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第66話 滋賀県① 琵琶湖
しおりを挟む「ほお~岸の先がまったく見えないのじゃ。すごい広さじゃな! 本当にこれは海ではないのかのう?」
「ここは琵琶湖と言って日本で一番大きな湖だよ。あまりに広すぎる湖だから、この琵琶湖を境にした東西南北の地域で、気候や文化が全然違うんだ。この滋賀県の面積を1/6も占めている大きな湖なんだよ」
今日は以前にやってきた兵庫県と京都府を超えて滋賀県へとやってきている。滋賀県と言えばまず第一に挙げられるのはこの琵琶湖だろう。
琵琶湖は約400万年前から存在する日本最古の湖となっており、世界的にも約20しかない貴重な古代湖となっている。滋賀県の面積の約1/6を占め、琵琶湖の周囲の道路を進めば、約200kmのコースとなっている。
サイクリングコースも設定されており、ちょうど1泊2日で琵琶湖を一周するプランなどがあるらしい。
「琵琶湖にはこの大きな船のような巨大船でクルージングをしたり、海水浴ならぬ湖水浴をしたり、カヌーやボートなんかのアクティビティもたくさんあるんだよ」
今俺たちは大きな船に乗って優雅にクルージングをしている。琵琶湖はこの付近の人たちの暮らしと大きな関わりがある。
「すごいですね。実際に自分の目で見てみると、これほど大きいとは……」
「知識では知っていても、自分の目で実際に見てみると、結構違うよね」
日本で一番大きな湖と言われてもピンと来ないかもしれないが、実際に自分の目で見てみると全然違うんだよな。
「滋賀県の小学校だと、琵琶湖で1泊2日の校外学習があるみたいだね」
俺が子供の頃もあったが、小学校の頃には1泊2日でどこかに遠出するような校外学習があった。ここ滋賀県の小学生たちはこの琵琶湖の船に乗って船の上で一夜を過ごすらしい。身近に湖なんかがなかった俺からしたら、ちょっとうらやましい気がする。
ちなみに滋賀県の人たちは他県の人と口喧嘩をする時には琵琶湖の水を止めたろかという殺し文句があるらしい。そりゃ、こんな大きな湖がせき止められたら死活問題だもんな。
「午前中はのんびりとクルージングを楽しむとしようか」
午前中は巨大な船に乗って、のんびりと琵琶湖を楽しんだ。
「おお、これは見事な魚料理の数々じゃな!」
「あれだけ大きな湖だからね。本当は数えきれないくらいの琵琶湖で取れた魚があるんだけれど、お昼だし有名な料理だけだよ」
目の前に並んだ料理の数々。これでも琵琶湖で有名な料理のほんの一部だ。
「……ええ~と、かなりの匂いがするのですが、これはなんという料理ですか?」
「これは鮒寿司だよ。ニゴロブナという魚をしばらく塩漬けにしたあと、ご飯を詰めて約半年くらい発酵させる発酵食品なんだ。この辺りだと、おめでたい日の料理みたいになっているらしいね。見て分かるように、匂いが凄く独特だから、無理して食べなくて大丈夫だからね。お腹に詰められているご飯は食べても食べなくても大丈夫だから」
伝統的な郷土料理とはいえ、この匂いはとても独特なので、苦手な人も大勢いる。
「……確かに独特な香りはするが、これくらいなら大丈夫なのじゃ。ふむ、魚にご飯を詰めるとこんな味になるのじゃな」
「……私は少し苦手かもしれません。酸っぱいというか、苦いというか、この独特な香りがどうにも……」
「地元の人でも合わない人はいるらしいから無理しないで大丈夫だよ。お酒のつまみとして好きな人はとても好きらしいね」
この料理は完全に好き嫌いが分かれるらしいもんな。それに鮒寿司は今ではかなり高価な料理となっているようだ。あまり気軽につまみで食べることはできないみたいだ。
「こっちのは前に食べたことのある鮭かのう?」
「これは琵琶湖でしか獲れないビワマスというマスの一種だよ。サケ科だから、味は鮭と似たようなものだね」
琵琶湖には琵琶湖にしか生息していない固有種が数多く存在する。このビワマスはそのうちのひとつだ。
「脂が乗っていてとてもおいしいですね」
「琵琶湖でしか獲れないっていうのがいいよね。現地でしか食べられないものを食べるのが旅の醍醐味だよ」
見た目は完全にサーモンと一緒で、脂の乗ったサーモンピンクの刺身。口に入れると優しく溶けていき、ニジマスの旨みが広がっていく。
「こっちの小さな魚は何なのじゃ?」
「これは琵琶湖で獲れる鮎だね」
「……四国で食べた鮎よりもだいぶ小さいですね」
「これは小鮎といって、琵琶湖でしか獲れないんだよ」
鮎というと塩焼きにするくらいの30センチほどの魚を想像すると思うが、琵琶湖の小鮎は10センチほどの大きさだ。これは琵琶湖に鮎のエサとなる苔が少ないからだと言われている。
そのため、今目の前にあるように佃煮にしたり、丸ごと天ぷらにして食べるのがおいしいのだ。
ちなみに滋賀県の名物グルメにサラダパンというものがある。これはサラダが入っているわけではなく、たくあんをマヨネーズであえてコッペパンに挟むという総菜パンだ。
日持ちしてマヨネーズにあう具材としてたくあんが選ばれたらしい。本店が琵琶湖の北側に位置しているので、琵琶湖の南側で売っているお店は少ないらしい。琵琶湖を挟んで生活が分かれていて本当に面白いよな。
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