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6 少年漫画も、その二次創作ものも好きだけど、コレちょっと違うんだ ※微
しおりを挟む* 少年漫画風味(多分)です。ヒロインがBL妄想してます。本番なしです。
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「腹減った」
いつかの時代の少年漫画みたいな言葉が口から飛び出した。
ここはいったいどこ?
「腹一杯に食わせてやる」
どこから現れたのか、劇画タッチのゴリゴリのマッチョさんが私を肩に担ぎ上げた。
「わっ、待って! 誰? ナニ?」
私は米俵じゃないよーー?
下されたのは、薄汚れた酒場っていうか、食堂。
荒くれ者の兄ちゃん達がいっぱいいる。
え。怖っ。
「は、離さないでぇえ~!」
ゴリマッチョさんの腕にしがみつき、見上げると口を大きく開けて笑った。
「仕方ねーな。ほらよっ」
片膝に抱っこされて、食堂のおばさんに声をかけた。
「いつもの、二人分! 腹減ってるっていうから」
「麦酒もかい?」
わたしの顔をジロジロ見ながら訊いてきた。
「飲めます、いえ、飲みます。成人してますから!」
多分、歳より若く見られている。
「……いくつだ?」
「二十八です」
店内がシンとした。
え? そこまで?
「嘘だろ? 聞き間違えか……十八か?」
「いえ、二十八です」
「……成人はしてるんだな?」
「はい」
空きっ腹に呑むつもりはないけど、呑める時に呑んでおきたい!
だって、今の状況ありえないから!
いっぱい呑んで、落ち着こう。
『努力、根性、友情……好きでしょ?』
美しい女神様が言った。
好き。
少年漫画の昔ながらの定番。
今時の最初から最強なのも好きだけど、胸熱展開が好きだから。
『しかも、あなた、二次創作好きでしょ? 男同士でイチャコラするの♡』
好き。
オリジナルのBLより、原作にない展開を妄想するのが本当に楽しい!
次の戦いに備えての、束の間の安息。
そこにいるのは共に死線をくぐり抜けてきた仲間。
なんか、目覚めちゃってもおかしくないよ!
だってもう、男が二人いたら考えるでしょ、どっちが攻めで、受けなのか。
『うんうん。あなた、いいわぁ♡ もう、あなた、今すぐ行こう! 幸せになるから! 周りが男だらけよ~、でもちゃあんとあなたを守る頼りになる男と一緒に冒険に出るの!』
冒険に?
そんなの、わくわくすっぞ!
『うんうん、ちょっと古くていいわね♡ ぴったり♡ こっちの世界は任せてね! 一名様、ご案内~♡』
それで、いきなり森の中にいてオロオロして、うろちょろしちゃったんだ。
そこに現れたのが、このゴリマッチョさんだった。
「お前、なんであんなところにいたんだ?」
「……わからないよ。ゴリマッチョさん」
「……お前に名前、教えたか?」
マジで?
ゴリマッチョって名前なの?
ぎろりと私を見て麦酒を流し込む。
ごくごくと喉が大きく動いて思わず見入った。
男っぽーーい!
うわぁ! いい!
「……ゴルマッチョだ。正しくは」
「ゴルマッチョさん。私、セイコです」
すごい、これ運命じゃない?
「セイコ? よろしくな、セイコ」
「はい」
麦酒で乾杯して、私達はこれからのことを話し合った。
知り合いもいないし、お金もない、家もない、困っていると伝えたら。
「迷子か? やっぱ子供じゃねえのか?」
三回めの乾杯をした後、そう言われてちょっと酔った私は彼の耳元でささやいた。
「あとで。私が大人だって、証明するから。私、ゴルマッチョさん、好みのタイプなの」
ついでに息を吹きかけて。
「…………」
ゴルマッチョさんが黙るから、調子に乗って太ももをすりすりした。
二十八だし、それなりに経験はあるんだ!
