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第四世代
深編 衰えを自覚
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新暦〇〇三八年三月十三日
なんてことがあっても、深はただ『我関せず』とばかりにのんびりと寛いでる。そして夕方。いつものごとく狩りに出るために彼女は密林に入っていった。
するとその先で、和がまたホビットMk-Ⅱと<鬼ごっこ>をしていた。
が、こうなると<獲物>になる動物が逃げてしまう。
「……」
しかし深は、だからといって和に対し、
『獲物が逃げるからどっかに行け!』
みたいなことは言わない。
『それが言えるだけの知能がない』
と言ってしまえば実も蓋もないが、彼女の知能は、実は今の和と大差ない程度にはあるはずなんだ。
和の実年齢がもうすぐ十一歳の十歳だから、
『地球人の十歳くらいの子供程度はある』
という意味だな。地球人でも十歳くらいの子供なら、
『邪魔だからどっか行け!』
的なことは口にしたりするんじゃないか? そういう態度を示すこともあるんじゃないか? でも深はそうはしないんだ。あくまで自分の方が<狩場>を変更するんだよ。
当然か。別に和でなくても、他の野生の生き物でも、何か騒いだりして他の生き物が逃げてしまったりということはあるだろう? そんな時に自分がさらに『邪魔だからどっか行け!』と大声を上げて騒いだら余計に獲物が逃げてしまうことにならないか?
具体的にはそこまで考えていなくても、論理的な思考はしていなくても、それをわきまえてるのが分かる行動はするんだよ。
そうして深が移動すると、そこにいたのは、
「フゴッ! フゴッッ!!」
と鼻息を荒くしている猪竜だった。ホビットMk-Ⅱというか、<得体のしれない怪物>がいることでそれを避けてきたようだ。見た目はブタに似ているもののその気性や生態はイノシシに近い猪竜は、その気になればホビットMk-Ⅱを恐れずに逆に攻撃を仕掛けたりする個体も少なくないものの、これはそうじゃなかったようだ。
が、だからこそ運がなかったな。一応、成体ではあるらしいが、体も決して大きい方じゃなく、力はそれなりにあっても無謀さを持たなかったことで逆に深と鉢合わせてしまったわけだ。これは<運>としか表現できない事態だろうなあ。
と言っても、猪竜の方も当然、黙って狩られるつもりもないだろう。逃げられるなら逃げるだろうし、逃げ切れなければ決死の覚悟で反撃してくる。深もそれは承知している。
それもあってか、
「……」
深の方が戦いを避けるかのように樹上へと移動していった。以前の彼女なら、それこそ<手頃な獲物>として狙っていただろうに。
「自分の衰えを自覚してるってことか……」
なんてことがあっても、深はただ『我関せず』とばかりにのんびりと寛いでる。そして夕方。いつものごとく狩りに出るために彼女は密林に入っていった。
するとその先で、和がまたホビットMk-Ⅱと<鬼ごっこ>をしていた。
が、こうなると<獲物>になる動物が逃げてしまう。
「……」
しかし深は、だからといって和に対し、
『獲物が逃げるからどっかに行け!』
みたいなことは言わない。
『それが言えるだけの知能がない』
と言ってしまえば実も蓋もないが、彼女の知能は、実は今の和と大差ない程度にはあるはずなんだ。
和の実年齢がもうすぐ十一歳の十歳だから、
『地球人の十歳くらいの子供程度はある』
という意味だな。地球人でも十歳くらいの子供なら、
『邪魔だからどっか行け!』
的なことは口にしたりするんじゃないか? そういう態度を示すこともあるんじゃないか? でも深はそうはしないんだ。あくまで自分の方が<狩場>を変更するんだよ。
当然か。別に和でなくても、他の野生の生き物でも、何か騒いだりして他の生き物が逃げてしまったりということはあるだろう? そんな時に自分がさらに『邪魔だからどっか行け!』と大声を上げて騒いだら余計に獲物が逃げてしまうことにならないか?
具体的にはそこまで考えていなくても、論理的な思考はしていなくても、それをわきまえてるのが分かる行動はするんだよ。
そうして深が移動すると、そこにいたのは、
「フゴッ! フゴッッ!!」
と鼻息を荒くしている猪竜だった。ホビットMk-Ⅱというか、<得体のしれない怪物>がいることでそれを避けてきたようだ。見た目はブタに似ているもののその気性や生態はイノシシに近い猪竜は、その気になればホビットMk-Ⅱを恐れずに逆に攻撃を仕掛けたりする個体も少なくないものの、これはそうじゃなかったようだ。
が、だからこそ運がなかったな。一応、成体ではあるらしいが、体も決して大きい方じゃなく、力はそれなりにあっても無謀さを持たなかったことで逆に深と鉢合わせてしまったわけだ。これは<運>としか表現できない事態だろうなあ。
と言っても、猪竜の方も当然、黙って狩られるつもりもないだろう。逃げられるなら逃げるだろうし、逃げ切れなければ決死の覚悟で反撃してくる。深もそれは承知している。
それもあってか、
「……」
深の方が戦いを避けるかのように樹上へと移動していった。以前の彼女なら、それこそ<手頃な獲物>として狙っていただろうに。
「自分の衰えを自覚してるってことか……」
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