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第四世代

凛編 卑怯という概念

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<一対複数>

というのも、野生の場合には当然のように遭遇する状況だろうな。人間(地球人)の場合はそれを<卑怯>と定義して少なくとも人間同士では避けるように仕向けたりもしてるが、これ自体、

<人間(地球人)にとっての安全保障の一種>

でしかないのは事実だろうさ。実際、人間(地球人)の中にもそんなことを気にしないのはいて、

『一人を複数で一方的に攻撃する』

なんてことは当たり前のように行われてきた。

しかも、<警察>や<軍隊>はそれこそ、

『少数を多数で取り囲み対処する』

のが基本だしな。それを<卑怯>とは言わないだろ? だから卑怯かどうかなんてのは、

<それを定義する人間(地球人)の都合>

でしかないんだよ。俺だって別に凶悪犯やテロリスト相手に警官や軍人に、

『正々堂々と一人で戦え』

なんて言わないさ。むしろ、

『被害を最小限に抑えつつ相手を確実に制圧することを優先するべきだ』

と思ってる。ロボットを積極的に使うのもそれだしな。

『人間と同じ状況判断ができて人間以上の働きができるロボットがあるならそれを活用しない手はない』

さ。これも<卑怯>だと考えるのもいるにしても、だからその考え自体が、

<非力な自分達を守るためにでっち上げた概念>

でしかないんだよ。

とは言え、どんな<格闘技の達人>だろうと<戦闘のエキスパート>だろうと、多数に取り囲まれてしかも<戦略>まで用いられたら為す術がないのも事実ではある。

<エンタメ作品>では、一人の超人的なキャラクターが多数を相手に無双したりもするが、現実ではどっちもあくまで<人間(地球人)>なんだ。身体能力が同等以上のもいて当然だし、戦略や戦術にしたって同等以上のを使えるのが他にいない方がおかしい。

だからこそ、<卑怯という概念>を用いることで数的に不利になるのをなるべく避けようとしてるわけだ。

これ自体が<人間の知恵>というものだろうさ。

まあ、人間以外には通じないけどな。野犬の群れ相手に、

「そんなに大勢で、卑怯だぞ!」

とか叫んでもただ間抜けなだけだし。しかし、

『人間は他の動物とは違う』

と標榜する奴には、それなりの効果も実際にある。あるが、レオンにはまったく関係のない話だ。

そんなわけで、若い雄は協力してまずゆうを倒し、その上で自分達のどっちがボスに相応しいかを改めて競うつもりなんだろう。

これもまた<普通>だ。レオンにとってはな。

ただ、一対一でボスに勝てなくてそれで、

『ボスに相応しい力がある』

と言えるのかどうかは、微妙だとも感じるが。

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