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第四世代

深編 通らない理屈

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新暦〇〇三八年四月十八日



とにかく、生きる上で考えなきゃいけないあらゆることを考えようとはしてるものの、当然、俺なんかのキャパシティじゃすべてを思考することは無理だ。俺が考えているのはただの<アイデア>で、そのアイデアを形にするためには、シモーヌやひかりやビアンカや久利生くりうあかりやシオやレックスやルイーゼの協力に加え、AIのバックアップが必要になる。

そこに、ルコアやまどかひなたも加わってくることになる。順調に育ってくれてる。

一人一人が、

<人間社会を構成しそれを維持するためのリソース>

になるというのを改めて実感するんだよ。だからこそ一人一人が大切だし、蔑ろにはできない。

『自分が気に入らない。好きになれない。認めたくない』

なんて個人的な感情で他者の存在そのものを否定することは、自分自身の首を絞めることになるというのを改めて実感する。

<多様性>というものは、そもそも<否定しようもない現実>なんだ。

『俺達は今、この世界で生きている』

というのと何も変わらない、それ自体が現実なんだよ。多様性を否定するというのは、現実を否定しようとするのと同じだ。あくまで、

『自分一人の都合がすべて受け入れてもらえるわけじゃない』

ってだけだな。

『自分の望みをすべて受け入れろ!』

とか言われたって、

『それは無理』

ってだけでしかない。同時に、存在を否定されるいわれがないのも事実であって、だからこそ、互いに折り合いをつけるために妥協点を見出すために意見を出し合う必要がある。

『少数派は黙ってろ!』

は、人間という種が人間であるためには通らない理屈だ。それを通そうというのなら、自分が少数派になった時には黙ってなきゃいけない。エンターテイメントとしてのアニメや漫画は、そしてそれを楽しんでる人間は、サッカーやテニスやそれを楽しんでる人間に比べれば圧倒的に少数派なんだから、黙ってなきゃいけないということになる。

で、これを言うと、なんだかんだと屁理屈を並べて詭弁を並べて自身の正当性を主張しようとするんだ。人間(地球人)って奴は。

他者を抑圧することは躊躇わないが、自分が抑圧されることに対しては過剰なくらいに反応する。

それもまた人間(地球人)という種の特徴だな。少数派だからといって蔑ろにしようとすればそこに軋轢が生じてリソースが無駄遣いされる。

それでもなお、現実問題として『すべてを受け入れ実現するのは難しい』という部分はまぎれもなくある。リソースは無限じゃない。

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