彼氏がいた時代もある!
昔、昔に……。
「……そろそろ、部屋で休むぞ」
鼻息の荒いゴルマッチョさんが、私を抱えたまま立ち上がって歩き出す。
「お前、一人にしておけねーな」
「そう?」
「……ここは、八割が男の世界だ。危なすぎる」
そう言えば女神様が男ばっかりっていってたな。
つまり。
男同士のアレコレを……。
「のぞき放題」
「何をだ? 他の男はだめだ。俺が好みなら、俺にしておけ」
部屋に入るなり、私の唇に噛みついた。
「痛ッ!」
「お前が。目の前に俺がいるのに、よそ見するからだろう? 俺だってお前がいい。ほら、大人だって証明して見せろよ」
「ええっ⁉︎」
「ほら、言ったことには責任を持て」
「あ、そっか。そ、だね」
酔った勢いもあって、下着姿になって彼の前に立った。
「…………」
「ゴルマッチョさん、触りたい?」
今日はかわいい下着でよかった。
彼の顔のまん前に胸を突き出すと、ごくりと喉が動いた。
「……ああ」
「ね? 子どもじゃないでしょ? 認めてくれたら、触っていいよ」
ガン見していたゴルマッチョさんが、私の顔をじっと見た。
「認める。……どこでもいいのか?」
どこでも?
「いいよ。ゴルマッチョさんなら。代わりに私にも、んぅーーっ!」
触らせてって、言う前に彼が私の唇を塞いで抱きしめた。
そのまま、ブチ、ブチッと下着を破って丸裸になる。
「ひどいっ! これしかないのに!」
「……俺が用意する」
ゴルマッチョさんの大きな手が私の両胸を包んだ。
「柔いな」
「んっ……じゃあ、私もっ」
ゴルマッチョさんの胸筋に触れた。
ピクピク動くのすごい。
ふぁ~、興奮する!
「セイコ、足りない」
「足りない?」
「もっと触れてみたい」
触れてみたい?
「もしかして、女の子初めて?」
「ああ。この世界に女は少ないからな」
「じゃあ、これまでの相手は」
「…………男は食指が動かん」
え?
「ゴルマッチョさん、童貞?」
「悪いか」
ちょっと拗ねたように言うの可愛い。
「悪くないよ。そうだ、ゴルマッチョさんいくつなの?」
「三十だ」
「賢者ね! あ、魔法使いだっけ?」
「いや、ただの旅人だが?」
「そっか……」
異世界でも三十過ぎた童貞が賢者とか魔法使いってならないんだ。
「正確には明日、誕生日だ」
「ゴルマッチョさん、これ以上はやめよう。明日魔法が使えるようになるかもしれない! えーと、明日の夜までお預けです!」
ゴルマッチョさんが低く唸った。
「……やっぱり童貞とはやりたくないのか?」
「そうじゃない。ちょっと検証してみたくて。えーと、何時頃生まれたかわかる?」
「……明け方と聞いている」
「じゃあ、明日の夜?」
「わかった……でも我慢できない!」
ベッドに倒され、ゴルマッチョさんがイチモツを取り出した。
うわーー! すごい!
「待って!」
私の太ももの間にイチモツを挟んで、パンパン腰を打ちつけた。
「セイコ! セイコー!」
おぅ、これが素股ね。
あ、なんだかちょっとこれ、まずいかも。
体が熱い。
「あっ……!」
「セイコもいいのかっ!」
忙しなく腰を振るから、ちょっとずれたら入っちゃいそう。
「んっ……、ゴルマッチョ、さぁんっ!」
ソレ、欲しい。
でもジョブチェンジするか見てみたい!
「サイコーだッ!」
女神様。
なんだか冒険に出るのは少し延びて、しばらく部屋に籠りそう。
でも、彼との生活は楽しくなりそうです!
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お読みいただきありがとうございます。
えっと、すみません。
応援ありがとうございます!
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