闇』の方の講習でグラムさんがついて行ってますし」
「それ、ラッキーじゃん♪」
ですよねと笑う。しかし、そんな態度がまたソルマの勘に触ったらしい。
「なんて呑気なことを言っているんですか! 集団暴走の危機なんですよ! 不謹慎だ! ギルド職員として何も考えられないのか!」
コウヤは首を傾げた。意味が分からなかったのだ。それがまた許せなかったのだろう。
「これだから子どもはっ。迷宮の攻略も、そこの従魔のお陰だろっ。それを自分の功績のようにっ。なんて浅ましい!」
本気で意味が分からなかった。
「えっと? いくら集団暴走が起きたからといって、管理担当の支部からの要請もなく関ってはならないはずですよ? これはギルドの規定書にも書かれています。不要な揉め事を起こさないための措置です」
「……な……」
静かになった。
「あと、テーラさん達が怒る前に言わせていただきますが、従魔の力は従魔術師の力です。別々で考えてはいけません。運良く強い従魔と契約を結べたとしても、それが縁だったのです。その縁を結べたのも実力の内です」
「っ……」
テーラやユストの視線だけでなく、タリスやテンキ達の視線も突き刺さっている。
「あなたは、冒険者の方にもそう言ってしまうかもしれませんね」
「そんなことはっ」
「ない。とは言いきれないと思いますよ? 従魔のことだけではありません。『その武器を使っているから勝てたんだ』なんて言いません?」
「っ、いっ……」
これは多分言った事があるなとタリス達ユースール組は察した。それが分かったのだろう。ソルマは取り繕うことをやめた。
「その通りでしょう! お金があれば、いくらでも性能の良い武器を買えるんです。新人でも、武器が良いからランクが早く上がる人だっている!」
コウヤはゆっくりと瞬きをしてからルナッカーダへ目を向けた。そのコウヤの瞳には、責めるような光が宿っている。
「それ、やってましたか?」
「い、いや、ないはず……」
「確実ではないと……マスター」
これは絶対にやってはいけない。例えそれが親の形見であっても、身の丈に合わない武器であれば、逆に命を危険に晒す。だから新人には、実力が見合うまでその武器を使わない方がいいとかアドバイスをする。それでも聞かないのは仕方がない。
そんな事情もあり、ランク査定ではきちんと武器に頼りすぎていないかを確認する。特にGからF、FからEの試験ではきっちりそこを見ることになる。ここで手を抜くと、それこそ彼らの命を危険に晒すことになるのだから。
「うん。こんな事思っちゃうっていう環境になってるってことだよね? もうホント……全部の支部に監査入れてもらうわ。絶対に。チョンチョン首切っちゃうもんねっ。君たちもっと苦労するといいよ★」
「……」
怒ってらっしゃる。
「こんな子に構ってる時間もったいないね。グラムちゃんがあっちに居るなら、あの支部も折れるかな?」
話が戻った。確かに相手にしているだけ無駄だ。
「それに、今の領主の補佐官はゼフィルさんらしいですから、応援要請は出ると思います。なので、準備だけはしておきましょう」
「うん? その補佐官は知り合い?」
「はい。お城の文官さんです。とっても有能な方ですよ」
「そっち方面からもつつかれるんだぁ。ざまぁ」
タリスの黒さが消えない。
「まあ、なら尚更、ユースールに戻って待機ね。ルナちゃん、またね」
「は、はい……」
「テーラちゃん、ここ不快かもしれないけど、よろしく」
「はい。ご心配なく。私は私の仕事をこなすだけです」
「私も手伝うから」
「ユストちゃんいるなら大丈夫そうね~」
コウヤとタリスはパックン達と、未だ落ち込むビジェを連れてギルドを後にした。
そして、コウヤの夜勤の時間になってすぐ、ユースールへ、ベルセン支部からの応援要請が入ったのだ。
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