1,854 / 2,387
第四世代
彗編 ファルケ
しおりを挟む
そうして息子のファルケが生まれてからも、彗は巣に戻れなかった。彼の姿を見掛けると、
「シャーッ!!」
と清良が威嚇するんだ。母親として我が子を守るための行動だというのは分かってる。鷹も同じだった。ただ、鷹の場合は、俺の集落にいるのが一番安全だというのを理解していたのか、それとも自分と子供を守らせようという発想に至れたのか、近付くことは許さなかったものの完全に追い出そうとするようなことはなかったな。
一方、清良に追い出された彗ではあったものの、先ほども触れたように別に他の雌のところに行こうとするでもなく、なるべく彼女と子供には近付かないようにしつつものんびりと暮らしているようだった。
だが、ファルケが五歳を迎えてアクシーズとしてはかなり立派に育ってたとは思うもののまだ一~二年の猶予はあるんじゃないかと思っていたら、清良が今度はファルケを追い出しにかかったんだ。
「シャーッ!!」
歯を剥き出してそれこそ般若のような表情で、清良がファルケを威嚇する。
「お……おい……」
と、人間である俺は思ってしまうものの、清良はもうファルケを一人前だと判断したんだろう。だから巣立ちを促しただけだ。
野生で生きるものとしてはごく普通の姿なのは分かっていても、人間の感覚で見てしまうとなかなかに厳しいものがあるのも事実だな。
こうして追い払われたファルケは、俺達の集落の真上を通り過ぎ、反対側の地域に降り立った。そこは、晴の縄張りだった。しかし同時に、アクシーズの縄張りとしてはちょうど空白地帯でもある。俺達自身の安全を守るために、アクシーズが入り込んでくると追い払っていたからだ。
ただし、晴の縄張りでもあるので、鉢合わせする可能性は決して否定できない。ないが、アクシーズは基本的に地上には下りないので、住み分けも実はそれほど難しくもなかった。実際、翔の縄張りは、明と角そして今は丈の息子の淕が受け継いだそれと重なっているものの、これまで衝突があったことはない。
もちろんそれは、翔と明の仲があればこそという面もありつつ、角には関係なかったし、淕も別に翔のことは親戚だなどと認識はしてないが、別に問題はなかった。
ファルケと晴が上手く住み分けできるかどうかは未知数ではあるにせよ、まあその辺は、俺達としても無駄に衝突してほしくはないし、ドローンやドーベルマンDK-aなどを使ってお互いに近付き過ぎないようにしてもらうさ。
同時に、ファルケ自身は俺達についても親族という認識などないものの、当然、襲い掛かろうなどとすれば少々痛い目を見てもらって近付かないようにはしてもらうことになる。
お互いに平和に暮らすためだ。
こうしてファルケが巣立つと、清良は自ら彗の下に行ったんだ。
で、彗もそれを受け入れた。
これも、アクシーズとしては当然の行動だ。
「シャーッ!!」
と清良が威嚇するんだ。母親として我が子を守るための行動だというのは分かってる。鷹も同じだった。ただ、鷹の場合は、俺の集落にいるのが一番安全だというのを理解していたのか、それとも自分と子供を守らせようという発想に至れたのか、近付くことは許さなかったものの完全に追い出そうとするようなことはなかったな。
一方、清良に追い出された彗ではあったものの、先ほども触れたように別に他の雌のところに行こうとするでもなく、なるべく彼女と子供には近付かないようにしつつものんびりと暮らしているようだった。
だが、ファルケが五歳を迎えてアクシーズとしてはかなり立派に育ってたとは思うもののまだ一~二年の猶予はあるんじゃないかと思っていたら、清良が今度はファルケを追い出しにかかったんだ。
「シャーッ!!」
歯を剥き出してそれこそ般若のような表情で、清良がファルケを威嚇する。
「お……おい……」
と、人間である俺は思ってしまうものの、清良はもうファルケを一人前だと判断したんだろう。だから巣立ちを促しただけだ。
野生で生きるものとしてはごく普通の姿なのは分かっていても、人間の感覚で見てしまうとなかなかに厳しいものがあるのも事実だな。
こうして追い払われたファルケは、俺達の集落の真上を通り過ぎ、反対側の地域に降り立った。そこは、晴の縄張りだった。しかし同時に、アクシーズの縄張りとしてはちょうど空白地帯でもある。俺達自身の安全を守るために、アクシーズが入り込んでくると追い払っていたからだ。
ただし、晴の縄張りでもあるので、鉢合わせする可能性は決して否定できない。ないが、アクシーズは基本的に地上には下りないので、住み分けも実はそれほど難しくもなかった。実際、翔の縄張りは、明と角そして今は丈の息子の淕が受け継いだそれと重なっているものの、これまで衝突があったことはない。
もちろんそれは、翔と明の仲があればこそという面もありつつ、角には関係なかったし、淕も別に翔のことは親戚だなどと認識はしてないが、別に問題はなかった。
ファルケと晴が上手く住み分けできるかどうかは未知数ではあるにせよ、まあその辺は、俺達としても無駄に衝突してほしくはないし、ドローンやドーベルマンDK-aなどを使ってお互いに近付き過ぎないようにしてもらうさ。
同時に、ファルケ自身は俺達についても親族という認識などないものの、当然、襲い掛かろうなどとすれば少々痛い目を見てもらって近付かないようにはしてもらうことになる。
お互いに平和に暮らすためだ。
こうしてファルケが巣立つと、清良は自ら彗の下に行ったんだ。
で、彗もそれを受け入れた。
これも、アクシーズとしては当然の行動だ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる