76 / 87
第76話 富山県① 氷見、雨晴海岸、ブリ
しおりを挟む「ほう、昨日の石川県の海岸も美しかったが、こちらの海も綺麗じゃな」
「ここは能登半島の反対側の富山県にある氷見だよ。こっちの方も海が綺麗だよね」
今日は能登半島の東側にある富山県の氷見へとやってきた。といっても氷見は海水浴というよりは漁港で有名となっている。
夏はマグロ、冬はブリの漁業が盛んで、早朝には市場でセリが行われているのだが、さすがに朝の6時には起きるのは厳しいし、人も大勢いるそうなので今回は見送った。うん、ここで獲れた海鮮はあとでしっかりといただくからな。
「……なにやら見たことのあるアニメのキャラクターがおりますね」
「ああ、氷見は有名な漫画家さんの生まれ育った街だからね。商店街にはまんがロードがあって、モニュメントなんかがいっぱいあるよ」
氷見は有名な某漫画家さんの聖地となっており、父親は光禅寺というお寺の住職さんだったため、漫画家さんの生まれ育ったそのお寺にはキャラクターたちの石像が並んでいる。
他にバスなんかにもキャラクターたちが描かれていたり、様々な資料が展示されているギャラリーなんかもある。
また、その付近にはからくり時計があって、決まった時間になるとキャラクターたちが自動で動き出して、噴水と一緒にからくり人形たちの劇が行われるのでお勧めだぞ。
「これは見事な景色ですね!」
「うむ、これは見事な景色じゃな!」
続けてやってきたのは氷見を少し南下した場所にある雨晴海岸だ。
この海岸から海を挟んで見える女岩と立山連峰の山々が重なって見える。青い海と雪が積もった真っ白な立山連峰、そして少しだけ緑が残っている女岩がとても美しい光景を作り出している。
標高3000m級の連なった山々を海と一緒に見られる場所は世界でもそうはないからな。立山連峰の山々までは少し距離があるので、本当に景色が良くなければ綺麗に見ることができないのだが、今日は完璧な快晴なので美しいこの光景が一望できた。
「ここも時間や季節によって本当に見える景色が変わるらしいね。時期的には白い雪化粧が見られる冬の時期が一番いいかもしれないな。夕焼けなんかの時間帯もとても綺麗みたいだよ」
この海岸も季節や時間によってだいぶ景色が変わるらしい。前回俺が来た時は雪がなかったけれど、やっぱり今日のように白い雪化粧がある山々の方が美しく見えるかもしれないな。
それに加えてこの海岸のすぐ横を走る路線があって、観光列車の通称「べるもんた」が走っている。車窓から見える景色はここから見る景色とはまた一味違って素晴らしいらしい。
「いやあ~昼間からこんな贅沢ができるなんて本当に素晴らしいよね!」
「……これはまたいろいろな料理を頼みましたね」
「富山県は海の幸が豊富だからね。いろんな種類があるから一人だと頼み切れないけれど、三人だとこうやってシェアできるからありがたいよ」
「どれもとても美しいのじゃ!」
昼食は富山県の海鮮料理がいろいろと楽しめる店を選んだ。
富山湾は日本海に生息する魚介類800種類のうち500種類が獲れるため、天然のいけすと呼ばれ、四季を通じて新鮮でおいしい海鮮を味わうことができる。その分お値段の方もそれに見合った料金なので、前回はお財布の関係上全力で楽しめなかったが、今日は違うからな!
「まずは一番有名なひみ寒ぶりだよ。刺身で食べてもおいしいし、しゃぶしゃぶにして食べても本当においしいんだ」
富山湾の定置網で漁獲し、氷見漁港魚市場で競られたブリはひみ寒ぶりと呼ばれている。産卵を控えて丸々と太って最高に脂がのっているブリは本当にうまい。
「脂が乗っていて本当に美味しいですね!」
「こっちのしゃぶしゃぶという料理も本当に美味しいのじゃ! 半分だけ温かく、半分だけ生の食感で食べる料理とはおもしろいのう!」
そのまま刺身で食べてもうまいのだが、出汁を取った鍋でほんの少しだけしゃぶしゃぶにすることによって半生の状態で食べても最高にうまいのだ。獲れたばかりの新鮮なブリを使用しているから、刺身としゃぶしゃぶを交互に味わって食べることもできる。
「時期的には少しだけ早いけれど、こっちのホタルイカと白エビも富山県の名物だよ」
日本では富山県だけでしかホタルイカの定置網漁は行われていない。定置網漁による漁獲は身体を傷付けることが少なく、すぐに漁港へ運ばれるため、新鮮な状態で食べることができるのだ。
獲れたばかりのホタルイカは身が透き通っており、刺身で食べられるほど新鮮だ。
白エビは水揚げ直後は淡いピンク色をして太陽光をキラキラ反射するため、富山湾の宝石と称されている。浜に上がるころには色が白く変色し、名前の通り白エビとなる。
こちらも新鮮なものは生で食べることができ、殻ごと唐揚げにして食べてもサクサクとして本当に美味しい。
他にもカキやカニ、駅弁などでも有名なます寿司なんかもある。昼間からだいぶ贅沢をしてしまったな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
228
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる