2,300 / 2,554
第四世代
凛編 どんな手を使っても
しおりを挟む
<手首の角度>もそうだが、人体、と言うか<生き物の体>というのは、
<力を十全に発揮できる姿勢>
というものがある。それを外すと、どんなに力があっても十分に活かせないんだ。これはスポーツや格闘技をやってる人間でなくても、それこそ日常の中ででも実感できることだと思う。
それなりに重量がある荷物なんかを持つ時、無意識にでも<姿勢>を作ろうとするだろう? そうじゃなきゃ力が入らなくて上手く持てなかったりするしな。
また、単純に腕の力だけで持とうとすればすぐに疲れてしまったりもする。<筋力>だけに頼っていてはあっという間に力を使い果たしてしまう。
だから、荷物は体そのもので支えて腕の力は補助的に使うんだ。
<手提げ鞄>に入れた状態だと長く持っていられないほどの重量がある荷物でも、<リュック>に入れて背負うと大丈夫だったりもするよな。あれは体そのもので支えるようにしてるからだろうさ。
侑は、そういうことを理屈として教えられなくても、これまで野生の中で生きてきた経験からなんとなく身に付けられてきたんだろうな。
むしろそういう風に身に付けられない奴は生き延びることができなかったりもするんだろう。
ここまで生き延びて、しかも仮にも<ボス>という役目を果たしてきたからには、その辺りの感覚はしっかりと得てきているのが見て取れる。
ただただ、
<事実上のボスである凛の代わりにボスを演じてる単なるお飾り>
ってわけじゃないってことだな。
それがまた頼もしい。伊達に凛がパートナーとしてずっと連れ添ってきたわけじゃないのが分かる。
すると、若い雄の方も、
「グウアッッ!!」
一声上げて侑の手を振りほどいて距離を取り、改めて飛び掛かって行った。
しかも、もう一人の若い雄もいつの間にか侑の背後に回ってて、死角から迫る。
これまた別に<卑怯>というわけじゃない。野生において<一対一>は、
<正々堂々>
ってことでもないんだ。どんな手を使っても結果を出した方の勝ちなんだよ。
だから俺も、ロボットに侑の手助けを命じたりもしない。その必要はまだ感じない。命の危険までは伝わってこないしな。
それに、命の危険がある状況なら、按の傍らで待機してる伍号機が、
『対処いたしますか?』
と進言してくる。現在のAIはそういう判断もする。できる。あくまで<最終的な決断>は人間が行うというだけだ。
その部分はまだ明け渡していない。
さらに時代が進めばどうなるかは分からないにしても、少なくとも俺が知る限りではそうなんだ。
<力を十全に発揮できる姿勢>
というものがある。それを外すと、どんなに力があっても十分に活かせないんだ。これはスポーツや格闘技をやってる人間でなくても、それこそ日常の中ででも実感できることだと思う。
それなりに重量がある荷物なんかを持つ時、無意識にでも<姿勢>を作ろうとするだろう? そうじゃなきゃ力が入らなくて上手く持てなかったりするしな。
また、単純に腕の力だけで持とうとすればすぐに疲れてしまったりもする。<筋力>だけに頼っていてはあっという間に力を使い果たしてしまう。
だから、荷物は体そのもので支えて腕の力は補助的に使うんだ。
<手提げ鞄>に入れた状態だと長く持っていられないほどの重量がある荷物でも、<リュック>に入れて背負うと大丈夫だったりもするよな。あれは体そのもので支えるようにしてるからだろうさ。
侑は、そういうことを理屈として教えられなくても、これまで野生の中で生きてきた経験からなんとなく身に付けられてきたんだろうな。
むしろそういう風に身に付けられない奴は生き延びることができなかったりもするんだろう。
ここまで生き延びて、しかも仮にも<ボス>という役目を果たしてきたからには、その辺りの感覚はしっかりと得てきているのが見て取れる。
ただただ、
<事実上のボスである凛の代わりにボスを演じてる単なるお飾り>
ってわけじゃないってことだな。
それがまた頼もしい。伊達に凛がパートナーとしてずっと連れ添ってきたわけじゃないのが分かる。
すると、若い雄の方も、
「グウアッッ!!」
一声上げて侑の手を振りほどいて距離を取り、改めて飛び掛かって行った。
しかも、もう一人の若い雄もいつの間にか侑の背後に回ってて、死角から迫る。
これまた別に<卑怯>というわけじゃない。野生において<一対一>は、
<正々堂々>
ってことでもないんだ。どんな手を使っても結果を出した方の勝ちなんだよ。
だから俺も、ロボットに侑の手助けを命じたりもしない。その必要はまだ感じない。命の危険までは伝わってこないしな。
それに、命の危険がある状況なら、按の傍らで待機してる伍号機が、
『対処いたしますか?』
と進言してくる。現在のAIはそういう判断もする。できる。あくまで<最終的な決断>は人間が行うというだけだ。
その部分はまだ明け渡していない。
さらに時代が進めばどうなるかは分からないにしても、少なくとも俺が知る限りではそうなんだ。
0
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる