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第四世代

閑話休題 ルコアの気持ち

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ルコアは、サーペンティアンである。

<不定形生物>と称される謎の存在が変化したのであろう透明な体を持ち、同時に<ラミア>と称される伝説上の存在を思わせる、半人半蛇とでもいうべき姿を持った少女だった。

年齢は今年で十七になる。ただし、それはあくまでオリジナルの<ルコア・ドルセント>のそれを基におおよそで決められた便宜上のものなので、実は必ずしも正確ではない。

とは言え、別にそのことは彼女にとっても問題ではなかった。なぜなら彼女は、自分の生まれなどどうでもいいくらいに今は平穏で満たされた毎日を送っているからだ。

母親代わりであり姉のようでもあったビアンカと、今では父親同然の久利生くりうと、もう一人の母親代わりでありやはり姉のようでもあるあかりと、自分を慕ってくれる弟のような未来みらいと、血は繋がっていないが自分を『ねえね』と慕ってくれる妹のような黎明れいあと、あかりの実子で一歳になった可愛い盛りの蒼穹そらに囲まれて、とても満たされていたのだ。

そんな彼女も、顕現した時点では、満足に動かせない体を引きずって、猛獣がうろつく草原で何百メートルも地面を這いずって、おそらく二日間近く飲まず食わずという状況だったりもした。

そこを救われて、ビアンカの献身的なケアを受けて、精神的にも救われてここに至るというわけである。

当時十二歳だった彼女もすっかり成長し、<大人の女性>に近付きつつあった。それだけに体も大きくなり、最初は七メートルほどだった全長も十二メートル近くにまでなっている。

それに伴って身体能力も高くなり、今では握力は百キロに達したそうだ。おそらく地球人では格闘経験者でさえ彼女に勝つことは容易ではないだろう。体重もすでに三百キロを超えており、地球人では三百キロの体重ではまともに動くことも叶わないものの、彼女は<十メートルダッシュ>も一秒足らずで行う。また、長距離の高速移動は苦手としつつも、その気になれば百メートルも十秒強で駆け抜ける。

そのようなポテンシャルを持つ彼女も、ビクキアテグ村においては必ずしも突出した存在ではなく、ビアンカやあかりが相手であれば後れを取り、身体能力的には地球人のそれでしかない久利生くりうが相手でようやく互角程度とみられている。もっとも、久利生くりうに関しては彼がむしろ異常なのかもしれないが。

そして、今はまだ四歳でしかなく、見た目の点でも地球人の十二歳程度の少年でしかない未来みらいも、すでに彼女と互角近い能力を有していた。さらに未来みらいは、ルコアに対して少なからず好意を抱いていて、本人もそれを隠そうとしていない。

ただ、ルコアとしては、サーペンティアンである自分が彼の想いに応えていいのだろうかと思っているようだ。

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