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第四世代

閑話休題 素戔嗚

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素戔嗚すさのおの体の使い方はすでに格闘技と言っていいものになっていただろう。ドーベルマンMPMのボディは、彼の爪や牙では傷を付けることもままならない。ドーベルマンDK-aや初期の頃のドーベルマンMPMであれば、当時の代用プラスチックの強度は必ずしも高くなかったことで傷付けることができたかもしれないが、代用プラスチックにも改良が加えられて強度が増しているんだ。だからそれよりはむしろ打撃の方が多少なりとも揺るがすことができるのを、彼は学習したようだ。

しかもその打撃も、地球人の格闘家がよく用いる拳によるものではなく、掌の底の部分を用いる、いわゆる<掌打>という形の打撃を多用するようになっていた。決して『誰かが教えた』というわけではない。彼が自然に、自ら使い始めたのである。

確かにビアンカが何度か使ってみせたことがあったが、それは彼に教えるためのものではなく、あくまで彼女自身が自らの拳を守るためと、素戔嗚すさのおが避けきれずに当たってしまったとしても大きなダメージを与えないようにするためのものでしかなかった。

彼にそれを真似る意図があったかどうかは分からない。しかし素戔嗚すさのおにとってはそれがしっくりきたのだろう。

加えて、元々、レオンの爪は鋭く大きく、拳の形に握り込んだ状態で相手を打つと、自らの爪で掌を傷付けてしまう可能性は高かった。直感としてそれを承知していたのかもしれない。

そんな掌打を彼は繰り出したもののそれは見事にドーベルマンMPM八号機に躱されてしまい、空振りの状態で身体が泳ぐ。

が、次の瞬間、彼の体が横回転して、その勢いのまま、今度は鋭い蹴りが繰り出された。猪竜シシとの戦いの際にも多彩な技を繰り出したが、その時には使う機会がなかっただけで彼の技の引き出しはまだまだ豊富だったようだ。

しかも今回のそれは、体が完全に上下逆さまになった逆立ちの状態のそれであり、まるでドーベルマンMPMが体の向きを自在に入れ替えて攻撃を繰り出している時の姿のようでもあった。

いや、間違いなくその姿を彼なりに解釈した技なのだと思われる。ドーベルマンMPMの動きを見ていて取り入れたものなのだろう。彼は教わらなくても学んでいたのだ。

むしろ野生に生きるがゆえに、利用できるものは何でも取り入れようとする貪欲さが、彼にはあるようだ。そんな姿がなんとも頼もしい。

まるで<カポエイラ>のように脚を自在に使って攻撃したかと思うと正位に戻って途切れることなく攻撃を繰り出す姿も、実に様になっていたのだった。

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