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第四世代

彗編 ファルケ

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そうして息子のファルケが生まれてからも、すいは巣に戻れなかった。彼の姿を見掛けると、

「シャーッ!!」

清良せいらが威嚇するんだ。母親として我が子を守るための行動だというのは分かってる。ようも同じだった。ただ、ようの場合は、俺の集落にいるのが一番安全だというのを理解していたのか、それとも自分と子供を守らせようという発想に至れたのか、近付くことは許さなかったものの完全に追い出そうとするようなことはなかったな。

一方、清良せいらに追い出されたすいではあったものの、先ほども触れたように別に他の雌のところに行こうとするでもなく、なるべく彼女と子供には近付かないようにしつつものんびりと暮らしているようだった。

だが、ファルケが五歳を迎えてアクシーズとしてはかなり立派に育ってたとは思うもののまだ一~二年の猶予はあるんじゃないかと思っていたら、清良せいらが今度はファルケを追い出しにかかったんだ。

「シャーッ!!」

歯を剥き出してそれこそ般若のような表情で、清良せいらがファルケを威嚇する。

「お……おい……」

と、人間である俺は思ってしまうものの、清良せいらはもうファルケを一人前だと判断したんだろう。だから巣立ちを促しただけだ。

野生で生きるものとしてはごく普通の姿なのは分かっていても、人間の感覚で見てしまうとなかなかに厳しいものがあるのも事実だな。

こうして追い払われたファルケは、俺達の集落の真上を通り過ぎ、反対側の地域に降り立った。そこは、せいの縄張りだった。しかし同時に、アクシーズの縄張りとしてはちょうど空白地帯でもある。俺達自身の安全を守るために、アクシーズが入り込んでくると追い払っていたからだ。

ただし、せいの縄張りでもあるので、鉢合わせする可能性は決して否定できない。ないが、アクシーズは基本的に地上には下りないので、住み分けも実はそれほど難しくもなかった。実際、しょうの縄張りは、めいかくそして今はじょうの息子のりくが受け継いだそれと重なっているものの、これまで衝突があったことはない。

もちろんそれは、しょうめいの仲があればこそという面もありつつ、かくには関係なかったし、りくも別にしょうのことは親戚だなどと認識はしてないが、別に問題はなかった。

ファルケとせいが上手く住み分けできるかどうかは未知数ではあるにせよ、まあその辺は、俺達としても無駄に衝突してほしくはないし、ドローンやドーベルマンDK-aなどを使ってお互いに近付き過ぎないようにしてもらうさ。

同時に、ファルケ自身は俺達についても親族という認識などないものの、当然、襲い掛かろうなどとすれば少々痛い目を見てもらって近付かないようにはしてもらうことになる。

お互いに平和に暮らすためだ。



こうしてファルケが巣立つと、清良せいらは自らすいの下に行ったんだ。

で、すいもそれを受け入れた。

これも、アクシーズとしては当然の行動だ。

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