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5 女神様に願った相手は、私の唯一だけど私をわかってない! でも大好き。
しおりを挟む* 女神様が猫獣人の女の子の元へ、人間の男の子を連れてきた話です。猫獣人視点でRいっさいなしです。毛色の違う、甘めの話になってます。
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私、怒ってるの。
せっかく女神様が娶せてくれたのは、異世界からやってきた私の唯一の男の子。
女神様が幅広い芸術を偏愛する子だと言っていたけど、よくわからない。
私と同じくらいの歳で、少年らしい細身の体に黒髪黒目、色は白くてエキゾチックな人形みたいに整った顔立ち。
一瞬で恋に落ちたのに。
今は猫の姿になって、あなたの目の前に座って尻尾をパタパタと大きく振る。
ものすごーく不機嫌なの。
なのに、あなたは私を見て笑う。
「なに? ご機嫌?」
あなたは犬が好きって知っているわ。
私は犬みたいにぶんぶん尻尾を振って喜んだりしないのよ?
私のこと、何もわかっていないのね?
「あと少しで終わるから。そしたら、いやってくらいかまってあげる」
にっこり笑うあなたのきれいな顔に全部許してしまいそうになったけど。
違うの、違うの。
そうじゃないの。
出会ってすぐに結婚して一ヶ月。
会えたのはたったの六回。
ちょっと少なすぎるわ。
あなたのことを知りたいし、もっと私を知ってほしい。
今日から私、あなたと暮らすの。
ようやく準備が整ったから、今まで住んでいた家を片づけて、大切なものだけ持ってあなたの待つ家にやって来たわ。
今日は二人にとって特別な日よ。
なのに、あなたは仕事に追われている。
異世界人で語学が堪能。
さっそく本の翻訳のお仕事を始めて、毎日が充実しているみたい。
仕事しないと二人の生活が困るからって。
わかってる。
そんなのわかってるけど!
私は一人荷物を片づけ終えて、こうしてあなたの目の前に座っているの。
終わるまでずっとここで見つめているんだから!
私をちらりとみて、ちょっと困ったように笑うのも……好き。
少しだけ眉が下がって、綺麗な顔に隙が出来るの。
ペンを持つ白くて細くて長い指も好き。
あの手が私を撫でるのとても気持ちいい。
人型になって手をぎゅって強く握ると、お互いの節が当たってちょっと痛い。
でも、痛いねって笑い合うのも好き。
生きてる気がするもの。
「…………」
いつまでだって、見ていられる。
好きなんだからしょうがないの。
ちょっと怒ってたのも忘れちゃうくらい、好き。
好き。大好き。
もっとかまってほしい。
でも、ちょっと眠くなってきちゃったわ。
だって、私、頑張って片づけしたもの。
「…………ね」
優しく撫でられて、覚醒前の私の耳に柔らかい声が届く。
「可愛いなぁ……好き」
私も。
あなたのささやき、もっと聴いていたいな。
「……大好きだよ」
私だって。
「本当に、僕でいいのかな。いや、僕がいいって思ってもらえるように、頑張るから……」
私も、頑張る。
「これから、ずっとよろしく」
うん。
これからずっと一緒にいられるね。
「仕事終わらなくてごめん」
むぅ。
あ、宥めるように優しく撫でてくれる。
……ちょっとだけ、ちょっとだけ許してあげる。
「どうしよう、こんなに可愛いと離せなくなる」
離さなくていいの。
ずっと一緒にいよう。
だって夫婦だもの。
「誰にも見せたくない。可愛い。ずっとそばにいたいな……きっと、うっとおしいって言うよ」
そんなこと絶対ない。
大好きだもん。
私はあなたに頭をすり寄せる。
「……目を開けてよ。明日から一週間休みなんだ。ずっと一緒にいられるよ」
私はぱちっと目を開けた。
「本当?」
「本当。さっき、書類を取りに来てもらえたから、この後はしたいことなんでもしてあげる」
「なんでも?」
「うん。僕にできることなら、なんでも」
そう言われて私は人型に戻って、あなたの手をぎゅっと握った。
「何したい?」
あなたの口角がゆっくり上がった。
きれい。
それに、色っぽい。
「……あの、あのね」
「うん、言って」
誘うように私の顔を撫でるの、恥ずかしい。
さっきまで真面目に仕事していたのに、今は優しくみつめてくるから。
「……好き」
「うん? 僕も好き」
細い指が私の首をなぞるから、こくんと唾を飲んだ。
「……くっつきたいよぅ」
「うん、おいで」
あなたの膝にちょこんと座って、ぎゅっと抱きついた。
そうするとやっぱり男の子で、私より骨張っていてかたくて熱い。
「これからもっと、お互いを知り合っていこう?」
あぁ、もう、大好き。
「うん」
あなたの頬に唇を寄せると、満足そうな吐息が聞こえて、ぎゅうっと強く抱きしめてくれた。
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お読みいただきありがとうございます。
デュフフって笑うオタク男子versionも書きたくなりまして、制作途中です(追記。どこに出していいかわかりません! 寝かせてます)
応援ありがとうございます!
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